元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

オーディオ機器の価格が高すぎる件。

2014-09-01 06:27:06 | プア・オーディオへの招待
 最近、オーディオショップでハイエンドのシステムを試聴することが出来た。ひとつはYG ACOUSTICSのスピーカーHaileyを中心とした装置で、アンプはKRELL、プレーヤー部はESOTERICのものが使用されていた。もうひとつはTECHDASのアナログ・プレーヤーAir Force Twoをフィーチャーしたシステムで、アンプはConstellation audioの製品、スピーカーはOCEAN WAYのモデルというラインナップだ。

 その価格はというと、前者の総額が1,000万円超、後者に至っては2,500万円超である。音は、それぞれ良好だ。まったく破綻の無い展開である。しかしながら、果たしてこの音がこれだけの高価格に見合ったものであるのかというと、首を傾げざるを得ない。少なくとも、私はこれらのサウンドに“感心”はするが“感動”は覚えなかった。



 これは以前から何度も言っていることで“またかよ!”と思う読者諸氏諸嬢もいるだろうが、昨今の高級オーディオ機器の、天井知らずの価格設定には閉口してしまう。軽く1,000万円をオーバーするようなものを、一体誰が買うのだろうか。

 もちろん“買える人がいるから、そういう商品が出回っている”ということに間違いないだろう。ただし、オーディオ機器というものは、他の趣味のアイテムと違い、個人的な範囲で完結してしまうシロモノだ。たとえば高級車を家のガレージで飾っているだけのオーナーはそういない。車は走らせてこそ価値がある。公道をドライヴしていれば皆が目にするし、誰かを同乗させて運転することも出来る。高価な宝石やファッションも、それを身につけて不特定多数に見せつける(笑)ことに意味があると思う。

 取引先の管理職に、ギターが好きで今まで購入費に1,000万円以上注ぎ込んだという人がいるが、何も彼は一度に1,000万円を投入したわけではない。長い期間にわたってその趣味を続けていった結果、合計金額が1,000万円に達しただけの話。しかも彼はよく家族や地域の人達のために演奏したりする。決して個人的な自己満足の範疇に留まってはいない。

 ところが、ピュア・オーディオのシステムは完全に特定個人(およびその周りの極少数)向けの用途しか持ち合わせていない。家族みんなが楽しめるAVシステムとも次元を異にする。だから考えてみれば、1,000万円超ものピュア・オーディオのシステムを(家族の反対なしに)買える人というのは、金持ちの中でも限定的な層なのだと思う。



 それに、今回試聴したような高価な装置を入手するリスナーは、果たして使いこなしが出来ているのだろうかと思う。あんなに大きくて重い機器は移動させるのも一苦労。細かなセッティングは至難の業だと思うし、ケーブルやインシュレーターを装着するのも苦労する。ひょっとして“高い機器を納品させて、無造作に置いてハイ終わり”ではないかと、貧乏人のひがみ交じりに毒づきたくなる(爆)。

 ・・・・とは言っても、前述のように“買える人がいるから、商品が存在している”というのは事実。どうせ庶民は買えない製品なので、どんなに高くても構わない。しかし、ディーラーも専門メーカーも業界ジャーナリズムも、そういった一般ピープルには縁の無い価格帯の商品ばかり褒めそやす傾向は、どう考えても健全とは思えない。

 こんなことを書くのも、試聴した超高級システムの音が“感心”のレベルで終わってしまい“感動”を受けなかったことに端を発している。聴く者を“感心”させるだけで良いのならば、もっと手の届く価格セグメントのものを広く紹介してもらいたいものだ。ましてや“感心”どころか、聴いていて“不快”になるようなチープな機器や音源が広く罷り通っている今日この頃である。

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2 コメント

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YGのアナットはあこがれなんですけど (プアーマン)
2014-09-01 23:24:43
秋葉原にダイナフォーファイブと言うショップがあるのはご存じだと思います
あそこの7階にズカズカと上がり込んで、見せてもらおうか、ハイエンド主義を体現したオーディオの実力とやらを。と言うノリで行きまして
たしかにどのスピーカーが鳴ってるかわからないけど、3階でも大して変わらない音で鳴ってるじゃないか。と思って帰ってきたことがあります

貧乏人にこんな機械は、そもそも無意味なのではないかと考えました
設計者の意図通りに鳴らすためには、専用の建物と専用の電柱が必要でしょう。いや、自家発電にしないといけないかも

この手の問題は昔からあるように思います
まだ、こんなモンスターが出てくる遙か以前、今よりずっと若かった菅野沖彦さんが、「高価な機器をそろえてるのに限ってひどい音で鳴っている。いい音なのは、そこそこの機器を工夫して鳴らしている人のものだ」とお書きになってました
今も昔もオーディオ屋は小売商であって、プロショップではないようですから、こういうハイグレードをただ納入するだけで、ハイエンドに鳴らせるインストーラーはいないのでしょう
でま、買った人が私のような駄耳なら、買っただけで幸せになるのだろうと(笑)

私は貧乏オーディオですが、インストーラーに恵まれましたので、ポン置きした2ランク上と同じくらいにはなってるのではないかなあと思っています
最近ではトランスポーターをLinuxのいいのにしたので(2万円しません)楽器の鳴り方が立体的になって幸せです
逆に、ハイグレードが天井知らずなら、下克上を楽しむのもありか、と考えます

エベレストがいまいちに思えたり、LS50がいいと思うとか、もしかしたらブログ主様と私は、オーディオの世界観が似てるかもしれません

またまた長文失礼しました
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コメント、どうもサンキューです。 (元・副会長)
2014-09-02 23:03:27
めちゃくちゃ高い機器ばかりを並べて、その結果が「とりあえずは良好なんだけど、びっくりするほど良くはない」という程度の音ならば、ハイエンドシステムの名がすたると思うのですが、メーカーもディーラーも評論家もそんなことを意に介さないのでしょうか。

拙ブログでも以前書きましたけど、私が“感動”した機器(特にスピーカー)はFALとかKiso Acousticや、G.T.SOUNDなどが挙げられます。それらは十分高価なのですが、今回聴いたシステムみたいに1,000万円を超えることは無いです。特にFALやG.T.SOUNDのスピーカーは安価なアンプでもガンガン鳴ってくれますしね。

どうも、今回聴いた法外な価格のシステムには、オーディオに対する“ときめき”みたいなものは感じないようです。何やら、成金が札束重ねて“とりあえず高いものを持ってこい”とディーラーに命じたような、そんなイメージですね。しかも、使われていた電源もケーブルも、これ見よがしなオーディオグレードの、値の張るシロモノばかり。試聴会の出席者諸氏も、何となく醒めていたような雰囲気でした。

行きつけのディーラーのスタッフが言ってましたが、“良い物は確かに高い。でも、高い物が全て良いとは限らない(大したことがないのも多い)”というのは事実なのでしょう。

いずれにしても、試聴会も単なる機器の展示より、使いこなしをメインにしたものにして欲しいです。とはいっても、ショップも(ビジネス上)単価の高い物の紹介から入らないとイケナイというのは分かりますが・・・・。

それでは、今後ともよろしくお願いします。
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