鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1931~さだまさし

2020-05-20 12:35:20 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、さだまさしです。

さだまさしの小説が好きです。
特に「風に立つライオン」や「アントキノイノチ」は絶品でした。

また、さだまさしの語りも好きで「噺歌集」というコンサートの語りだけを収録したアルバムをドライブのおともにしていたこともありました。

先日新聞広告で「酒の渚」というエッセイ集を出したことを知りました。
AMOZONで調べると「一時的に在庫が無いがすぐに入荷します」というような表示。
 ※今は普通に注文できます。
すぐに注文できないんだ、と思いつつ、他の作品に目を通しました。
すると「かすてぃら ~ 僕とおやじの一番長い日」というのが目に入りました。
サブタイトルが、名曲「おやじの一番長い日」の感動的な歌詞を連想させます。
2012年に発行されていたそうですが、今まで見逃してました。

どんな内容か、AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
若き父の記憶は、カステラの香りとともに、故郷の風景を連れてやってくる―。
作家・さだまさし、初の自伝的実名小説。
=====

早速読んでみました。
これまでの小説と随分違います。
自らのことを書いているため、照れがあるのかもしれません。
過剰なくらいにオチをつけて笑いをとろうとしています。
さらに文章がこれまでのものに比べ、粗いような気がします。
じっくり読ませようという気が無いのか、冷静に書けないのか。

おやじの若い頃から死までを息子の目を通して書いた文章は、私にとってとてもタイムリー。
数か月前に父を亡くし、いろいろな方のお話を聞く中で、改めて父の生涯を振り返ったばかりだったもののですから。
本書を読みながら、ついついわが身に重ね合わすことの多かったこと。
ただ、さださんのご家族や親しくしている方に個性的というか大物が多いため、重なるのはごくごく小さな部分だけでした。

本書にはいろいろな方が実名で登場します。
映画「まぼろしの邪馬台国」のモデルになった宮崎康平。
映画「風に立つライオン」のモデルになった医師・柴田紘一郎。
大陸でロシアや中国を相手に諜報員として活躍したさださんのお爺ちゃん。
ウラジオストクで日本料理屋を経営していた拳銃の名手、さださんのお婆ちゃん。
そして警官や不動産屋、果てはヤクザまで相手に大人げなく大掛かりな報復をしていたお父さん。

並べるだけで個性が強烈すぎます。
誰を主人公にしても立派な本が出来上がります。
今回はこの中からお父さんを主人公に選んだということ。
父親って息子にとって特別な存在ですから。

本書は出だしこそギクシャクしていましたが、1/3を過ぎると勢いが出てきてラストまで一気呵成に読ませました。
見事なもの。
そう、これこそさだまさし作品!
ああ面白かった!

台風被害で材木を流されてから不遇な時代を過ごしたさださんのお父さんですが、息子の活躍を喜び、また本書によってその生涯を知られるところとなり、幸せだったといえるのではないでしょうか。
さださん本人も大好きなお父さんのことを書き残すことができて幸せだったと思います。

さて当初の目的だった「酒の渚」が届きました。
続けて読むことにします。

コメント
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