Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

またも韓国に…. AFC U-19 韓国 3-2 日本 11.10. 2010

2010-10-24 | Football Asia

10月11日、ソウルでの韓日戦の前日に中国で行われた翌年のコロンビアで開催される FIFA U-20 のアジア地区予選を兼ねたAFC U-19 準々決勝戦で日本 U-19 前回に続き韓国U-19 に続き敗れ、 前回に続き U-19 でアジアの壁、と云うよりも韓国の軍門に降ってしまった。
70年代から韓国代表との戦績はフル代表はたまに引き分ける事があったが、学生選抜を含めた年代別代表には全く歯が立たなかった時代が続いた。1993年のJ-League 発足翌年に開催されたアジアユース大会では韓国に勝利を収め(と思ったけど)、これから日韓の力関係が激変すると喜んだ。しかし、1996年大会以降アジアユース、 AFC U-19 での日韓直接対決の戦績を見ると今回の敗戦を含めて2分( 1PK 勝、1PK負 ) 6敗となっている。この上の五輪世代になるともう少し良い勝負をするんだけど…

今年は特に日韓直接対決はどうも分が悪い。バンクーバー五輪では真央ちゃんはヨナちゃんに敗れ、スピードスケート短距離陣は韓国勢の後塵を拝し、FIFA 女子U-17 決勝でもPK戦で敗れ、バスケットの世界選手権でも1次リーグで1点差で敗れ次のラウンドに進出出来なかった。それだけにこの試合、頑張って欲しかったんだけど….

この日の試合を見る為に契約したわけではないが生中継をしてくれたテレ朝チャンネルに感謝しながらキックオフの瞬間を待つ事に。
日韓共に中2日で臨む準々決勝戦。日本は5日前、10月6日のベトナム戦で既に1次リーグ突破を決めており2日後、8日のヨルダン戦は主力を温存。GK中村を除くこの日のスタメン全員が中4日で韓国戦に臨む事となった。
一方の韓国は1次リーグ最終戦のオーストラリア戦を前にまだ1次リーグ突破を決めていな無かったので強豪相手に主力温存とは行かず、MF のキムギョンジュン(高麗大)とイギジェ(東国大)そしてFW鄭陞勇: チョンスンヨン(FCソウル)以外は全てオーストラリア戦のスタメン。前述の3人も交替で途中出場をしていた。 
長身 181cm 鄭陞勇の起用はもう1人の長身186cmFW池東ウォン(全南)と高さで日本DF陣を制圧する狙いだった。 またMFキムジョンジュンとイギジェの起用は “攻撃的に問題が無いから。” ( 試合後李グァンジョン監督談) との事だった。

日本はFW指宿こそ194cmだったが他のフィールド選手は全員180cm未満。韓国は2トップそしてCBのチャンヒョンス(延世大 ) 黄道然 ( フォンドヨン 全南 ) 右SBの金眞秀 ( キムジンス 新葛高校 ) そしてボランチの崔成根 ( チェソングン 高麗大 ) ら6選手が180cmを越える選手。年代が下がれば下がるほど体格、フィジカルの差が大きくのしかかって来る…と心配は尽きなかった。

日本のキックオフで始まった試合は開始早々から韓国がロングボールを多用して猛攻を仕掛けてくる。 1分もしないうちに金泳旭 ( キムヨンウク 全南 )が阿部(横浜FC)をかわして右サイドから中に放り込む。一旦はクリアーするものの再び右サイドで金泳旭が拾いクロスを上げようとするがその前にマークに入った酒井(新潟 ) を倒してファール。 その直後にも中央から池東ウォンが放ったシュートを日本DFがクリアーするも金眞秀が左サイドで拾って粘りスローインを得ると黄道然のロングスローに合わせてFW池東ウォン、チョンスヨンが日本ゴールに雪崩込む。 更のその直後にも右サイドからのクロスに池東ウォンがポストとなりピンチを招くが何とかクリアー。 中2日の韓国選手に対して日本選手は中4日。休養は充分のはずだが韓国選手達の早い一歩の前に後手を踏む。恐らく中4日空いたことで実戦感覚が少し鈍っていたのではないか?

