11月27日、午後6時20分を少し過ぎた頃携帯が鳴ってSMSが入って来た。
“京都が90分にゴールしました。” 送り主は50分ほど前にニッパツ三ッ沢競技場で一緒だった横浜FCサポーターの S さんだった。 私はスマホで Yahoo サイトで試合の経過をチェックした。するとそこには 横浜FC 1-2 京都サンガと表示されているではないか… 私はそれが掲示ミスではないか…と思った。 するとまたSさんからSMSが入って来た。
京都が勝ました。この勝ち運を U-22 に持って行って下さい。 と書かれていた….
この日は愛する京都サンガがニッパツ三ッ沢競技場で横浜FCとのJ2戦があった。そして国立競技場では日本U-22 がシリア U-22とのロンドン五輪アジア地区予選の試合があった。 五輪予選の試合チケットを入手してから同日に愛するサンガの試合が横浜で行われる事を思い出した。しかもキックオフ時間は午後4時半。 この試合を見てからではちょっと7時半キックオフの五輪予選はキックオフから見られないなぁ…と思い、どうしようかなぁ..と思案した結果に出した結論は。
よし、はしごをしよう、両方観戦しよう、可能な限り…..
まず三ッ沢に向かった。そして途中で知り合いの横浜FCサポーターのSさんに席を取ってもらう様に頼んだ。
日本リーグ時代はよくここに日産自動車の試合観戦に来たなぁ….
この試合を絶対にはずしたくなかった理由は他にもあった。あのキングカズこと三浦知良が横浜FCシーズンホーム最終戦となるこの試合にスタメン起用されるとSさんからの情報があったからだ。
Sさんとは何回か一緒した事がある。その度にカズの雄姿を拝んだ。年齢を重ね出場機会も限られたがカズこそ、パフォーマンスにはお金を払っても見たいと思わせる選手だ。サンガサポーターでありながらカズ目的で競技場に脚を運ぶとは…とお叱りを受けそうだけど。そういえば6年前もSさんとここで横浜FC vs 京都サンガの試合を観戦したなぁ…あの時は夏だったなぁ。
ビールを飲みながらとポテトチップをかじりながら観戦した。試合は 1-1 で引き分けたけどスタメン出場だったカズゴールもカズダンスも見られた思い出の試合だった。
Sさん親子が確保していてくれた席に着いた時はキックオフ直後だった。地下鉄の中でSさんから ”カズさん、スタメンです。“と言う確認のメールを受け取っていた。そのキングが目の前にいた。
11月末だけどあまり寒さは感じなかった。横浜は前節、熊本戦からスタメンを2人替えた。その1人がカイオに替って起用されているカズだった。 今シーズン18試合目のスタメン出場だ。今シーズンはJリーグではまだゴールは無い。
それでも昨シーズンの出場試合数は前年度の3分の1の10試合。今年44歳の選手がこの年になって更に出場試合数を増やすのだから“さすが”としか言い様がない。カズにボールが入る度にスタンドの観客の視線が集中している様に思えた。
試合は横浜が主導権を握り攻勢に出る時間がやや長く、サンガはカウンターから前線のドゥトラ、宮吉に繋ぐ展開が続いた。
サンガは前節岡山戦に敗れてリーグでの連勝が6でストップした。開幕時は3バックであったがシーズン終盤から4バックにし遅きに失した気がするが連勝する様になった。
11分には加藤弘堅からスルーパスを受けた中村充孝がシュートを放つ。 19分にもドゥトラが抜け出してシュートに持ち込む。横浜は攻めるがシュートを撃てず、逆にカウンターからシュートに持ち込むシーンが続いた。しかし横浜FCのDF陣は逆サイドを結構空けていたのでそちらに振ればなぁ…と見ていて思った。
すると24分、ゴール前中央に待ち構えるカズにボールが入った。カズは落ち着き払って左に送るとそこから上げられたクロスに難波が飛び込みゴールネットを揺すった。 Sさん親子を含めたサポーター達は一斉に立ち上がる。
京都DF陣はカズにボールが入った時にそのままターンしてシュートを放つと思ったのだろうか、そこを左サイドに流すプレーはさすがカズと言うよりもベテランだと思った。もしカズが代表時代だったら撃っていたかなぁ…
カズはその後ポジションをトップ下に下げ前線には藤田と佐藤が2トップ気味に。そして左サイドから野崎ががんがん上がってくる。 一方のサンガは前線にボールが入っても焦りからかシュートが撃てなくなって来た。工藤がちょっと上がれなくなって来た。
でもここはカズゴールが見たかった。 中盤からカズがドリブル突破で上がって来た。そして…と思ったら左サイドを上がった野崎にボールを出した。 Sさんから思わず “カズさん、撃っていいんですよ…” との声が漏れた。 恐らく私を含めて、サンガサポーターでさえそう思ったと思う…..
