Mr.コンティのRising JAPAN

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中国女子は凋落か世代交代か…

2010-11-24 | Football Asia
日中両者は今年5月30日、来年ドイツで開催されるワールドカップ出場権を懸けて中国 Chengdu スポーツセンターで行われた Asian Cup の3位決定戦で対戦しており日本が安藤梢と澤のゴールで中国を破り来年ドイツで開催されるワールドカップ出場を決めた。中国女子は北京五輪の準々決勝でも敗れているのでこのアジア大会準決勝は是非とも勝たかったに違いない。さもなくば日本戦、公式戦しかも地元で3連敗となるからだ。

両チームのスタメンとベンチ入りの選手は下記の通りだった。

中国:GK 13-張越 DF 3-周高萍 4-李丹陽 5-袁帆 6-翁新芝, MF12-王一航 18-屈珊珊 9-馬君
10-李琳 11-古雅莎  FW 17-庬豊月

控え:1-張艶茹 2-劉華娜 7-孫凌 14-孫莉莎 15-于雅慧 8-徐媛 16-張娜

日本:GK 1-山郷望 DF :3-矢野喬子 2-岩清水梓 4-近賀由香里 13-熊谷佐己 MF :18-高瀬愛美
6-阪口夢穗 10-澤穗希 8-宮間綾 7-上尾野辺恵 FW :11-大野忍

控え:5-鮫島彩 9-北本綾子 12-海掘鮎上 14-山口真美 15-長船買奈 16-川澄奈穂美

于雅慧が韓国戦怪我でベンチに下がったせいか周高萍が左SBに入る。袁帆と組むCB は170cm の李丹陥。韓国戦スタメン右SBだった162cm の劉華娜に替って韓国戦CBだった 168cm の翁新芝が右SBスタメン。 FW韓国戦MFだった庬豊月の1トップ。韓国戦MFは総入れ替え、韓国戦FWスタメンの2トップの1人王一航はMFに下がり徐媛はベンチスタート。
孫凌、孫莉莎の韓国戦スタメン組みはベンチスタートで交替出場だった屈珊珊と古雅莎そして170cmの馬君がスタメン。高身長を並べたか?だけど孫凌は 175cm 。張越は 186cm の長身GK。 日本は北朝鮮戦とスタメンを並べた。

中国女子代表は Asian Cup までエースストライカーだった美人選手でアジア大会の前怪我の為に代表入りがならないことが表明されていた韓端他、5人の選手が入れ替わっていた。そしてその試合でスタメンでこのアジア大会もメンバー入りしていた4人の選手、GK張越、DF劉華娜、MF 孫凌、FW徐媛らがベンチスタートとなった。 FW孫凌は Asian Cup 日本戦では30分に怪我でピッチを後にしていただけにこの試合、スタメン出場したくなかったのかな?
今大会のなでしこは Asian Cup の中国戦でもスタメン起用された Budesliga でプレーするFW安藤、MF 永里らは召集されず、山口がベンチスタート。FWに大野、MF 高瀬、上野辺ら控えだった選手がスタメン起用された。北京五輪での中日戦のメンバーと比較してみるとDF 翁新芝がこの試合スタメンの中では唯一スタメン出場した選手で、MF 古雅莎が途中出場、この試合ベンチスタートのGK張越、劉華娜、そして徐媛が五輪では日本戦にスタメンに名を連ねていた。
なでしこのスタメンでは岩清水、矢野、近賀、阪口、宮間、大野そして澤穂希が五輪の中国戦でスタメン出場だった選手達。中国代表の方がそれだけ世代交代中ということだったか?

