Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Sydney 残った 上海申花 2-3 Sydney FC 19 APR 2011

2011-04-23 | Football Asia

ロスタイムは3分と表示され既に2分が過ぎようとしていた。 このままだと両チームとも痛み分けとなってしまう。Sydney で行われた上海申花戦で圧倒的に押しまくりながら引分けに終わった試合は本当に勝点2を失った試合…となるところと思われた。
しかしボールが Mark Bridge の前に飛んだ。そして北京五輪代表選手だった FW が放ったボレーはそのまま上海ゴールネットに突き刺さった。 あぁ、Sydney FC が残った。何とか5月10日の鹿島戦が消化試合とならない目処が…と思った瞬間だった…



あの大震災そして津波から1カ月以上が経った。しかしまだまだ東日本は余震が続く。大震災が案じられ続けていた東海地区ではどうなのだろう…
今関東地方というよりも日本が国内でも対外的にも深刻な問題を抱えている。福島原発の現状。今の惨状は津波によるものだけが原因なのだろうか……

4月19日。 J-League 再開の4日前、まだ修復の終わらない鹿島スタジアムではなく国立競技場で鹿島アントラーズは強豪水原三星を迎え ACL の第4節に臨み 1-1 で引き分けた。 電力事情があり午後2時キックオフのこの試合。出来れば鹿島の勝利を期待した。そうすれば Sydney FC の2位以内の可能性が…と思っていた。
その夜、行われた Group H のもう1試合。 上海に乗り込んだSydney FCは終了直前 Mark Bridge の逆転ゴールで勝利を収めた吉報が入って来た。 この勝利で Sydney は決勝トーナメントに向けてそして5月10日の鹿島戦が消化試合にならない事に大きく一歩前進したと思った。ただそれだけに鹿島に勝ってほしかったなぁ…とも思った。

More bland than bling, Sky Blues return to China in serious mood

我々はここに明日好パファーマンスを披露する為にやって来た。我々は勝利とグループリーグ突破に向けて全力を尽くすだろう。 上海申花が好チームだとは知っている。2週間前にシドニーで我々は対戦した。そして試合は五分五分の引分けであった。
鹿島戦で怪我の為に出場出来なかった Nicky Carle, Sebastian Ryall に就いては
“Nicky Carle, Sebastian Ryall, らの入ったチームは少しの心配はある。彼らは先週の試合そして2,3日前まで負傷で動けなかった。しかしここに彼らは帯同している。彼らが明日プレーできる事を祈る。“

前日記者会見で Sydney FC のVitezslav Lavicka 監督はこの様に語った。
Carle, Ryall 更に McFlynn 抜きで鹿島と対戦し、途中押し込む時間帯も短くは無かったが最終的に3ゴール差をつけられて破れてしまった。東北東日本地震、津波の影響で3月19日に予定されていた鹿島戦が延期となり開幕3試合がホーム3連戦となった Sydney は当初、この3試合で勝点を稼ぎ残りのアウェー3連戦で何とか勝点を拾って逃げ切りを考えていた。しかし結局勝点2しか上げられなかった。
この結果は鹿島にとって良い結果となるはずだ。水原、上海がシドニーで勝点1しか上げられなかったのが鹿島は勝点3得たのだから。

“前の試合(4月6日)後両チームともお互いを知る事となった。勝つか負けるかは戦術次第だ。そしてどちらがミスするかだ。我々はこの試合が決勝戦の様なものと思っているそして選手達は充分に準備が出来ている。
鹿島 vs 水原戦が引分けに終わった為勝たねばならなくなったのは上海申花の奚志康 ( Xi Zhikang ) 監督も同じ立場。
この試合にかっても共に勝点5で鹿島、水原には1勝点及ばないが生き残る為には勝利が必要だった。

試合をただ観ているだけは辛かった。自分の出場停止と日本の震災によって長い間プレー出来なかった私はチーム全てに自分してしまった事を謝罪した。しかし我々はやらねばならなかった。明らかに前の鹿島戦は残念だった。しかし今我々が心に留める事は残り3試合のアウェーゲームを全て勝つ事だ。

