Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

いざ!国立へ!! 京都サンガFC 1-0 湘南ベルマーレ 24th Dec. 2011

2011-12-26 | 京都サンガ J-League
腕時計のデジタルは48分を過ぎようとしていた。そしてボールがタッチラインを割った。
ロスタイムは過ぎただろう。レフリー、時計だ、時計だ。私は観客席から叫んだ。 ベルマーレのスローインで試合が再開される。
サンガゴール前やや左に位置する田原豊にロングボールが入る。しかし安藤淳が身体を張ってそのロビングを跳ね返す。
ヨシッと思った瞬間そのこぼれ球は松尾の前に転がる。 当たりに行け、だれか当たれよ、当たれ!!私が叫ぶが松尾はそのままPAの外からミドルを放つ。よし高い!! 心の中で叫んだ。 ゴール裏の二階席で見ていた私はその弾道は高く浮いてゴールには入らないと一瞬安心した。しかしその瞬間、バーンと言うボールがゴールの角に当たった音が聞こえた。 そしてそのままボールはゴールラインを割って外れて行った。 GK水谷が両手を挙げてこちらのサポーターズシートに走り寄って来た。
東城主審が試合終了のホイッスルを吹いてサンガが準決勝進出を決めた瞬間だとその時は解らなかった。
瞬時に事情を理解した私と周囲の人達は躍り上がって喜びを爆発させた。 そして思った。

良かった。勝った。勝ったんだ~。

後で冷静に考えればゴールフレームに当たってピッチに跳ね返らなかったので入らないシュートだったとも思った。しかしあの入らないと思ったシュートがゴール枠を叩いた事を思い出しぞっとした。 だけど、勝った事には間違いない。まだ天皇杯を“楽しめる”と言う幸福感がじわじわと沸き上がってくる。 昨年のワールドカップでカメルーン戦後に味わった様な…..

4回戦で鹿島アントラーズを降し準々決勝

12月17日に鹿島を破り準々決勝進出を決めた愛するサンガの対戦相手は川崎フロンターレを破った湘南ベルマーレだった。
川崎だったら散々えらい目にあわされて来た。しかも次の試合会場はフロンターレのホーム等々力競技場。ここで何度大負けしたのか…まぁ天敵ジュニーニョがもういないから何とかなるかも…と思っていた。
湘南は今シーズンのJリーグでは震災の影響で日程変更された為中3日で2連戦して2連勝だった。J1の川崎よりも湘南の方がやや組みし易しで有る事は間違いないが2010年のシーズンは1敗1分。
“過去の対戦”よりもJ1川崎を倒したもっとも直近の“実力”を見つめるべき、慢心は絶対に禁物と勝手に自分自身に言い聞かせていた。

準々決勝戦の行われた12月24日は前日と打って変わっての好天で温和な絶好の冬季サッカー観戦日和であった。
武蔵小杉駅に着くと等々力競技場方面に行くバス停に長蛇の列が出来ていた。 てっきりこの日も競技場までの臨時バスが出ると思っていたけど、この試合は“フロンターレのホームゲーム”では無いので通常のバスのみの運行であった。 フロンターレが勝残っていたら臨時のシャトルバスは出されていただろうか…
久々にキックオフ時間に“遅刻”せず競技場入りで来た私は1階席か2階席で観戦するか迷った挙句1階の立ち見席で観戦する事とした。後方から入り込む寒風が背中を直撃するのが閉口した…

まず愛するサンガからスタメンが発表された。予想通りに4回戦と同じメンバーだった。 湘南も川崎戦と同じスタメン。Jリーグ大戦時のスタメンからGKを含めて3人が入れ替わっていたがシステムそのものが4バックから“天皇杯仕様の 3-4-3 “ に替っているのは周知で Jリーグでの連勝が参考にならないと試合前から思っていた。そしてサンガは Jリーグの2連戦からDFが2人替っていたが( 酒井、内野に替って安藤淳、森下がスタメン起用)システムは 4-4-2 のままだった。だから気を引き締めて掛からないと…と思った。(あまり関係ないけど。)
選手紹介で湘南の田原がアナウンスされるとサンガサポーターからも拍手が沸き起こった。