そうして前半はそのまま終了のホイッスルが鳴った….
国立のキックオフ時間が気になったが後半開始直前までいる事にした。そしてSさんと色々と横浜FCの話を聞いた。
2011年シーズンはサンガより低迷しており、2008年シーズンにJ2に陥落以来最悪の結局18位に終わった。
2010年のシーズンはその前年、前々年の10位から6位に躍進していたのでもう少し上位を期待していたらしい。
そしてこの日スタメンの柳沢将之は2日前に2011年シーズン以降は契約を更新しないと2日前に発表された事も教えてもらった。そして岸野靖之監督は来期も指揮を執り続ける事も、カズも来シーズンプレーする事も教えてもらった。
でもカズがいなくなったらスポンサーがなぁ…と言うと、Sさんもそれは言えるんですよねぇ~と言っていた。
シーズン最終戦にしては観客数 5,305 人と言う数字も気になった。なぁサンガも観客数に就いては人には言えないけど。
そうして後半が始まった。 残念ながらカズはベンチに下がって荒堀謙次が投入された。荒堀はMFに入り、そのまま藤田祥史と佐藤謙介がトップに残った。
そして…..来年また一緒に観戦しましょう… Sさんに挨拶して私は国立に向かう為に競技場を後にする事とした。
そう….来シーズンは横浜も京都もJ2だから… でもカズゴールを見られる可能性もまだまだあるぞ…
国立に向かう途中でサンガの逆転勝利を知った。嬉しかったけどやっぱり俺が見ない方がいいのかなぁ..とも思った。
そして国立の試合結果も 2-1 で日本の勝利だった。
2010年シーズン。僅か4勝でJ2陥落が決まり(もう慣れてしまったけど) 1シーズンでJ1昇格を夢見て臨んだ2011年シーズンは監督をワールドカップではコーチを務めた大木武氏を迎え、イビチャ=オシム氏の信頼厚い祖母井秀隆氏をGMに迎え長期に渡り強いチーム作りを目指す体制が出来た。J1昇格なんて当たり前2012年はACL出場を決めて…と勝手な胸算用をしていた。
しかし3月5日開幕戦、アウェーの水戸戦では 1-2 で敗れた。それでも次のホームの岡山戦から…と思っているとあの大震災が襲って来て京都は被災を免れたもののJリーグ再開は全く見当がつかなくなる事態となった。幸い、約1カ月後からリーグは再開されサンガは岡山戦で 2-1 の勝利を収めたが以降栃木 ( A 0-1 ) , 鳥栖 ( H 0-0 ) , 徳島 ( A 1-2 ) , 富山 ( H 0-0 ) とJ1を経験したことないチーム相手になかなか勝星を挙げられない状態が続いた。
そして続くアウェーの北九州戦では94分にレオナルドに決勝ゴールを決められ敗れてしまう。 この負け方は非常にショックであり続く前年の最終戦での雪辱に燃えるFC東京には 西京極で1-4 と粉砕されてしまう。更に翌週の鳥取戦でも前半終了間際と試合終盤に失点を喫し終了直前に宮吉のゴールを還すも追い付く事は出来ずに遂に引分けを挟んで5連敗を喫してしまった。
次節の大分戦は中村充孝を前線から中盤に入れる等中盤を大幅に入れ替えシーズン初完封勝利を収めようやく両目が空き、続く草津戦では4ゴールを挙げ連勝を収めるも以降は勝っては負け、連勝しては連敗するの繰り返しで第29節を終了して9勝7分13敗。J1昇格なんて早々と諦めねばならなくなっていた。
J2を甘く見ていたわけではないがJ1経験チーム7チームに対してはFC東京には H: 1-4, A: 1-6 で連敗したが他の6チームには大分、千葉、湘南に連勝する等9勝3敗2分けだった。確かにシーズン序盤は北九州、栃木が上位に顔を出しシーズンを盛り上げていたがJ1未経験チーム12チーム相手に24試合で8勝しかできなかった。
確かに中心選手の多くがチームを去っていた。角田、渡邊大剛、水本、片岡、柳沢そしてシーズン直前に郭泰輝が。 そして新戦力は秋本(甲府)と工藤(千葉)くらい..J2は決して甘くは無かった…と痛感させられた。
シーズン開幕当初は郭泰輝が抜けた為か3バックで森下、染谷、内野、福村、アライールらを併用しての3バックのDFラインだったが、むしろ中盤が攻守に機能しなかったのかもしれない上に森下以外は昨シーズンではレギュラーではなく守備陣の不安はシーズン終盤まで解消されなかった。第30節以降工藤が中盤のポジションにきっちり入り福村、内野そして酒井が固定され4バックが確立し最後の9試合は失点を6に抑える事が出来た。
更に攻撃の方ではシーズン後半から宮吉とドゥトラの2トップが確立された。これで18歳の久保裕也がスーパーサブ的に使えるようになった。それにしても久保は今シーズン24試合もスタメン出場を果たした。それだけすごいのか、それとも人材が不足していたのか。 リーグ開幕時は久保のワントップにドゥトラ、中山、充孝、ディエゴらが2列目を構成していたがあまり効果的では無かったのかもしれない。2010年シーズンでも得点力不足は深刻だった….