試合は地元の大観衆の声援に後押しをされた中国女子が優勢に試合を進めたらしい。
最終的なボール支配率日本が45%, 中国 55% 。シュート数中国12 に対し日本が10。今年に入り東アジア選手権、Asian Cup での対戦に比較すると最も厳しい戦いだったともう。 
前半終了終盤には中国の21歳のFW庬豊月にゴールを割られたがオフサイドの判定に救われ、59分には徐媛が王一航に替り投入されトップに入る。延長前半1分には馬君のヘッドがポストを叩いた。
延長前半7分には今大会サイドバックとして良い働きをしていた翁華娜が投入されるが先制したのはなでしこ。延長後半3分に近賀が放ったシュートはGK張越に弾かれたがこぼれ球に詰めた大野忍が中国ゴールに蹴り込み見事に先制ゴールを挙げた。
そして中国ベンチはもう1人左サイドバックの干雅彗を投入して同点を狙うもなでしこは虎の子の1点を守りきり、三度連続、中国の地で中国女子を破った。 

ネットの試合経過を見ていて、先制してからは本当に1分が長く、時間が経つほど更に長く感じられた。しかし勝利が解った時は何とも言えない安堵感に包まれた….. なでしこにまたも敗れた中国女子だったけど、ここ4試合の敗戦では“最も健闘出来た。”との報道が目立った。
 

   

中国女子サッカーは自信を失っていた。次は勝利を求める。 馬君

アジア最強の日本相手に 0-1 と云う敗戦はある程度予想されていたが、この試合で自信をもってプレーした若い中国女子選手達を見ると将来への希望が感じられた。試合終了後佐々木日本女子代表監督は“タフな試合だった。中国はかなり変わった。”とのコメントを残した。
中国女子代表はこの2年間、日本と北朝鮮に勝った事は無く、凋落の一途をたどり選手達は自信を完全に失っていた。若い選手達は自信回復がまず必要とされた。そしてゴールは認められなかったものの21歳の庬豊月は “我々はよく戦う事が出来た。翌年から始まる五輪予選で日本と当たるだろうが自信を持って戦う事が出来るだろう。”と語った。

李霄鹏監督に攻撃的MFにコンバートされ日本戦では惜しくもポストを叩いてしまったヘッドを放った馬君は “これで今年日本戦は3敗となったが、この試合は他の試合よりは内容が良かった。我々はまだ発展途上段階。次回は勝利を収めたい。”と試合後に話した。
3試合連続でスタメン出場を果たした186cmのGK張越は日本の連続攻撃を何度も凌いだ。 彼女は“ この試合は最後まで 200% の力を出し切れた。越秀山に集った数万人のサポーター達に感謝したい。彼らにパワーを貰った。”
中国女子チームの李霄鹏監督はこの準決勝戦のメンバーが今後の中心選手となるだろうと語った。スタメン選手6人が1989年以降生まれの選手だ。 “私が20歳の時は彼女達ほど上手くプレー出来なかった。ここには希望がある。”

       

袁帆:アジア大会があの主審の最後の試合とすべきだ

アジア大会準決勝の日本戦の敗戦を選手達は受け止める事が出来たが韓国人の洪恩娥主審の判定は受け入れがたいものだと語られている。 
中国女子チームは2回連続で同じ主審の疑惑の判定に泣かされた、試合後中国DFの袁帆は“次はベストな主審を。彼女を見るのはこれが最後にしたい。”
中国チームの先制ゴールが認められなかった事に就いて袁帆は怒りを抑えられない。そのシュートシーンを彼女はエリア外から見ていた、洪主審はもっと近くの良く解る位置で見ていたはずだった。 “ボールの位置は明らかにオフサイドではなかった。我々選手は主審の決定には逆らわないが彼女はルールをよく解っていないことも考えられる。” この日主審を務めたのは韓国人の洪恩主審。中国選手達の反則は細かく取ったが袁帆は中国女子はこれまでこの様な仕打ちを受けたのは最初ではないと語った。
“今年の Asian Cup 準決勝戦で中国は日本に敗れたが、日本ゴール前で明らかに手でクリアーされたシーンがあったが彼女は反則を取らずにその結果今の日本がある。この試合でも日本のハンドを見逃す等日本を勝たせようとする意図があった様に思われても仕方が無いジャッジだった。この試合を最後に彼女が起用されない事を望む。”