サンガのキックオフで始まった試合、立ち上がりはサンガの時折ワンタッチパスを織り交ぜたショートパスが繋がり、また選手達の集散が早く相手ボールとなってもすぐに2人、3人と取り囲み次の展開の芽を素早く摘む。 3分36秒には充孝から宮吉にスルーが入り4分16秒にはドゥトラが右サイドでオーバーヘッドでボールを中に折り返す等チャンスを作る。特にファーストプレーが良いとその日はけっこう乗ってくれるドゥトラのオーバーヘッドはこの試合のパフォーマンスを期待させると思った。7分45秒には中盤から中央をドリブルで突破しバイタルエリアに侵入するもシュートは撃てなかった。そしてこぼれ球を遠藤に拾われ一気に前に出されそうになるとところは中山博貴がファールで上手く止めてくれた。そしてカードも出なかった。
9分には右サイド中盤から工藤のロングフィードが山口の頭を越えて宮吉に渡り、永木と縺れながらシュートに入るがここで出て来たGK野澤と交錯し倒れてしばらく立ち上がれない。昨年ここに観戦に来た時も開始早々GK水谷が相手FWと交錯してその時は交替を余儀なくされた。サポーター達は必死に宮吉に声援を送る。私は思わず“久保、早くアップしろ…” と言葉を漏らしたけど宮吉は立ち上がって一旦は外に出されたがチョンウリョンのCKの後は無事にピッチに戻って来た。 



宮吉が復帰してからもサンガのボール支配は続いた。だけどなかなかシュートが撃てなかった。
劣勢の湘南は18分9秒、左サイドで坂本からのパスを受けた高山が入れたクロスに田原が飛び込み後方のベルマーレサポーター達を沸かせる。そしてこの時間からサンガの集散の早さに対抗する為に4回戦で鹿島が見せた様なミドルパスを使ってサイドチェンジや行う。前線は187cmと長身で器用さも兼ね備える田原が(だから私は田原が好きなんだけど。)がターゲットになる。




そしてサンガはボールを持つ相手へのマークが後手になりだし反則で止めるシーンが目に付きだし、献上するFKから湘南にゴール前まで迫られるシーンが続く。



20分09秒にはFKをゴール前に入れられCKとなり、そこから山口からの折り返しに田原が飛び込む。27分8秒には③秋本がPAのすぐ外で⑮チハングギョルを倒して危ない位置でFKを与える。坂本が直接ゴールを狙うがこれはクロスバーを大きく越えた。
28分にもFKを献上し遠藤が高山へミドルパスを送りPA内に走り込んだ坂本に縦パスを通す。そして入れたクロスに田原が飛び込むが今度は秋本が何とかマークに着いてヘッドを決めさせない。遠藤が高山にパスを送る時クロスを上げた坂本が上手くスルーをする動きを見せサンガDF陣の動きを惑わした。31分臼井が粘って右サイドの菊池に入れたクロスにまたも田原がヘッドを狙うが今度は森下がクリアー。32分33分には連続してCKを許す。35分には森下がハングギョルを倒して献上したFKから坂本にシュートに持ち込まれるがこのシュートは外れてくれた。37分には中盤でチョンウリョンの田原へのチャージがファールにとられイエローカードが出される。チョンウリョンは30分にも坂本への激しいチャージがファールにとられ注意で済んだが今度はイエローが出てしまい次の試合は出場停止となってしまった。 その前の森下のファールにもイエローが出されていいた。 ちょっと、反則とカードが気になって来た。 
湘南は川崎戦からのシステム変更が効果的だったようだ。3バックに加えて両サイドの臼井(右)高山(左)がDFラインに入りサンガの攻撃を食い止める。序盤の攻勢後はドゥトラと宮吉のドリブル頼みだった。また高山が結構サイドを突いて来ては前線や逆サイドにミドル、ロングパスを出していた。
そして後でテレビ中継を見直した時に解ったのとだけど、キックオフ前のコイントスで勝ったのは湘南でエンドを取ったと事。それはサンガゴール側には西日が差しこみハイボールを入れたらGKがまぶしくて取りづらくなる事が解っていたからとの事でもあった。