それが先制された試合では2勝10敗2分。逆転勝利が2試合しかなかった。そして逆転負けが4回もあった。その逆転勝利も8勝1敗であった最後の9試合中に演じられたものだった。
優勝したFC東京は逆転勝が1試合、逆転負けが2試合であったが相手を完封した試合が20試合もありそのうち16試合が完封勝であった。本当に圧倒的な強さだったのだ。
鹿島倒して 天皇杯準々決勝進出!! 京都サンガ 1-0 鹿島アントラーズ 17th Dec., 2011
丸亀で行われた天皇杯の4回戦で愛するサンガは見事に鹿島を破って準々決勝進出を決めた。サンガのベスト8なんて優勝した時以来じゃないかなぁ….
サンガのスタメンはJ-League最終戦、岐阜戦と同じスタメン。鹿島は負傷で離脱していた岩政が戻って来てCBに入った以外はJ-League最終戦の横浜マリノス戦と同じスタメンであった。今シーズンは震災の影響もあり3位ガンバ大阪から20勝点も離されてシーズン5位に終わった鹿島であるが、4位に終わった2010年シーズンも天皇杯では優勝を果たしACL進出を決めた。今年もACL進出を目指して天皇杯にはかなりのモチベーションで臨んでいるはずであった。そして今シーズンで退任するオズワルド=オリヴェイラ監督への花道もあっただろう…
立ち上がりはサンガのプレスが目立った。特に前線からのフォアチェックが早く、ラインを高く、全体をコンパクトに保ち続けた。
しかしさすが実力者の鹿島は7分も過ぎるとサンガDFラインの裏を突く様になる。
11分にはカウンターから⑬興梠がシュートに持ち込むが③CB森下がしっかりマークをしてゴール枠と捉えさせない。13分には⑨大迫が⑧安藤淳のマークを外して中へ入れるが誰にも合わなかった。
鹿島は攻守の切り替えが早く、ミドルパスを効果的に使い早い展開をみせるが京都はショートパスが多かった。そこが19分を過ぎてのシュートが鹿島3に対して京都は0であった事に表れたのだろう。21分にようやく⑯LSB 福村がサイドを上がり入れたクロスに23.中村充孝が走り込んで合わせたが初シュートを放ったがポストの左に外れて行った。
26分32秒には⑬宮吉が左サイドを上がり充孝が落としたところを⑨ドゥトラが放ったがGK曽ケ端にパンチで防がれてしまった。前線でドゥトラがボールを持つとチャンスが出来る。この日の最初のプレーでドゥトラは好調と見てとれた。
だが27分を過ぎると今度はボランチ⑳柴崎が上がって来て鹿島が攻勢に転じる。ヴァイタルエリアに飛びだしたかと思えば31分には決定的なスルーパスを興梠に送る。今シーズンに加入したばかりの柴崎のその片鱗を充分に見せつけてくれる。
後半、開始早々にはドゥトラが増田を外してシュートを放つがGK曽ケ端がファインセーブで防ぐ。立ち上がりは京都のフォアチェックが目立った。53分にはボランチ⑦チョンウリョンがミドルを放つ。56分には充孝が相手ボールを奪い中盤からドリブル突破をはかり最後は左サイドを上がった⑯福村がシュートを撃つがこれも曽ケ端がストップ。何とか攻勢を続ける間に先制ゴールが欲しいなぁ….と思うもこの直後に今度は鹿島の⑩CHF 本山がスルーパスを通してくる。56分に興梠に送ったスルーを出した時はオフサイドを取られたが58分に再び興梠にスルーを出し右サイドを上がった⑦新井場が強烈なショットを放たれるが今度はGK水谷がセーブ。 さすがに鹿島は役者が揃っていると思った。そしてますます先制ゴールが欲しくなった。
そして59分中盤でボールを持った⑦チョンウリョンが新井場、青木の間にスルーパスを通すとそこには宮吉が。宮吉は中央からやや右に流れてGK曽ケ端の動きと位置を見てゴール逆サイドになる左上隅に蹴り込み待望の先制ゴールを奪った。
宮吉の見事なドリブルシュートであったがスルーパスを出したチョンウリョンも見事であった。
