鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1060~日本アルプスの蝶

2015-05-25 12:19:34 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「日本アルプスの蝶」です。

田淵行男著「日本アルプスの蝶」が届きました。
1979年に定価25000円で発行された高山蝶の生態図鑑です。
古本でも1万円以上もするので悩んでいましたが、つい購入しました。

先日ニッカウヰスキーのオールドボトルをがんばって入札しましたが、落札できませんでした。
その入札価格を考えると安いものです。
オークションに競り負けた腹いせでの購入は、著者に申し訳ないと思いつつも、それが本音。

しかし届いた本書を開くと機嫌はすっかり直りました。
プロカメラマンであり、ナチュラリストであり、詩人でもある著者の力量をわずか数ページで理解しました。

「安曇野の蝶」という細密画の画文集にすっかり魅せられたことは以前書きましたが、写真に興味が無いので写真文集には手をだしませんでした。
ただ田淵行男という人の生き様がどうしても気になり、あちこちのHPの拾い読みを続けていました。

そこで出くわしたのが次の記述です。

・美しき氷河期の後裔<高山蝶>のすべてを克明に記録した驚異の写真集
・34年の歳月と尽きせぬ情熱の結晶。名著「高山蝶」が、いまカラー版で甦る。
・雄大な自然に息づく9種の高山蝶を、科学者の眼と詩人の心でとらえる。
・それぞれの蝶の生活史を四季の自然の中に詩情豊かに解き明かす。

これは「レア物? 販促用パンフレット」というタイトルである方のHPに掲載されていた「日本アルプスの蝶」販促パンフの中の文章です。
横山光夫著「原色日本蝶類図鑑」や串田孫一著「博物誌」のように、詩情豊かでかつ科学的な文章が大好きな私は、これはいつか読まなくてはならない、と決心した瞬間でした。

こんなに早く入手するとは思ってもいませんでした。
大切に読もうと思います。
まだ写真をパラパラと鑑賞して「序文」と「序文に代えて」を読んだだけ。
それでも収穫はたっぷり。
高山蝶9種の卵、幼虫、蛹、羽化、成虫を、その体毛の一本一本までも細密撮影していました。
山の麓に移り住んで臨んだとはいえ、34年もかかった大事業です。
日本鱗翅学界会長絶賛の序文はお世辞ではありません。
そして「序文に代えて」も絶品。
「中村画伯はクモマツマキチョウとタカネヒカゲの発見者
 著者にとっては山と蝶の両方につながる大先輩
 何度読んでも血沸き、肉躍る思いのする名文である」
と紹介している通り発見時の感動が伝わる名文でした。
また補遺に収められている「随想」7本も期待大。

本書は大きくて重たいので、寝る前にとか入浴中にという読書は無理。
居間でバランスボールに腰掛け、膝の上に置いてゆっくり読みたいと思います。

最後におまけとして、もくじを引用します。
=====
序 (白水 隆:日本鱗翅学界会長、九州大学教授・理学博士)
序文に代えて「高山蝶発見物語」(中村清太郎)
I 棲家について
Ⅱ タカネヒカゲ
Ⅲ ミヤマモンキチョウ
Ⅳ タカネキマダラセセリ
V クモマベニヒカゲ
Ⅵ ベニヒカゲ
Ⅶ オオイチモンジ
Ⅷ ミヤマシロチョウ
Ⅸ クモマツマキチョウ
X コヒオドシ
Ⅺ 結び
補遺
I 高山蝶総括(1総説、2各論)
Ⅱ 随想
   目次
   1 霧の山稜-大切戸のタカネヒカゲ-
   2 東鎌尾根の一夜
   3 雪の蝶
   4 そのころの山・このごろの山
   5 岳沢と涸沢
   6 さらば捕虫網
   7 高山蝶周辺
Ⅲ 英文解説・高山蝶総括
Ⅳ 写真・図版目録
あとがき
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