39分26秒、宮吉が左サイドをドリブルで上がり後方から上がった工藤に送り上がったクロスは④山口にクリアーされるがCKを得る。サンガ久々のチャンスに身を乗り出す。 秋本、安藤らがPA内に入ってくるとウリョンが上げたCKに秋本がヘッドを放つ。ゴールネットには至らないがゴール前中央で待ち構えるドゥトラがアクロバティックな動きで浮球を捉えそのまま湘南ゴールに押し込んだ。GK野澤がCKの弾道に釣られて前に出て来てゴール前は空いていた。
一斉に周囲の人達と立ち上がりハイタッチをかわす。 セットプレーで押し込まれる時間が続いていたのだが逆にセットプレーで先制ゴールを挙げた。



先制ゴールを喫した湘南は42分にカウンター1本右からのクロスに田原が豪快にオーバーヘッドで狙うがここも安藤が身体を寄せてミートさせなかった。 
前半終了直前に山口がボールを失ったところをドゥトラがかっさらいドリブルで突破しそのまま遠藤がマークに入る前にシュートを撃つがここは決まらなかった。 右に宮吉がフリーでいたけど…
そしてサンガリードで前半が終わった。 控室に戻る選手達に向かって “京都サンガ !! “ のコールに続いて、 ”ドゥ~!! ト~ラ !! オレオレオレ !! “ の声援を送ることも忘れなかった….




30分過ぎから観戦を1階の立ち見席から2階席に移していた。この方がフォーメーションや選手の動きが良く解った。それに後半はサンガが向こう側に攻めに行くのでここで見続けようと思った。それに周囲の人達はみなサンガサポーター。階下から聞こえてくる声援にリズムをとりながら観戦を楽しめた…

後半に入る前に、湘南はリードされた事で前に出て来るだろう。そうすればその裏をドゥトラ、宮吉のドリブルでを取れる。相手はセットプレーさえ警戒すればいい。この日は秋本、森下のCBがしっかりとマークしているし安藤もよくマークに付いていると思った。後半立ち上がりからサンガのワンタッチパスが回るなど前半の入り同様サンガが主導権を握るかに見えた。
54分湘南ベンチは主将の坂本を下げて⑦石神を入れ高山を2列目シャドーに置き石神を高山が入っていた左SHFに入れた。
それでも次にチャンスを掴んだのはサンガ。65分に右サイドからボールを受けたドゥトラが強烈なミドルを放つがGK野澤がファインセーブで防ぐ。そのこぼれたところを詰めた宮吉がフリーで放つがクロスバーを大きく越えてしまった。ここで決めておけば…とばかりに宮吉が悔しがる…

67分今度は湘南がサンガゴール前に迫る。左サイド、ハングギョンがチョンウリョンのマークをかして田原に送り秋本がマークのマークを振り切りフリーの石神に送るそこに安藤がマークに入り石神が倒れる。一瞬PKかと思ったが東城主審はFKの判定で胸を撫で下ろす。しかしこの位置も湘南にとっては好位置。サンガサポーター達からは水谷コールが起こる。しかし遠藤が直接狙ったFKは大きく外れてくれた。そして水谷は大きくガッツポーズを取った。 