それにしても開始からスタンドから韓国を応援する大歓声が選手達を後押しするかのように…. “加油!韓国隊 “の大合唱をするのは子供の声。折からの有りもしない”日中間の領土問題“、と尖閣諸島での”中国船問題“ を題材にした反日教育の現場実施か??? こう言った環境で相手を破ってスタジアムに静寂を呼び戻して欲しいと思った。

9分44秒、空中戦で菊池(草津)と金泳旭が交錯し共にピッチに倒れる。頭部を切った金泳旭がピッチの外に運び出されるが、どちらかと言えば金泳旭が後からぶつかっていったプレー。だけどこういう積極的なプレーを日本選手も見せて行って欲しいと思った。
立ち上がり韓国のプレッシャーに押され続けた日本は12分ようやく指宿からボールを受けた宇佐美( G 大阪 ) が右に送り菊池のクロスを導く。一旦は跳ね返されるもののこぼれ球を拾い宇佐美に繋ぐと宇佐美はそのままドリブルシュートに持ち込むが GK 盧東建 ( 高麗大 ) がナイスセーブでコーナーに。
宇佐美がさすがガンバ大阪のレギュラーと云う実力を見せた。 
そして劣勢続きの日本がその直後の13分に先制ゴールを挙げた。右サイドを上がった阿部が入れたクロスに中央に走り込んだ遠藤 ( 湘南Y ) がDF2人に囲まれながら右に落とすと走り込んだ指宿の豪快なシュートが韓国ゴールに突き刺さった。
圧倒的に押されていた中での先制ゴールだった。

  

しかし韓国は再び猛攻を繰り返す。 18分には中盤右サイドから池東ウォンとチャンスンヨンの待つゴール前に放り込まれると鄭陞勇に藤田( 慶応大 ) のマークをかわしてシュートを撃たれたがここはGK中村の正面に。 
19分24秒には右SBの李鑑真 ( FC ソウル ) のクロスからまたも長身の鄭陞勇、池東ウォンに渡りピンチを招く。24分にはFKから池東ウォンに渡り危ないシーンが。 FKはおろか前半は風上を選ばれた為GKまでもそのまま危険地帯に放り込まれてしまう。何とかそれを跳ね返してもボランチの崔成根、金泳旭が高い位置に押し上げこぼれ球を拾われる。更に金眞秀がガンガン上がってくる様になる。
日本もようやく酒井、阿部の右サイドコンビが時折突破を見せるが最後は宇佐美のキープ力頼りだった。

そんな中次に得点を挙げたのも日本だった。 29分コーナー付近でスローインを得て、阿部の入れたスローインをバウンドを利用した指宿が上手く身体を入れてシュート体勢に入ったところをCBチャンヒョンスに倒されてPKを貰った。そしてチャンヒョンスにはイエローカードが出された。 オマーン人の Mohamed Masoud 主審がよく見ていてくれた。しかしもっとよく見てくれたのは線審。 そのPKを指宿が一旦盧東建に止められたが、盧東建は指宿が蹴る前に前に出てきており止められた直後に旗を挙げてやり直しを命じてくれた。そのやり直しPKを決めて日本が追加点を挙げた。 この時点で翌年のコロンビア大会が大きく近づいたと思ったのは私だけでは無かっただろう。 

だがこの後この試合を大きく左右するゴールが韓国に生まれる。
リスタート直後、日本ゴール前に大きくフィードされたボールは鄭陞勇が CB遠藤を背にしてヘッドで前の送るとボールは阿部とCB平出 ( FC 東京 ) の間を転がりそこに脱兎のごとく走り込んだキムギョンジンが押し込み折角広げたリードがまた1点になってしまった。DF2人の中途半端な対応が招いた痛い失点であった日本の2ゴールの時には聞かなかった大歓声が沸き上がる。 
韓国相手に無失点で終えられるとは思わなかったけど、一番与えてはいけなかった時間帯での失点だった。

これで生き返った韓国は更に激しく日本ゴールに迫る。後方からそして両サイドからロングボールをどんどん入れてくる。特にサイドからはワンタッチで正確なボールを入れて来る。フィールド選手で唯一180cm以上あるワントップの指宿が自陣ゴール前に入ってハイボールに対応するのでカウンターに転じても最前線のターゲットが無いのでもう宇佐美のドリブル以外ゴール前に迫る術がなくなってしまった。
そして44分19秒遂に同点ゴールを許す。イギジェのCKからマークに入った平出より更に高い打点で黄道然が捉えたヘッドは一旦藤田がクリアーするがそのこぼれ球を黄道然自ら押し込まれてしまった。このCKもその前にGK盧東建からのGKが直接池東ウォンに渡りヘッドでそのままイギジェに繋がれ撃たれたシュートを何とかCKに逃れたもの。 