先制された鹿島は62分に本山を下げて小笠原を投入した。小笠原がベンチスタートか…とチームの層の厚さを感じさせられた。これで鹿島の最前線は興梠の1トップから大迫が加わり2トップになり2列目には左から野田、増田、柴崎と並び小笠原がDFラインの前のアンカーの位置に入った。
それでも京都はフォアチェックが良くボール支配率は下がらない。68分にはカウンターからドゥトラがアレックスを振り切りシュートを放つなど守勢一辺倒ではなかった。むしろ鹿島の攻撃が減退した様に見えた。
71分鹿島ベンチはタルタを入れて柴崎を下げた。タルタは2列目左に入り右には野田が入り、増田が小笠原とボランチを組む事に。柴崎が前半の様にゴール前に飛びだされる事を警戒していいたのでこの交替は有難かった。
この交替の直後に⑳工藤が右サイドをドリブルで突破して上がり中に入れると曽ケ端が⑮中山の直前で触ってコースを変えてシュートを撃たせなかった。 曽ケ端の手に触れねば完全に中山が押し込んでいたとことであった。
そしてここから鹿島が攻勢をかける。71分、右サイドでサンガのクリアーミスを拾った興梠が中に入れ野田を経由して大迫に渡るが何とか福村がマークに入りシュートを撃たせない。73分には興梠が秋本に倒されFKを得ると、そのFK に大迫がシュートを放つがGK水谷がナイスセーブで防ぎこぼれ球を興梠に撃たれたがサイドネットを直撃。 75分には大迫が右サイドからクロスを放り込むが逆サイドに抜けて行く。 77分には興梠がチョンウリョンに倒されて得たFKに CB青木がヘッドで狙うがGK水谷がキャッチ。79分、カウンターに転じた鹿島は左サイドで興梠が秋本をかわして戻したところをタルタが工藤がマークに入る前にシュートを撃つがここも水谷がファインセーブでストップ。
やや京都の劣勢に見えるが京都DF陣は戻りが早く落ち着いて鹿島の攻撃に対応している様に見えた。
京都ベンチは80分に駒井を入れて宮吉を下げる。90分には充孝を下げて加藤弘堅を投入する。弘堅は今シーズンを最後にサンガを去るらしい……
ロスタイムに入り鹿島は焦りからかファールが増えて来る、そして大迫もマークが厳しくなり次第に動けなくなってくる。
サンガにとってはいいことだけど次の五輪予選のシリア戦を考えればこれくらいで動けなくなるとは….とおもってしまう。
そしてドゥトラはボールを持つとキープを続け時間を潰していく。そして3分あったロスタイムも過ぎ廣瀬主審の試合終了を伝えるホイッスルが鳴り響いた。
サンガ会心の勝利…を見るのは何年振りだろう。
前に鹿島に勝ったのはいつなんだろう….
試合後、この試合がサヨナラゲームとなったオリヴェイラ監督の惜別の涙が印象的だった……
この試合後準々決勝戦の対戦相手は川崎フロンターレでは無く湘南ベルマーレで有る事が解った。
フロンターレは苦手中の苦手でしかも次の試合会場はフロンターレのホーム等々力競技場だ。まぁジュニーニョは抜けたけど…確かにJ2で2011年シーズンリーグ戦では2連勝している湘南の方が組みし易しと思ってしまうけど、ここは慢心は禁物。
なんて俺が思っても仕方ないか…
でも何故シーズン最初からこういう試合が出来なかったのだろう….と今言っても仕方ないので次の試合での勝利を願う。
“京都が90分にゴールしました。” 送り主は50分ほど前にニッパツ三ッ沢競技場で一緒だった横浜FCサポーターの S さんだった。 私はスマホで Yahoo サイトで試合の経過をチェックした。するとそこには 横浜FC 1-2 京都サンガと表示されているではないか… 私はそれが掲示ミスではないか…と思った。 するとまたSさんからSMSが入って来た。
京都が勝ました。この勝ち運を U-22 に持って行って下さい。 と書かれていた….