2007年3月7日。初代 A-League 王者となった Sydney FC が初めて臨んだ AFC Champion League のデビュー戦はアウェーに乗込んでの 上海申花戦だった。この試合は Sydney FC が元オーストラリア代表の Steve Corica そして Ufak Talay のゴールで2-1 で勝利を収めた。その試合の出場経験者はいない。唯一Terence McFlynn がその当時のメンバーだったが怪我の為に出場出来なかった。
McFlynn は今大会初戦の水原三星戦で開始33分にレッドカードを受け2試合出場停止処分となってしまった。 McFlynn 不在中はその穴が埋まらず苦戦を強いられた。それだけに昨シーズン、一昨シーズン共にA-League で27試合にスタメン出場した彼の復帰には Sydney サポーター達の期待が大いにかかっていた。

“体調は万全だ。私が特に日本での悲劇的な状況の為に長い間試合から遠ざかっていた事は我々は解っている。正直に言って私は明日の試合の為にリフレッシュする事が出来た。我々は上海の素早いカウンター攻撃を知る事が出来た。彼らの動きは大変早くまたよく動く。”
McFlynn, Carle の復帰は試合前に予想だれたが FW David Williams そしてCB Stephan Keller が離脱しそうな事も対策を講じる必要があった。

Bridge heroics give Sydney victory

これまでの3試合 4-2-3-1 のフォーメーションでACLの戦いに臨んでいた Sydney FC は第4戦の上海戦から 4-4-2 のシステムに変更して負けられない試合に臨んだ。スタメンには前節鹿島戦を怪我で出場出来なかった Nicky Carle, そして出場停止明けの Terence McFlynn が復帰し、鹿島戦で負傷の為前半でベンチに下がった Stephan Keller に替って James Durante がスタメンに入った。ホームの上海申花も13日前の Sydney 戦からメンバーを3人替えてホームゲームに臨んだ。

試合は開始からホームの上海が主導権を握った。6分、コロンビア人FW Duvier Riascos がマークに着いた DF Andrew Durante を振り切りフリーでシュートを放つが大きく外してしまい、更にその直後また Riascos がシュートを撃つがこれもクロスバーを越えてしまった。
立ち上がりの連続チャンスを逸した上海であったが8分に先制ゴールが生まれる。Sydney MF Stuart Musialik のファールでFKを得ると DF姜嘉俊 が直接 GK Liam Reddy の守るゴールに蹴り込んでしまった。




失点後、目が醒めたのか Sydney FC が攻勢にでる。連続CKのチャンスを掴むが最後は森安のシュートがブロックされた。
30分には Scott Jamieson が至近距離からシュートを放つが GK 邱盛炯がストップ。その直後にも 190cm の長身DF Matt Jurman が Shannon Cole のFKからヘッドを放つがクロスバーを越えてしまった。

試合はそのまま進み上海リードのまま前半が終わろうとしていたがロスタイムに入った46分、 Nick Carleのパスを受けた FW Cazarine こと Bruno Constantiono が左足で放ったシュートは上海 GK邱盛炯 を破り試合を振り出しに戻した。
この試合もシドニーでのホームゲーム同様失点後 Sydney FC が何度もチャンスを掴んだがなかなかゴールに結び付けられなかった。そして鹿島戦で何度もシュートを外した FW Cazarine がようやく決めた貴重な同点ゴールだった。

  

しかし次に得点が入ったのはホームの上海申花。 52分サイドからのクロスボールをクリアーしようとした MF Scott Jamieson のクリアーが何と自軍ゴールに入ってしまった。 今大会 Sydney FC サポーター達にとって最悪の瞬間だった。

だがその7分後 Sydney は同点に追い付く。 Mark Bridge のヘディングの浮球パスを胸でワントラップした Cazarine がそのまま上海ゴールに再び蹴り込み再び同点とした。
最初の同点ゴールは前半終了直前。そして2回目は自殺点でリードを許した直後の同点ゴール。 単なる連続同点ゴールではなく効果的な時間の試合の流れを失わない貴重な Cazerine の連続ゴールだった。

この日の公式入場者数 10,215 人のうち殆どが地元サポーターと考えられる観衆の後押しを受けて勝点3を狙う上海申花は DF戴琳 が強烈なショットを放つがゴールポストを大きく外れる。 
そしてロスタイムに入る直前にも Riascos が3度連続でPA内に攻め込むが昨シーズン中国超級得点王が放ったシュートは全てゴールに結びつかなかった。

