子供時代に本で「ナポレオン」を読んで王位継承者でない一般人なのに「皇帝」になった英雄という事で印象に残っていました。今回映画になったのを知り近くの東宝シネマズ八千代に観に行ってきました。ストーリーが今一貧弱で戦闘場面の迫力が目立つ映画で、お勧めは出来ません。戦争映画の好きな人には向いているかもしれませんが・・・。
クーデターで政権を握る事は他の国でもある事ですが、それで皇帝になった人物は珍しいです。時代が長く続いたルイ王朝が腐敗していてマリーアントワネットが断頭台の露と消えたフランス革命が起こった混乱の時期で一般民衆が力を持ってきた時代だからあり得た事なのでしょうか。ナポレオンは王でなく皇帝です。それも「フランス皇帝」です。
※関心のある方⇒参照「王と皇帝の違い」要するにナポレオンの「フランス皇帝」は「王」やそれまでの「皇帝」と違い、キリスト教の権威を背景とせず、フランス革命の気風を受け継ぐ純粋な市民の支持を背景とした全く新しい型のヨーロッパ君主だったのですね。 有名な戴冠式の絵でも、ナポレオンは聖職者から冠を奪って皇后ジョゼフィーヌへ自ら冠を捧げています。 従来のヨーロッパ君主は聖職者に冠を与えられてキリスト教的権威を手に入れるのですが、ナポレオンはそれを否定し、フランス市民の支持こそが皇帝の権威を形成するのだと示している典型的な絵です。
将校から上り詰めて皇帝になったナポレオンが妃ジョセフィーヌをどれだけ愛していたかという一人の男としての一面からも映画は描かれています。ただ実際はどうだったのか判りませんが、ジョセフィーヌを情欲が強い娼婦的な魅力の持ち主として描かれていて、何か違和感を感じました。少なくとも妃であるならもっと違った面の描き方があった気もします。
ロシアとの戦争で敗れて権力を失って一度島流し(流刑)にあいますが、再び戻ってきて将校としてフランス軍を指揮する事になります。そういう人物がそんな事が出来るには、何か大きな理由や時代的背景があるはずですが、そこが描かれていなないので違和感を覚えます。免罪にもならず「島流し」から勝手に戻ったら普通は捕らわれるのが当たり前ですから。当時の社会がふたたびナポレオンの登場を期待する何かがあったはずです。