この日は愛する京都サンガがニッパツ三ッ沢競技場で横浜FCとのJ2戦があった。そして国立競技場では日本U-22 がシリア U-22とのロンドン五輪アジア地区予選の試合があった。 五輪予選の試合チケットを入手してから同日に愛するサンガの試合が横浜で行われる事を思い出した。しかもキックオフ時間は午後4時半。 この試合を見てからではちょっと7時半キックオフの五輪予選はキックオフから見られないなぁ…と思い、どうしようかなぁ..と思案した結果に出した結論は。
よし、はしごをしよう、両方観戦しよう、可能な限り…..
まず三ッ沢に向かった。そして途中で知り合いの横浜FCサポーターのSさんに席を取ってもらう様に頼んだ。
日本リーグ時代はよくここに日産自動車の試合観戦に来たなぁ….
この試合を絶対にはずしたくなかった理由は他にもあった。あのキングカズこと三浦知良が横浜FCシーズンホーム最終戦となるこの試合にスタメン起用されるとSさんからの情報があったからだ。
Sさんとは何回か一緒した事がある。その度にカズの雄姿を拝んだ。年齢を重ね出場機会も限られたがカズこそ、パフォーマンスにはお金を払っても見たいと思わせる選手だ。サンガサポーターでありながらカズ目的で競技場に脚を運ぶとは…とお叱りを受けそうだけど。そういえば6年前もSさんとここで横浜FC vs 京都サンガの試合を観戦したなぁ…あの時は夏だったなぁ。
ビールを飲みながらとポテトチップをかじりながら観戦した。試合は 1-1 で引き分けたけどスタメン出場だったカズゴールもカズダンスも見られた思い出の試合だった。
Sさん親子が確保していてくれた席に着いた時はキックオフ直後だった。地下鉄の中でSさんから ”カズさん、スタメンです。“と言う確認のメールを受け取っていた。そのキングが目の前にいた。
11月末だけどあまり寒さは感じなかった。横浜は前節、熊本戦からスタメンを2人替えた。その1人がカイオに替って起用されているカズだった。 今シーズン18試合目のスタメン出場だ。今シーズンはJリーグではまだゴールは無い。
それでも昨シーズンの出場試合数は前年度の3分の1の10試合。今年44歳の選手がこの年になって更に出場試合数を増やすのだから“さすが”としか言い様がない。カズにボールが入る度にスタンドの観客の視線が集中している様に思えた。
試合は横浜が主導権を握り攻勢に出る時間がやや長く、サンガはカウンターから前線のドゥトラ、宮吉に繋ぐ展開が続いた。
サンガは前節岡山戦に敗れてリーグでの連勝が6でストップした。開幕時は3バックであったがシーズン終盤から4バックにし遅きに失した気がするが連勝する様になった。
11分には加藤弘堅からスルーパスを受けた中村充孝がシュートを放つ。 19分にもドゥトラが抜け出してシュートに持ち込む。横浜は攻めるがシュートを撃てず、逆にカウンターからシュートに持ち込むシーンが続いた。しかし横浜FCのDF陣は逆サイドを結構空けていたのでそちらに振ればなぁ…と見ていて思った。
すると24分、ゴール前中央に待ち構えるカズにボールが入った。カズは落ち着き払って左に送るとそこから上げられたクロスに難波が飛び込みゴールネットを揺すった。 Sさん親子を含めたサポーター達は一斉に立ち上がる。
京都DF陣はカズにボールが入った時にそのままターンしてシュートを放つと思ったのだろうか、そこを左サイドに流すプレーはさすがカズと言うよりもベテランだと思った。もしカズが代表時代だったら撃っていたかなぁ…
カズはその後ポジションをトップ下に下げ前線には藤田と佐藤が2トップ気味に。そして左サイドから野崎ががんがん上がってくる。 一方のサンガは前線にボールが入っても焦りからかシュートが撃てなくなって来た。工藤がちょっと上がれなくなって来た。
でもここはカズゴールが見たかった。 中盤からカズがドリブル突破で上がって来た。そして…と思ったら左サイドを上がった野崎にボールを出した。 Sさんから思わず “カズさん、撃っていいんですよ…” との声が漏れた。 恐らく私を含めて、サンガサポーターでさえそう思ったと思う…..