そして92分、PAのすぐ外から放った Mark Bridge の素晴らしいボレーシュートが上海ゴールに突き刺さりこの試合というよりもこのACLで初めてリードを奪い、ホーム3連戦で上げられなかった勝利をアウェーの地で上げた。
2007年、2009年に次いでの ACL 出場だった上海申花だが、今回もグループリーグ突破は難しくなった。

Match Detail:
Shanghai Shenhua FC: 2 (JIAJUN 18', JAMIESON 52' OG)
Sydney FC: 3 (CAZARINE 45+2', 60', BRIDGE 90+3')
Shanghai Shenhua FC line-up: 22. QIU Shengjiong (gk), 2. XIONG Fei, 3. XIN Feng, 5. DAI Lin (c), 8. RIASCOS Barahona Duvier Orlando, 9. Luis SALMERON (28. QI Feng 80'), 10. JIANG Kun, 16. WEN Huyi, 18. Jiang JIAJUN (4. Lin WANG 63'), 20. WU Xi (28. Yundung CAO 80'), 21. Perez CASTRO.
Substitutes Not Used: 1. Dalei WANG (gk), 24. Yang WANG, 29. QIU Tianyi, 36. ZHENG Wei.

上海申花:22-邱盛炯;2-熊飞、3-忻峰、5-戴琳、16-文虎一;20-吴曦(28-曹赟定 79分钟)、10-姜坤、21-卡斯特罗、18-姜嘉俊(4-王林 62分钟);8-里亚斯科斯、9-萨梅隆(7-冯仁亮 79分钟)
Yellow Cards: 16. WEN Huyi 10', 9. Luis SALMERON 38'.
Red Cards: Nil.
Goals: 18. Jiang JIAJUN 8', 21. Scott JAMIESON 52' OG.



Sydney FC line-up: 1. Liam REDDY (gk), 5. Andrew DURANTE, 6. Hirofumi MORIYASU (23. Rhyan GRANT 61'), 8. Stuart MUSIALIK, 9. Bruno CAZARINE, 10. Nick CARLE (24. Dimitri PETRATOS 75'), 12. Shannon COLE (11. Kofi DANNING 89'), 15. Terry MCFLYNN (c), 17. Matthew JURMAN, 19. Mark BRIDGE, 21. Scott JAMIESON.
Substitutes Not Used: 2. Sebastian RYALL, 7. Brendan GAN, 20. Ivan NECEVSKI (gk), 26. Joel CHIANESE.
Yellow Cards: 5. Andrew DURANTE 18', 10. Nick CARLE 26' , 15. Terry MCFLYNN 77'.
Red Cards: Nil.
Goals: 9. Bruno CAZARINE 45+1', 59', 19. Mark BRIDGE 90+3'.
Referee: SUBKHIDDIN MOHD SALLEH (MALAYSIA)
Crowd: 10 215 at Hongkou Stadium, Shanghai, China.

“この試合の勝利とパファーマンスに我々はみなハッピーだ。2度もリードを許しながら同点に追いつくと言う素晴らしい展開だった。 こういうパフォーマンスを見せられたチームを誇りに思う。上海は大変素晴らしいチームだった。我々は彼らが2度もリードを奪うのを見せられたが、我々もハードに戦った。後半に見せたパフォーマンスこそ私達のパフォーマンスだ。上海のDFを3度も破った。我々はみな全てハッピーだ。我々はまだ行き残っている。” Lavicka 監督は試合後興奮気味に語った。

この試合の勝利の要因は何と言っても決定力。前節の鹿島戦、その前の上海戦では決定力不足から2試合1得点1勝点に終わったがこの試合では散々シュートを外し続けた Cazarie が連続ゴールを決めた。
また Carle, McFlynn らが復帰したのも大きい。 更に DF Stephan Keller, FW David Williams が戻ってくれば次の水原戦でも勝点が見えてくる。 

これで5月10日が楽しみになって来た。しかしその前に水原戦で勝点を上げないとなぁ….しかし早く国立で森安が観たいなぁ…

カンタス航空は直行便をいつ再開するのだろう?
4年前の ACL でさいたまスタジアムで知り合った Sydney FC サポーターの旧友達が全てにおいて5月10日来日できる環境が整っている事を祈る….