Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

復興の願いが届きますように… 日本代表 2-1 J-League 選抜 29.03. 2011

2011-04-04 | 日本代表
82分川口からのGK を闘莉王が岩政に空中戦で競り勝ち前に落とす、あぁまた闘莉王が上がって来たんだなぁ…と思うとボールの転がった先に走り込んだのはカズだった。そのボールを拾ったカズはそのままドリブルでゴール前に迫りGK東口が出て来たところを森脇がマークに入る前に右足を振り抜くと弾道はそのまま日本代表ゴールに突き刺さった。 この試合 40,613 人集まった観衆から最大級の歓声が沸き上がる。主役のカズはそのままゴール裏に走り抜け“お約束”のカズダンスを披露する。 日本代表のユニフォームでもベルディのユニフォームでもそして横浜FCのユニフォーム姿でも“生カズダンス”を見られる機会に恵まれた私は思わず
“もっと手を大きく回せよ…そうやっていたじゃないか…”こう口から出た…だが同時に思った。 

さすがカズ。 KING KAZU ここにあり…

この試合の前日、ようやく懇意にしている仙台営業所の方と連絡がとれた。数日前にガスが開通しこれでライフラインが揃ったと安心しておられた。 電気は地震から4日後に、水道が10日後に使える様になったとのこと。御自慢の自家用車はすっかりダメになってしまったらしいがすぐ近くでは一瞬にして全てを失った方もおられ未だ途方に暮れている様子が痛いほど解るとの事、もう震災というよりも心災ですよ… こんな話を聞くと計画停電やガソリン不足なんて物の数にも入らないと言う事が改めて解った。 “でも私は何にもしてあげられないですねぇ…。家を建てて上げたり、店を造ってあげたりとか…” こういう私に
“でもガスの配管修理を知れくれた方は中部ガスから派遣された方達で、そんな人達から頑張って下さいって云われるだけでもすごく勇気が沸くんです。” 反対に私が感動させられてしまった……



本来は New Zealand All Whites との親善試合が行われる日だった。 日本人の中で最も All Whites をサポートする資格のあるのはこの私…と変な理屈をつけて2月に震災にあった国からのチームを私は思いっきり応援しようと楽しみにしていた。
しかし3月11日、あの地震と津波で事態は一転。今度は日本が勇気付けられる立場になっていた。 そしてサッカーどころでは無くなっていた。楽しみにしていたけど被災された日本、ニュージーランドの方達と比較になんてならない、それは被害状況が明らかになる度に感じる事だった。
All Whites の来日がキャンセルされ、替って J-League 選抜とのチャリティーマッチとなった。そして J-League 選抜のメンバーを見て就業時間にも関わらず、うおおっっっとぉぉぉぉぉ~~ と声が上がった。 GK 楢崎、川口、DF闘莉王、中澤、 駒野MF 俊輔、憲剛、小野、小笠原、FW 大久保、原口元気そして KING KAZU おいおいこっちが代表と言ってもおかしくないぞ… 久々にキックオフが待ち遠しいワクワクする期待感が沸き上がった。 惜しむらくは現場観戦したかったけど…

注目のスタメン。日本代表は Asian Cup メンバー。あぁ香川がいればなぁ… そしてシステムはザッケローニ政権下では初めてのお披露目となる 3-4-3 。内田、長友の“両サイドバック”が中盤に上がりDFラインは伊野波、今野、吉田で構成されていた。  J-League 選抜は俊輔、カズ(まあ後半からと思っていたけど)はベンチスタート。CBは中澤、闘莉王そして右SBに駒野とワールドカップを彷彿させるDFライン。 そして中盤の底には小笠原、中盤は左に憲剛、右に小野。前線には佐藤寿人と大久保がならぶ豪華メンバーだった。



日本代表のキックオフで始まった試合。J-League 選抜が先制すれば面白くなるなぁ...と云う期待に応えたのか?立ち上がりは リーグ選抜が攻め上がる。特に左SBの新井場の上がりが良い。対峙するかつての同僚、内田に対抗意識を燃やしているのか...4分17秒には新井場の粘りからCKを得て小野が上げたCKに闘莉王、中澤が飛び込む。 6分50秒には佐藤が森脇がマークに入る前にミドルを放つがGK川島が左手一本でナイスセーブ。 このシュートが入っていればなぁ...と思った。
しかし立ち上がりのリーグ選抜の攻勢もここまで9分から 内田、長友の両サイドの上がりが目立つようになり代表の攻撃が続く。9分には長友が梁をかわしてクロスを上げるが中澤がヘッドでクリアー、10分には遠藤からスルーが岡崎に通るが中澤がマーク。内田からPA内に入った長谷部に渡るがここは小笠原がクリアー。その直後には再び長友が小野のマークを振り切りクロスを入れるがここも再び中澤がクリアー。だがその直後には長友が上がった裏に小野が入り込むが小野の突破はファールで止められた。
長友、内田がMFに配置されて高い位置からがんがん上がって来るので中盤で対峙する憲剛と小野が前に出られなくなり相手攻撃を跳ね返してもクリアーボールからすぐに攻撃に転じられるのでリーグ選抜は相手ゴール前にボールを運べなかった。