そうして前半はそのまま終了のホイッスルが鳴った….
国立のキックオフ時間が気になったが後半開始直前までいる事にした。そしてSさんと色々と横浜FCの話を聞いた。
2011年シーズンはサンガより低迷しており、2008年シーズンにJ2に陥落以来最悪の結局18位に終わった。
2010年のシーズンはその前年、前々年の10位から6位に躍進していたのでもう少し上位を期待していたらしい。
そしてこの日スタメンの柳沢将之は2日前に2011年シーズン以降は契約を更新しないと2日前に発表された事も教えてもらった。そして岸野靖之監督は来期も指揮を執り続ける事も、カズも来シーズンプレーする事も教えてもらった。
でもカズがいなくなったらスポンサーがなぁ…と言うと、Sさんもそれは言えるんですよねぇ~と言っていた。
シーズン最終戦にしては観客数 5,305 人と言う数字も気になった。なぁサンガも観客数に就いては人には言えないけど。
そうして後半が始まった。 残念ながらカズはベンチに下がって荒堀謙次が投入された。荒堀はMFに入り、そのまま藤田祥史と佐藤謙介がトップに残った。
そして…..来年また一緒に観戦しましょう… Sさんに挨拶して私は国立に向かう為に競技場を後にする事とした。
そう….来シーズンは横浜も京都もJ2だから… でもカズゴールを見られる可能性もまだまだあるぞ…
国立に向かう途中でサンガの逆転勝利を知った。嬉しかったけどやっぱり俺が見ない方がいいのかなぁ..とも思った。
そして国立の試合結果も 2-1 で日本の勝利だった。
2010年シーズン。僅か4勝でJ2陥落が決まり(もう慣れてしまったけど) 1シーズンでJ1昇格を夢見て臨んだ2011年シーズンは監督をワールドカップではコーチを務めた大木武氏を迎え、イビチャ=オシム氏の信頼厚い祖母井秀隆氏をGMに迎え長期に渡り強いチーム作りを目指す体制が出来た。J1昇格なんて当たり前2012年はACL出場を決めて…と勝手な胸算用をしていた。
しかし3月5日開幕戦、アウェーの水戸戦では 1-2 で敗れた。それでも次のホームの岡山戦から…と思っているとあの大震災が襲って来て京都は被災を免れたもののJリーグ再開は全く見当がつかなくなる事態となった。幸い、約1カ月後からリーグは再開されサンガは岡山戦で 2-1 の勝利を収めたが以降栃木 ( A 0-1 ) , 鳥栖 ( H 0-0 ) , 徳島 ( A 1-2 ) , 富山 ( H 0-0 ) とJ1を経験したことないチーム相手になかなか勝星を挙げられない状態が続いた。
そして続くアウェーの北九州戦では94分にレオナルドに決勝ゴールを決められ敗れてしまう。 この負け方は非常にショックであり続く前年の最終戦での雪辱に燃えるFC東京には 西京極で1-4 と粉砕されてしまう。更に翌週の鳥取戦でも前半終了間際と試合終盤に失点を喫し終了直前に宮吉のゴールを還すも追い付く事は出来ずに遂に引分けを挟んで5連敗を喫してしまった。
次節の大分戦は中村充孝を前線から中盤に入れる等中盤を大幅に入れ替えシーズン初完封勝利を収めようやく両目が空き、続く草津戦では4ゴールを挙げ連勝を収めるも以降は勝っては負け、連勝しては連敗するの繰り返しで第29節を終了して9勝7分13敗。J1昇格なんて早々と諦めねばならなくなっていた。
J2を甘く見ていたわけではないがJ1経験チーム7チームに対してはFC東京には H: 1-4, A: 1-6 で連敗したが他の6チームには大分、千葉、湘南に連勝する等9勝3敗2分けだった。確かにシーズン序盤は北九州、栃木が上位に顔を出しシーズンを盛り上げていたがJ1未経験チーム12チーム相手に24試合で8勝しかできなかった。
確かに中心選手の多くがチームを去っていた。角田、渡邊大剛、水本、片岡、柳沢そしてシーズン直前に郭泰輝が。 そして新戦力は秋本(甲府)と工藤(千葉)くらい..J2は決して甘くは無かった…と痛感させられた。
シーズン開幕当初は郭泰輝が抜けた為か3バックで森下、染谷、内野、福村、アライールらを併用しての3バックのDFラインだったが、むしろ中盤が攻守に機能しなかったのかもしれない上に森下以外は昨シーズンではレギュラーではなく守備陣の不安はシーズン終盤まで解消されなかった。第30節以降工藤が中盤のポジションにきっちり入り福村、内野そして酒井が固定され4バックが確立し最後の9試合は失点を6に抑える事が出来た。
更に攻撃の方ではシーズン後半から宮吉とドゥトラの2トップが確立された。これで18歳の久保裕也がスーパーサブ的に使えるようになった。それにしても久保は今シーズン24試合もスタメン出場を果たした。それだけすごいのか、それとも人材が不足していたのか。 リーグ開幕時は久保のワントップにドゥトラ、中山、充孝、ディエゴらが2列目を構成していたがあまり効果的では無かったのかもしれない。2010年シーズンでも得点力不足は深刻だった….
