鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

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お気に入りその845~ダーウィン先生地球航海記⑤

2014-01-01 11:33:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ダーウィン先生地球航海記⑤です。

「ダーウィン先生地球航海記」の全5巻を読み終わりました。
2013年中に読み終わりたかったのですが、ぎりぎりまで仕事があり、またその後は家の大掃除でなかなか本を読む時間がなかったので年を越してしまったのです。
それでも元日早々5巻ものを読み終えるというのは読書好きにしてみれば満更でもないスタートといえます。

さて航海記としてはおそらく最も著名な「ビーグル号航海記」。
それを児童書とはいえ、読み終えたことに満足を覚えました。
若きダーウィンが後に進化論、種の起源へと発展していく基礎をたっぷり仕込んだ航海体験だったことは十分理解できました。

第5巻ではニュージーランド・オーストラリアからスタートし、アフリカ喜望峰をまわり、一度ブラジルに立ち寄ってからイギリスに帰国します。
本書ではサンゴ礁の研究にかなりのページを割いています。
浅い海でしか生きられないサンゴがサンゴ礁を構築するためには地盤のゆるやかな沈下を考慮に入れないと無理という当時にしては新しい理論です。
チリで巨大地震に遭遇し隆起した地盤を目撃したことや、アンデス山脈の高高度の地層に貝化石を観察したことも、地盤(地殻)のダイナミズムを受け入れる基礎となりました。

生物についても同様のダイナミズムがあることを連想するには十分な体験でした。

イギリスに帰ったところで航海記は終わります。
荒俣宏はそれに続けて「ダーウィン伝」を書いて補足しています。
進化論、種の起源にどうつながっていったのかを詳しく紹介しています。
その中にはショッキングな話やちょっと面白い話が出てきます。
ビーグル号の船長だったフィッツロイが後に自殺したのは敬虔なクリスチャンだった彼がダーウィンの進化論に間接的にも協力したためだったということ。
航海の途中に虫に刺され感染症を患い、帰国後は活発な活動ができなかったこと。
その割には結婚し10人もの子供に恵まれたこと。
ミミズが畑の土壌改良に協力しているという研究も彼が最初だったこと。

最後に。
ダーウィンが未開人に対いて辛辣な批判をし、博物学者として理解しようとしない姿に残念な思いがしたと以前の巻で書いたことについて。
最後に訪れたブラジルで黒人奴隷のことについて書いているのを読み、彼を見直しました。
ほんの些細なことで奴隷に拷問が加えられることに嫌悪感を表し、イギリスやアメリカ合衆国が大きな痛手のもとに彼らを解放した事実が慰みになると書いているのです。
彼が人種差別論者でなかったことに安心しました。
白人以外、クリスチャン以外を見下す狭い考えの持ち主なら進化論は考え付きもしませんよね。

本書は絶版図書ですが最寄りの図書館にはあるはず。
ぜひ子供たちにも大人にも読んでもらいたい、平易な本です。


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