鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

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お気に入りその796~山伏と僕

2013-09-10 12:30:02 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「山伏と僕」です。

坂本大三郎著「山伏と僕」を読みました。
著者のことは先日ラジオで偶然知りました。
最新作「山伏ノート」が紹介されていたのです。
それと同時に紹介されていた著者のプロフィールは特異なものでした。
それはざっと次の通り。

・渋谷で働いていた若者が偶然山伏になった。
・彼の「職業」は山伏ではなくイラストレーターである。
・山では自給自足生活をしている。
・ツイッター等で情報発信している異色の山伏である。

などなど。
こんな面白そうな人のことをもっと知りたいと思いました。
そこでまず入門編から入ろうと思って読んだのが、昨年出版された「山伏と僕」です。

AMAZONから内容紹介を引用します。

=====
30歳、僕は偶然、山伏の世界に入った。
迷っていたら、山が、教えてくれた。
自然の人=山伏の姿から、現代人の生き方を見つめ直す。
自然の美しさにウットリする日本人の心を、平安時代の昔から、ずっと大切にしてきた山伏。
その世界に、ヒョンなことから踏み入った著者が、山から、生きるヒントを得ていきます。
古くて、新しい、画期的生き方論です!

山を訪れ、質問を投げかければ、山は無言でそれに答えてくれるでしょう。
山は、どこまでも広く深い、母なる無の世界なのです。
(本文より)

(「BOOK」データベースより)
30歳、著者は偶然、山伏の世界に入った。山に登り、滝に打たれ、ホラ貝を吹く。自然の美しさにウットリする日本人の心を、昔から、ずっと大切にしてきた山伏。その姿から、現代人の「生き方」を見つめ直す。
=====

「山伏と僕」は山伏の予備知識がない著者が体験したことを順を追って書いているので、読者が擬似体験できる優れた入門書です。
特に衣装、食事、修行、風景などが読みやすい文章とイラストで丁寧に描かれているところが魅力です。

山伏は、縄文時代の人々の知識に、大陸から来た神道、密教、陰陽道などが加わり、独自に進化してきたものだそうです。
古くは「ひじり」と呼ばれており、人々の暮らしに必要な日付(暦)の知識を持っている人「日+知り」を意味し、大切な役割を担っていました。
白装束は死人を意味し、死者の側の住人です。
そのため、普段は会社社長、教師、格闘家、芸術家など様々な職業についている人々や、犯罪歴のある人なども、現世の関わりがなく平等な関係です。
山伏の教えの根底には、縄文時代から伝わっている生と死が混在した自然崇拝主義があり、著者は今後もそれを学び続けたいと願っています。

1万年も平和な時代が続いたといわれる縄文時代。
縄文式土器、土偶、ストーンサークル、貝塚などから垣間見える高い精神性に私も興味を持っていました。
私の住む石狩平野北部は、縄文時代前期から中期、続縄文時代などの遺跡が点在しています。
北海道・北東北の縄文遺跡群を世界文化遺産登録をめざそうという動きもあります。
あまりに古い時代のことで細かいことまで判っていませんが、世界遺産登録をめざす中でもっと研究が進み、日本人の根底に今なお流れる自然を崇拝する精神性がもっと明らかになることを願っていました。

そんなときに、まさか山伏の本を読んで縄文文化の一端を知ることになるとは思ってもいませんでした。
驚くとともに納得もしました。
日本各地の祭、伝承、風習にさえ縄文文化の一旦である自然を崇拝する精神性が根ざしているのだから、精神性を特に重んじて修行を続ける山伏にこそ多くが伝わっているのは明白。

本書を読んで山伏になるのもいいな、なんてちょっと思いましたが現実的ではありません。
せいぜい本書の続編「山伏ノート」を読むくらいが現実的。
早速注文しようと思います。





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