それが先制された試合では2勝10敗2分。逆転勝利が2試合しかなかった。そして逆転負けが4回もあった。その逆転勝利も8勝1敗であった最後の9試合中に演じられたものだった。
優勝したFC東京は逆転勝が1試合、逆転負けが2試合であったが相手を完封した試合が20試合もありそのうち16試合が完封勝であった。本当に圧倒的な強さだったのだ。
鹿島倒して 天皇杯準々決勝進出!! 京都サンガ 1-0 鹿島アントラーズ 17th Dec., 2011
丸亀で行われた天皇杯の4回戦で愛するサンガは見事に鹿島を破って準々決勝進出を決めた。サンガのベスト8なんて優勝した時以来じゃないかなぁ….
サンガのスタメンはJ-League最終戦、岐阜戦と同じスタメン。鹿島は負傷で離脱していた岩政が戻って来てCBに入った以外はJ-League最終戦の横浜マリノス戦と同じスタメンであった。今シーズンは震災の影響もあり3位ガンバ大阪から20勝点も離されてシーズン5位に終わった鹿島であるが、4位に終わった2010年シーズンも天皇杯では優勝を果たしACL進出を決めた。今年もACL進出を目指して天皇杯にはかなりのモチベーションで臨んでいるはずであった。そして今シーズンで退任するオズワルド=オリヴェイラ監督への花道もあっただろう…
立ち上がりはサンガのプレスが目立った。特に前線からのフォアチェックが早く、ラインを高く、全体をコンパクトに保ち続けた。
しかしさすが実力者の鹿島は7分も過ぎるとサンガDFラインの裏を突く様になる。
11分にはカウンターから⑬興梠がシュートに持ち込むが③CB森下がしっかりマークをしてゴール枠と捉えさせない。13分には⑨大迫が⑧安藤淳のマークを外して中へ入れるが誰にも合わなかった。
鹿島は攻守の切り替えが早く、ミドルパスを効果的に使い早い展開をみせるが京都はショートパスが多かった。そこが19分を過ぎてのシュートが鹿島3に対して京都は0であった事に表れたのだろう。21分にようやく⑯LSB 福村がサイドを上がり入れたクロスに23.中村充孝が走り込んで合わせたが初シュートを放ったがポストの左に外れて行った。
26分32秒には⑬宮吉が左サイドを上がり充孝が落としたところを⑨ドゥトラが放ったがGK曽ケ端にパンチで防がれてしまった。前線でドゥトラがボールを持つとチャンスが出来る。この日の最初のプレーでドゥトラは好調と見てとれた。
だが27分を過ぎると今度はボランチ⑳柴崎が上がって来て鹿島が攻勢に転じる。ヴァイタルエリアに飛びだしたかと思えば31分には決定的なスルーパスを興梠に送る。今シーズンに加入したばかりの柴崎のその片鱗を充分に見せつけてくれる。
後半、開始早々にはドゥトラが増田を外してシュートを放つがGK曽ケ端がファインセーブで防ぐ。立ち上がりは京都のフォアチェックが目立った。53分にはボランチ⑦チョンウリョンがミドルを放つ。56分には充孝が相手ボールを奪い中盤からドリブル突破をはかり最後は左サイドを上がった⑯福村がシュートを撃つがこれも曽ケ端がストップ。何とか攻勢を続ける間に先制ゴールが欲しいなぁ….と思うもこの直後に今度は鹿島の⑩CHF 本山がスルーパスを通してくる。56分に興梠に送ったスルーを出した時はオフサイドを取られたが58分に再び興梠にスルーを出し右サイドを上がった⑦新井場が強烈なショットを放たれるが今度はGK水谷がセーブ。 さすがに鹿島は役者が揃っていると思った。そしてますます先制ゴールが欲しくなった。