それでも試合はまだ振り出しに戻っただけ、残り数分を凌いでそのまま前半を終えてくれれば…と云う淡い期待も吹っ飛んでしまう事になる。 PAから少し離れたゴール正面で与えたFKをチョンスヨンが直接狙うと弾道はGK中村のセーブをものともせず日本ゴールネットに転がりこみリードを許してしまった。 このFK壁の間に入り込んだFW池東ウォンがチョンスヨンのキックに合わせてしゃがみそこを弾道が抜けて行ったもの。ここに何故池東ウォンを立たせたのだろう.. 同点ゴールからこの逆転ゴールまで僅か2分間だった。本当に天国から地獄と云った前半だった….. この状況、昨年のFIFA U-17 のスイス戦に似ているなぁ….. 

 

後半に入っても立ち上がりから韓国の猛攻にさらされる。 
46分、池東ウォンのFK,そしてカウンターからまたも池東ウォンがドリブルシュート。その直後、遠藤のパスをカットした金泳旭が前線に送ると遠藤、平出のマークを抜けたチョンスヨンが放ったシュートを、立て続けにGK中村がファインセーブで防ぐ。
どのシュートも決められてもおかしくは無かった。まだ運は尽きていない。韓国と言えども前半の総攻撃で体力を使っているので後半終盤になってくると同点、逆転のチャンスは生まれて来る、とこの時は思った。
しかし相変わらず頼りになるのは宇佐美のドリブルのみ。55分にはドリブル突破から指宿にスルーパスを送り、60分には自らドリブルシュートを放つが力なくゴール左に外れて行った。
確かに後半は時間を追うごとに韓国の出足も鈍りだし、タフなマークも緩んできたが、中盤でボールを持っても繋ぐ意識が高すぎてパスコースを探すうちに韓国MF陣にゴール前を固められてしまう。韓国の様にもっとロングパスを多用しても良くは無かったか? 

後半、スタンドからはあれほど鳴り響き続けた“加油!韓国隊!”という歓声が消えていた。 大会当局から指導が入ったとは思えない。恐らく後半は日本隊を応援しましょうと事前に指導されていたのが、それこそ大会当局からの指導で後半は黙って見ましょう、と言われた方が可能性が高いだろう。それとも共産党本部からの指示か…

64分日本ベンチはMF酒井を下げて同じ新潟所属の加藤大を投入する。 
しかしその直後またも大ピンチが。中央で粘った金泳旭が右前方に上がったフリー池東ウォンにロブを上げ、池東ウォンが落としたところをキムギュンジュン(高麗大)が至近距離から放ったショットはまたもGK中村がブロック。さらにそのリバウンドを拾った池東ウォンが至近距離から再び叩くがこれも中村がキャッチ。 
天は、いや中村隼人は我をまだ見捨ててはいない、と思い同点ゴールを引きよせてくれる….とまだまだ思っていた。

72分日本は2列目右の菊池(草津)を下げてC大阪の永井龍を前線に置く。永井は投入されて直後黄道然をかわして金泳旭、崔成根がマークに入る前にシュートを放つ。弾道はクロスバーを越えるがこのシュートを見てゴール前の宇佐美ともう1人ボールを持てる選手が出て来て得点シーンが近づくと思った。
79分には後半に入って前線で孤立していた指宿を下げて187cm長身の杉本 ( C大阪 )を入れる。専門紙に掲載されていた布啓一郎 U-19 監督のインタビューを読むと、試合前から韓国はロングボールを多用する事は解っていたので杉本を指宿と共にスタメンから使うかと思ったんだけど…

82分、右サイドを加藤大からボールを受けた宇佐美が中に送ると抜け出した永井の放ったシュートはクロスバーの下を叩いてゴールの外に飛び出してしまった。 あぁ、ひょっとしてここまでか….しかしまた10分弱時間は残っている。韓国のマークも出だしも鈍っている...と期待はしていたが...