そして15分中澤のミスパスを拾った本田がドリブルで上がったところを憲剛のチャージがファールにとられ代表は絶好の位置でFKを得る。本田か遠藤か..とみていると遠藤が直接狙った弾道は壁の右端を巻いてゴール左端に飛び込み代表が先制した。 
ゴールを決めた遠藤がベンチ前に走り腕の喪章を外して天に掲げると他の代表の選手もそれに追随する。この試合の意味を再認識させられた。



そしてこの先制ゴールで“試合”としての興味は半減気味だった。 
それに“追い打ち”を掛ける様に18分23秒、本田スルーパスがCB闘莉王と中澤の間に走り込んだ岡崎に通りすのままフリーで抜け出した岡崎がリーグ選抜ゴールに蹴り込みリードを広げた。



代表は先制ゴールを上げてから前線の前田、本田、岡崎がポジションチェンジを繰り返し早いボール回しが目立ち出す。
そして次第に個々のスピードの差そしてパスのレンジの差が出てくる。 リーグ選抜のミドル、ロングパスもしばしば“これも取られるのか?”と云った距離から相手DFのマークが入ったり読まれたり。 19分23秒に長友が中澤を振り切りファーサードにミドルを放った時はシーズン開始直後のJリーグとシーズン真っ最中の欧州でプレーする選手とのコンディションの違いもあるのだろうけど個々の差を感じた。
その直後にリーグ選抜は左サイドを突破、新井場から憲剛そして梁に繋ぎ逆サイドの小笠原に振りゴール前に放り込まれたがクリアーに入った今野とGK川島が交錯しCKになった。この支配初めてリーグ選抜が相手ゴール前でボールを繋いだシーンだった。 24分になるとリーグ選抜は小野と憲剛がポジションを替えた。それでもリーグ選抜が得点チャンスを掴めそうなのはCBの闘莉王、中澤が上がって来るCKやFK等のセットプレー。 今野、吉田らと競る空中戦は見応えがあった。セットプレーから何とか1点を...と思うも28分15秒、前田からスルーパスに走り込んだ本田が中澤のマークを振り切りシュートを放つ。何とか楢崎が意地でストップをしたがまたすぐに得点が入る気がしてならなかった。
30分代表ベンチは最初の選手交替を告げた。GK川島を下げて西川(広島)を投入した。代表は3人GKを入れているので30分ずつ3人を使いきるのかな...と思っているとその通りに61分には東口(新潟)が投入された。
ピッチ上では相変わらず代表の攻勢が続く。31分24秒には内田が佐藤のバックパスをインターセプトしそのまま中央からドルブルシュートを放つがポストの左に外れる。リーグ選抜は小野と憲剛がポジションチェンジをするが両者にボールが入らない。
33分には遠藤に闘莉王がタックルに入るがテクニックを見せて交わし更に本田との浮球のワンツーを見せ大観衆を沸かせる。



35分小笠原のパスをカットした岡崎が攻撃参加しPAのすぐ外の中央に上がった今野に送りゴール前に走り込むがその前に闘莉王が今野の後方からタックルに入り笛が鳴る。 絶好の位置で代表はFKを得るとすぐに本田がボールをセットする。大観衆は本田のFKを期待する。さっきは遠藤が蹴ったので今度は本田だろうとおもうと本田の蹴った弾道は大きく浮き上がってしまい溜息が洩れた。 
37分左サイドを上がった新井場に入った内田のチャージがファールとなりリーグ選抜はFKを得る。今度は梁がゴ―ル前に蹴り込むと闘莉王が飛び込みバックヘッドで狙うが今野の足に当たってCK。憲剛が蹴ったCKに大久保が飛び込むが吉田にクリアーされた。 リーグ選抜の得点チャンスはセットプレーからのみ......代表がワールドカップ以降の日本代表。そしてリーグ選抜はワールドカップ直前迄の日本代表をそれぞれ見ている様であった。
こうしてロスタイムが無かった前半は代表が“差”を見せつける内容、得点差で終わった。

後半、代表はシステムは 3-4-3 のままGK西川とCB今野以外8人の選手が替った。 
3バックの右SBには栗原 ( 横浜FM ) 。 ボランチに柏木 ( 浦和 ) 阿部 ( レスタ- ) MF は右に松井 ( グルノーブル ) 左に槙野 ( 1FC Köln ) 前線にはワントップに Asian Cup 殊勲のボレーを決めた李忠成 ( 広島 ) 左に地元でプレーする乾 ( C大阪 ) 右に藤本 ( 名古屋 ) が配置された。 
一方のリーグ選抜はGKに川口 ( 磐田 ) が楢崎に替って投入され、CB中澤に替って茂庭 ( C大阪 ) , FW大久保に替って浦和レッズのFW原口元気が投入された。 原口よ U-22 の遠征に行かなくて云いんかいな....
前半には見られなかった地元C大阪の選手と浦和の選手が2人ずつピッチに登場した。 そして中村俊輔も小笠原に替って投入された。しかし怪我が完治していないのか小笠原と同じ中盤の底のポジションだった。

