鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2015~たくさんのふしぎ7

2021-04-07 12:12:20 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ7です。
これまで400巻以上発行されている「たくさんのふしぎ」。
100冊以上読んだ今も、読みたい巻が見つかります。
うれしいことです。

①地下にさくなぞの花
出版社の内容紹介を引用します。
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地面の下で咲く花があると聞いたら、どう思いますか? 
「土におしつぶされちゃう」「虫がこられない」「光がなくていきていけるの?」などと思ってしまいますよね。
でもオーストラリアで、ほんとうに地面の下に花が咲いているのを見つけたのです。
いったいどんな花なのでしょう?
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著者はオーストラリアで地下で花を咲かせる蘭を探します。
前半は地上の珍しい蘭の紹介。
ある蘭は、ハチのメスに似せた形とニオイでオスを呼び寄せて、メスを連れ去ろうとして抱きついて飛び立つとオスの背に花粉が付くという仕掛けを用意しました。
しかも偽のメスと気づき、その場から飛び立とうとしてもなかなか脱出できず、背中に繰り返し花粉が付くという巧妙な仕掛けです。
偶然そういう形状の蘭が生まれ、優先的に子孫を残すことで特化したのでしょうが、自然の妙に感心しました。
岩の上に生えたコケに根を張り、わずかな雨を茎に貯め込むように進化した蘭もあります。
さて、主題の地下で花咲く蘭ですが、これがなかなか見つかりません。
地元の専門家と手分けして探し、ようやく見つけます。
この蘭は、木の根と共生する菌類から栄養を吸収して成長する寄生植物。
光合成をしないので葉はなく、苞(ほう)というつぼみを包む葉のような部分が土を押し広げ、その空間に花を咲かせ、実をつけます。
花が咲く時期は冬。
花は小さな穴で地上とつながっていることから、暖かい日に活動するハエにより受粉するのではないかと考えられています。
発見することさえ困難なこの蘭は研究がほとんど進んでいないようです。
本書には種子を遠くに運ぶ方法が書かれていなかったので調べました。
肉質の果実を動物が食べて種子を遠くに運ぶのだそうです。
だから花を地表付近で咲かせ、果実の香りを地上に振りまく必要があったのです。
地下世界には人の知らない不思議が今回の蘭以外にもきっとたくさんあるのでしょうね。

②町のスズメ林のスズメ
出版社の内容紹介を引用します。
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日本では「町の野鳥」のスズメがヨーロッパでは林に住んでいます。
ヨーロッパでは町はイエスズメの領分なのです。
身近な野鳥スズメのふしぎを集めていくと……。
人とスズメの仲間たちが歩んできた、長い歴史の旅を語ります。
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スズメ、ニュウナイスズメ、イエスズメという3種のスズメと人間の関りを知ることができてとても面白かったです。
日本ではスズメが人里に住み、ニュウナイスズメが里山に住んでいます。
ヨーロッパではイエスズメが人里に住み、スズメが里山に住んでいます。
日本とヨーロッパでスズメの住む場所がちがうのはなぜでしょうか?
その違いは体の大きさにあるのだそうです。
体の大い順で並べるとイエスズメ、スズメ、ニュウナイスズメ。
2種が同一地域にいる場合、体やくちばしが大きい方が人里、小さくて小回りが利く方が里山という風に住み分けるのだそうです。
またニューヨークでは樹木に害虫が多くて困っていたため、ヨーロッパのイエスズメを放鳥して悩みを解決したことや、シベリア鉄道に沿って町ができる度にイエスズメも生息域を広げ、今では日本を目前とする極東地域にまで迫ってきた話が興味深かったです。
スズメが人とともに歩んできたことを改めて知りました。
最近札幌ではスズメをあまり見かけません。
どうしたのかな、心配です。

③まるいはマリモ
出版社の内容紹介を引用します。
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湖の底に重なり合って沈んでいるマリモは、緑色のボールのように見えますが、実は生き物なのです。
北海道の阿寒湖にもぐり、湖底で暮らすマリモについて調べてみました。
美しい水中写真を交えながら、ふしぎな生き物、マリモのなぞにせまります。
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道産子の私にとってマリモは子どもの頃から身近でした。
だから本書に書かれていることは知っていることの方が多いだろうと思いつつ読み始めましたが、知らなかったことだらけでした。
たとえば・・・。
・阿寒湖のような大きなマリモはロシアでも発見されたが、水質汚染のため絶滅し、今では阿寒湖にしか生息していない。
・富士五湖の3つの湖にはかなり小さいマリモが生息している。
・阿寒湖では4か所あった生息地の内、水力発電や水質汚染の影響で2か所は絶滅した。
・長い年月をかけてゆっくり成長するため、サッカーボール大になるまで何年かかるのかは判らない。
冒頭の部分だけでもこんなにたくさん知らないことが出てきました。
さらに次のようなことも知りました。
・マリモの大きさは30cmくらいが限度のようで、小さいうちは中心まで藻だが、大きくなると中が空洞になり、球形を保てなくなり、破れて岸に打ち上げられる。
・マリモにチリが積もると回転してチリを落とす。
・内部の藻まで緑色を保つのには大きなエネルギーが必要。
・マリモの生息地を保護するためその付近は水上に立ち入ることさえ禁止されている。
・売られているマリモは近隣の湖に生息する球形になっていないマリモをミキサーでバラバラにしてから球状に固めたもの。
世界で唯一大きく育つ阿寒湖のマリモの貴重さと不思議さをいっぱい感じることができた一冊でした。

④庭にできたウサギの王国
出版社の内容紹介を引用します。
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飼育箱のかわりに、庭で放し飼いにすることにしたウサギ。
飼育箱の中では見られない、野生のウサギの姿を紹介します。
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ウサギは放し飼いするとあっという間に野生に戻ることを知りました。
メスは穴を掘って出産し、出入り口をふさぎ、1日1回だけ掘り返して授乳します。
この習性はアマミノクロウサギも同じだった記憶があります。
その子たちが成長すると、けんかをして互いの強さを測り、群れの中での順位を決めます。
さらに成長して青年になると、オスは大人のオスとけんかをするようになります。
オス同士のけんかはいつまでも続くため、一緒に暮らすことができず、オスだけが別の家にもらわれていきます。
ここで注意が必要なのは、山に放さないこと。
日本古来のウサギと種が違うので、繁殖できないのだそうです。
これも知りませんでした。
それより何よりウサギがただおとなしいだけの動物でないことに一番驚かされた巻でした。

毎巻ひとつのテーマについて学ぶことができる「たくさんのふしぎ」シリーズ。
今回も新しいことをいっぱい知り、好奇心をたっぷり刺激されました。
次も楽しみにしています。



コメント
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