しかし韓国ベンチも76分にFW鄭陞勇を下げて尹溢鹿(慶南Y/晋州高)を88分には奮闘していた MF 金泳旭を下げてペクソンドン(延世大)を入れて逃げ切りを図る。そして4分あったロスタイムにも得点は入らずタイムアップとなり日本は2大会連続で韓国に準々決勝で敗れ FIFA U-20 への道を断たれてしまった…. そう、またも韓国に…… 

 

日本はこの大会でも何故負けたのだろう……

メンバー選考は…
この試合後中学生の息子に “ レッズの原口元気が出てくれなかったから U-19 は韓国に負けてしまったぞ。” と、こう言うと、“行かなくて良いよ。原口はレッズでゴールを決めてくれれば良いよ。それに宇佐美以外は(所属 J-League の)レギュラーはいない。だから原口だった行かなくて良いよ….”
これは今のJ-Leagueの各チーム関係者の本音を代弁している事だろう…..

東京Vの高木兄弟、柏の茨田… CBにキローラン木鈴… 布監督が選ばなかったなんじゃなくて選んでも出して貰えなかったんじゃないかな…..そしてアーセナル入りの内定している宮市も…
確かに所属チームでの活躍も重要だけど、やっぱり海外の代表と対戦し世界を目指す事はもっと重要と思うのだけどなぁ…

専門紙の著名な解説者は監督の事も指摘していた。 “布監督は 2004 AFC U-16 でも指揮をとったけどアジアの壁を破れず、一昨年 AFC U-19 でベスト8止まりだった時の監督牧内氏がこのチームのコーチ。 何故失敗した2人を起用するのか….” 確かに一理あるけど、監督、コーチからすればベストメンバーを組ませて貰えなかった不満もあるんじゃないかな ?
そしてこの試合には協会上層部は誰も顔を出さなかったらしい。翌日にソウルで韓日戦があったにしても、この試合が終わってからでも間に合わなかったのかな??  
                              


大会日程…
日本は初戦の UAE 戦を何とか勝利を収め続くベトナム戦を 4-0 で快勝し勝ち抜けを決め、第3戦のヨルダン戦はレギュラーを休ませるといった余裕があった。 
しかし初戦の最難関の UAE 戦は何とか相手の自殺点で勝利を拾い、続くベトナム戦もスコアーこそ 4-0 であったが試合内容はそんなに完勝ではなかったらしい。 
一方の韓国は初戦で強豪のイランを 2-0 で破り続く格下イエメン戦は苦戦を強いられたが 1-0 で退け最後にオーストラリアと 0-0 で引き分けての日本戦。 
日本は初戦で最も手ごわいUAEと対戦しベトナム、ヨルダンとだんだん力の落ちる相手を経ての韓国戦。 韓国は強豪を相手にしたあとの日本戦…. 立ち上がりの韓国の猛攻と後手に回り続けた日本、それはこの日程も寄与したか…. 

      
              

やっぱり所属先も…
韓国は大学生が4人いた。そして左SBの金眞秀は高校生。 日本もボランチの藤田(慶応)六平(中央)が大学生でDF遠藤、岡本はユース所属。でも韓国の2トップ池東ウォン( 全南 ) とチョンスヨン ( FCソウル ) そしてボランチ金泳旭 (全南 ) CB 黄道然 ( 全南 ) らキーとなる選手は K-League の所属。でも今は高校生、 League では韓国の方が一枚上を行っているのかも…学生選抜は日本が少し上か..?

世代別はあくまでも育成が目的。だから FIFA U-20 に出られなくてもワールドカップ予選でアジアの列強を抑えられれば良いという人もいるらしい。
しかしやはり負けるのは悔しい。
決勝戦はテレ朝チャンネルで中継され、激戦の末北朝鮮がオーストラリアを 3-2 で破ったけど、ちょっとアジアのレベルも変わりつつあると感じた....

10月25日今度は U-16 がウズベキスタンでアジアの最終予選に臨む。 
この大会、韓国は予選ラウンドで北朝鮮に敗れタイ、ベトナムの後塵を拝して敗退しているのでここで韓国へリベンジとは行かないが、前回に続いて世界への扉を開いてほしい……