湘南は前線を田原の1トップから菊池との2トップにし、2列目右に高山、左には永木が上がって来て前線を厚くしていいた。それ
が攻勢に繋がっていたのかもしれない。71分にはハングギョンンからのスルーパスが高山に入りフリーでサンガゴールに迫るが水谷が前に出てきてストップ。
75分には更なるピンチを招く。湘南が左からのCKを得てゴール前に入れ一旦跳ね返されるがこぼれ球を拾った菊池が再び中に入れると高山が至近距離からヘッドを放つ。この時は“やられた!”と思ったけどGK水谷が素晴らしい反応で弾き出すとポストに当たってゴール正面にこぼれたところを今度はハングギョンがヘッドで押し込むがゴールライン直前でまたまた水谷が掻き出す。 ベルマーレの選手達はゴールインをアピールするが東城主審はノーゴールの判定。 水谷にサンガの選手が駆け寄る。こちらからも水谷に大声援を送る。だけど押し込まれ過ぎだなぁ…



80分湘南ベンチは最後の交替選手岩尾を投入しCB山口を下げる。 そして鎌田、遠藤がCBに入り4バックにしフォーメーショ
ンを 4-3-3にした。両SB、臼井と松尾もどんどん上がってくる。85分にサンガベンチは充孝を下げて守備能力の高い加藤弘堅を
入れる。田原も中盤に左右に動いてロングボールを受ける。 88分にはカウンターから菊池が松尾のパスを受けてサンガゴールに迫
るところを秋本がマークに入り阻止する。菊池が転倒して東城主審がGKの判定を降すが一瞬ペナルティースポットを指した様に見
えて一瞬驚く。ロスタイムは3分と表示される。 おいおいそんなにあったか…と思う。
そしてサンガベンチはCB森下を下げて内野を入れる。 何とか前線のドゥトラに繋いでボールをキープして欲しいと思う。

91分左サイドに流れた田原から岩尾に渡りミドルを撃たれるがGK水谷の正面に。 92分には永木からボールを受けた石神が左サイドから入れたクロスに岩尾に渡るも博貴がマーク。 博貴は後半、中盤の位置でよく相手の攻撃の芽を摘み取ってくれていた。
そして93分になった。ボールがサイドラインを割った。これで終わりやろう。 もう終わりやろう…と叫んだ…..

試合終了と同時に何人もの湘南の選手が倒れ込んでしまった。 反町監督をはじめこの日出場した選手の中では臼井、松尾そして田原豊が来シーズン以降契約を延長しないこととなっているらしくこの天皇杯準々決勝戦が最後の試合となってしまった。

後半はかなり押し込まれて危なかったけど、サンガの勝試合を現場で見られたのは何年振りだろう…

試合終了後、こちらに選手達が挨拶に来て、中山博貴が代表してショートスピーチをした。そしてインタビューから戻って来たこの日の殊勲選手、ドゥトラと水谷も遅れてやって来た。2人とも次も頼むぞ….



次は国立で準決勝戦。対戦相手は横浜マリノスだ。
“マリノスサポーターはもう決勝進出決まったと思っているんじゃないですか?”
隣席の方が声を掛けて来た。

確かにJ1 5位のマリノスは J1 6位の鹿島よりも強いかもしれない。今日みたいにPAのすぐ外でFKを与えたら俊輔の餌食になってしまう。 CBの中澤と栗原の牙城を崩す事は容易ではない。小野祐二を止めるのは並大抵の….チョンウリョンは出場停止だし..考えれば考えるほど重い気持ちになってしまう。
だけど考えようによってはマリノスサポーターにはどんどん楽観視してもらいその雰囲気をピッチ上の選手達に伝染させてほしい。そうすればサンガが勝てるチャンスも出て来る。 そうすれば元旦には….



いやいやそれを考えるのは止めておこう。まずは準決勝進出の余韻に浸ろう。 そして29日の事を考えよう…

帰途に着く途中、多くのコンビニ店の前でチキンとケーキが売られていた。私もケーキとチキンを食べに早く帰ろう…と思った。