リーグ選抜のキックオフで始まった後半は開始15秒俊輔のミドルシュートの皮切りにリーグ選抜の攻勢が続いた。
俊輔が低い位置でボールを拾っても正確なロング、ミドルパスを小野、憲剛に送る。 代表は一気に常日頃コンビを組んでいない同士の控え組がピッチに入ったのでミスパスが目立つようになった。49分には槙野のクリアーがあわやオウンゴールになりそうであったが最後は栗原がCKに逃れた。 小野、憲剛がボールを触る回数が激増し両者から素晴らしい縦パスが入りまたサイドバックの上がりも前半は左から新井場だけであったが右の駒野も上がれる様になった。
53分には憲剛と佐藤で左サイドを崩し原口に繋ぎ原口から後方に落としたところを梁がミドルを放つが今野がブロック。56分21秒には梁を囮にして小野が前線の佐藤に技ありのロングパスを入れる。58分には再び佐藤に俊輔からロングボールが入るが今野が必死のマーク。 59分俊輔が相手DFのクリアーボールを拾い右サイドから入れたクロスに逆サイドに走り込んだ闘莉王が飛び込むが僅かに合わない。60分28秒には俊輔から憲剛に縦パスが入り更に前線の原口に渡る。原口が右サイドに振るとボールを受けた駒野がアーリークロス気味に放ったシュートは僅かにクロスバーを越えた。
相次ぐリーグ選抜の攻撃に沸くスタンドが更に沸いたのが62分5人の選手が一気に投入された時だった。
DF 小宮山 ( 横浜 FM ) MF 関口 ( 仙台 ) FW 平井 ( G大阪 ) FW ハーフナー ( 甲府 ) に並んで御大 King KAZU がついに登場した。 カズの交替出場がアナウンスされた時は大歓声が当然の様に沸き上がった。 そしてカズとピッチを共にする全ての選手が彼に尊敬の念を払っている様に見えた。
これで役者が揃った感じがしたけど代表のレギュラー陣が揃った時のカズも観たい気がしないでもなかった。
この交替の前に代表はGK東口に並んで岩政が今野に替って投入されDFラインが槙野 ‐ 栗原 – 岩政 – 伊野波の4バックになった。 その岩政に投入されたばかりのハーフナーが当たって倒しイエローカードが出された。
70分44秒、 Asian Cup の殊勲者李忠成が新井場のバックパスを拾ってダイレクトでシュートを放つが川口がストップ。
川口は72分50秒にも小宮山からボールを奪ってループ気味に放った松井のドリブルシュートも弾き出し見せ場を作った。
72分代表はスペインに渡った家永 ( マジョルカ ) を乾に替って投入する。
しかしピッチ上ではリーグ選抜の攻勢が続いた。 73分29秒には平井からボールを受けた原口が右に走った関口に出し吉田のマークを振り切りファーサイドに向けて放ったシュートは惜しくもポストの左に外れて行った。 78分代表は伊野波を下げて森脇 ( 広島 ) を投入する。森脇の代表デビューだった。
そして81分13秒、俊輔がハーフウェーラインの前から川口に戻し、川口が大きく前線にフィードすると闘莉王が岩政とそのハイボールを競り合った......

1点を返したリーグ選抜は更に大歓声の後押しを受けてカズを中心に攻勢を続ける。86分には李忠成に闘莉王が肘を入れ両者が何かを云い合い、俊輔と関口が止めに入り闘莉王にイエローが出される。 
試合終盤になり両チーム試合結果に執着する様になったか..観ている方は面白い。
劣勢の代表は88分ようやく松井が左からドリブル突破をし家永に送るがここはオフサイド。その直後パスミスを拾った李忠成がシュートに持ち込むが川口の正面。
観衆は更なるカズゴールを求めて声援を送る。カズにボールが入るだけで大歓声が上がった.........

試合中も何度か地震情報のテロップが流された。その度に現実に引き戻される気がした。 
この試合で感動を与えたからと言って地震、津波で家族や財産を一瞬にして失った人達や不便な避難所生活を強いられてる、そして元の生活に戻れる見通しが全く立たない人達にどれだけ役に立ったかわならない。まして自分がそういう立場になったら....
だが後日ある番組で避難所生活をしていた子供たちが“おぉぉ~すげぇ~カズダンスじゃん。見られて良かったぁ~”と云ったシーンを見て私は少し安心する事が出来た。 さすがの King KAZU..... だった。