そして59分中盤でボールを持った⑦チョンウリョンが新井場、青木の間にスルーパスを通すとそこには宮吉が。宮吉は中央からやや右に流れてGK曽ケ端の動きと位置を見てゴール逆サイドになる左上隅に蹴り込み待望の先制ゴールを奪った。
宮吉の見事なドリブルシュートであったがスルーパスを出したチョンウリョンも見事であった。
先制された鹿島は62分に本山を下げて小笠原を投入した。小笠原がベンチスタートか…とチームの層の厚さを感じさせられた。これで鹿島の最前線は興梠の1トップから大迫が加わり2トップになり2列目には左から野田、増田、柴崎と並び小笠原がDFラインの前のアンカーの位置に入った。
それでも京都はフォアチェックが良くボール支配率は下がらない。68分にはカウンターからドゥトラがアレックスを振り切りシュートを放つなど守勢一辺倒ではなかった。むしろ鹿島の攻撃が減退した様に見えた。
71分鹿島ベンチはタルタを入れて柴崎を下げた。タルタは2列目左に入り右には野田が入り、増田が小笠原とボランチを組む事に。柴崎が前半の様にゴール前に飛びだされる事を警戒していいたのでこの交替は有難かった。
この交替の直後に⑳工藤が右サイドをドリブルで突破して上がり中に入れると曽ケ端が⑮中山の直前で触ってコースを変えてシュートを撃たせなかった。 曽ケ端の手に触れねば完全に中山が押し込んでいたとことであった。
そしてここから鹿島が攻勢をかける。71分、右サイドでサンガのクリアーミスを拾った興梠が中に入れ野田を経由して大迫に渡るが何とか福村がマークに入りシュートを撃たせない。73分には興梠が秋本に倒されFKを得ると、そのFK に大迫がシュートを放つがGK水谷がナイスセーブで防ぎこぼれ球を興梠に撃たれたがサイドネットを直撃。 75分には大迫が右サイドからクロスを放り込むが逆サイドに抜けて行く。 77分には興梠がチョンウリョンに倒されて得たFKに CB青木がヘッドで狙うがGK水谷がキャッチ。79分、カウンターに転じた鹿島は左サイドで興梠が秋本をかわして戻したところをタルタが工藤がマークに入る前にシュートを撃つがここも水谷がファインセーブでストップ。
やや京都の劣勢に見えるが京都DF陣は戻りが早く落ち着いて鹿島の攻撃に対応している様に見えた。
京都ベンチは80分に駒井を入れて宮吉を下げる。90分には充孝を下げて加藤弘堅を投入する。弘堅は今シーズンを最後にサンガを去るらしい……
ロスタイムに入り鹿島は焦りからかファールが増えて来る、そして大迫もマークが厳しくなり次第に動けなくなってくる。
サンガにとってはいいことだけど次の五輪予選のシリア戦を考えればこれくらいで動けなくなるとは….とおもってしまう。
そしてドゥトラはボールを持つとキープを続け時間を潰していく。そして3分あったロスタイムも過ぎ廣瀬主審の試合終了を伝えるホイッスルが鳴り響いた。
サンガ会心の勝利…を見るのは何年振りだろう。
前に鹿島に勝ったのはいつなんだろう….
試合後、この試合がサヨナラゲームとなったオリヴェイラ監督の惜別の涙が印象的だった……
この試合後準々決勝戦の対戦相手は川崎フロンターレでは無く湘南ベルマーレで有る事が解った。
フロンターレは苦手中の苦手でしかも次の試合会場はフロンターレのホーム等々力競技場だ。まぁジュニーニョは抜けたけど…確かにJ2で2011年シーズンリーグ戦では2連勝している湘南の方が組みし易しと思ってしまうけど、ここは慢心は禁物。
なんて俺が思っても仕方ないか…
でも何故シーズン最初からこういう試合が出来なかったのだろう….と今言っても仕方ないので次の試合での勝利を願う。