例えこの試合に敗れ決勝進出はならなかったが袁帆も敗戦の中に自信は得る事が出来たと述べていた。 “この日、我々は良くやれたと思う。自信を持つことが出来ただろう。 勝てはしなかったが翌年の五輪予選は自信を持ってプレーできると思う。”
5月の Asian Cup の日本対中国戦でも洪恩娥氏が主審を務め日本選手の“疑惑のハンド”を見逃されたのが原因で中国はワールドカップ出場を逃したとも言われた。そして再びこのアジア大会でも主審を務めたのが洪恩娥主審。 外交の世界では日本叩きの為には喜んで手を組む韓中両国だけど、それとも歴史問題ではけっこうバトルを繰り広げる両国だしなぁ…. 今年の女子サッカーでは結果的に日本に味方しているのか?いやいやこれは絶対に実力だ。


韓端:私はこのチームが気に入った。将来がある。心の底から李霄鹏監督に拍手を
怪我の為チームに合流できなかった韓端は試合のあった越秀山競技場から数千マイル離れた大連でこの試合をテレビ観戦し、試合後地元スポーツ紙に“選手達は本当に将来性がある。このチュームが好きだ。彼女達は自分の特徴を生かし李霄鹏監督のスタイルでプレーをした。私は本当に李霄鹏監督に拍手を送りたい。”と語った。
120分間の激闘のテレビ観戦を終えた韓端は“今回は本当に辛かった。よく知っている競技場にチームメイト達、本当にとんで行って一緒にプレーをしたかった。”
この試合を終えて最初に出たコメントだった。
”ここ数年の日本との対戦では最も良い内容だった。いつも日本におされているのだがこの日は日本を支配する時間が長かった。主審の誤審が無ければ90分以内で勝負が付いたかもしれなかったのに本当に残念な結果になった。”

韓端はこの試合でチームが3つの点で大きく改善された事を指摘した。
まずポジショニングが良くなった。以前はボールに対して1人、2人と重なっていたがこの試合はみな集散が早く位置取りが早くなっていた。日本を恐れずに選手達はみなプレーしていた。
次に試合中のフォーメーション構築が良かった事を指摘していた。前線から3ラインが敷かれていたが各ラインとの間の距離が適度に保たれていた。特に2列目と3列目の受け渡しが良く、日本の侵入を容易に許さなかった。韓端は屈珊珊、庬豊月ら多くの若い選手達を賞賛した。“彼女達はパニックに陥ることなく若さ独特のエネルギーを見せた。人々は彼女達の将来性を見られただろう。 GK 張越も特に称賛した。彼女のロングキックは攻撃に転じるには必要な武器だ。そして大変落ち着いていた。代表での No.1 GKとなり得るだろう。”

韓端は第3点目としてチームスタイルの確立を指摘した。
この試合で我々は明らかな李霄鵬スタイルを見出すことが出来た。これまで我々は足を地に着け対峙する相手とファイトして来た、そしてその為のトレーニングを続けて来たが我々は充分に強さが無い。この日のチームはまさに規律ある戦術の施行が栄誉ある敗戦の中に見られた。我々は李霄鵬監督のこのスタイルを指示し、全ての試合でこれが続けられれば本当にすぐに進歩するだろう。

   

私も気に入っている中国美人ストライカーの韓端は Asian Cup 終了後、代表から引退するかもと噂されていたし本人もロンドン五輪まで続けるか白紙だと言っていた。今大会の新チームを見てと云うよりも李霄鵬新監督の方策に感銘を受けたようだ。彼女が居ると良無いとはやはり違うのかもしれない。そうなれば私も中国戦が楽しみになるんだけど… しかし3位決定戦では韓国に 0-2 で敗れてしまう。 アジア大会で女子サッカーがメダル無しに終わるのは初めてだ。最近の韓国女子は U-20, U-17 も台頭が目覚ましい。そして1次リーグでは0-0 で引き分けている。だけど世間はまさか韓国に負けると言うよりもメダル無しで終わるとは思わなかっただろう。 今大会、金メダルを量産し続けている中国代表だけどサッカーはそうはいかなかった…… そして一気に李霄鵬新監督の進退問題にまで発展してしまった。だけど日本も来年のワールドカップ、そして2年後のロンドン五輪が終わった後の世代交代はどうなるだろう。 U-17, U-20 を見ているとまだ当分の間安心していられるか…

 

なでしこ達の快進撃に忙しい出張中にかなりの力を授かった。でももっともっと、パワーを貰う事になった……