元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「マグノリアの花たち」

2008-11-27 06:38:55 | 映画の感想(ま行)
 (原題:Steel Magunolias)89年作品。公開当時は評判を呼んだハーバート・ロス監督作品だが、私はちっとも面白いとは思わなかった。原作はオフ・ブロードウェイの舞台劇。キャスティングはけっこう豪華である。

 まず登場するのが冴えない風貌の若い女、この役をその頃は人気が高かった「愛しのロクサーヌ」や「夜霧のマンハッタン」でおなじみのダリル・ハンナが演じている。彼女は美容学校を卒業したばかりでこれから街の美容院に就職するという設定だ。その美容院の女経営者が「9時から5時まで」などに出てて歌手としても有名なドリー・パートン。彼女の夫がサム・シェパードで、大工なのだが、あまり仕事がなく、文字通りの髪結いの亭主。そしてこの店の常連たちにシャーリー・マクレーン、オリンピア・デュカキス、サリー・フィールドとアカデミー賞候補にいつも名をつらねる女優たちが扮している。

 さらにフィールドの結婚を間近にひかえた娘役が、当時は若手売り出し中だったジュリア・ロバーツ。映画はこの6人の人生模様というよりも、フィールドとロバーツの親子に絞られ、他のキャラクターはこの二人を取り囲む形になっている。

 導入部の美容院のシーンでロバーツが糖尿病の発作を起こすくだりがあるが、もうそれだけで結末がわかってしまうのが興ざめ。それだけでなく、各女優の個性から誰がどんな役でどんな演技をするのか事前に予想がつくし、本編もやっぱりそのとおりだったりするから面白くない。せいぜい美人のダリル・ハンナに不細工なメガネをかけさせるくらいでまるで意外性がない。無礼を承知で言うなら「昼メロ的予定調和」に満ちた作品である。

 物語の舞台になるルイジアナ州の小さな街の風景をカメラは美しくとらえているし、音楽もいいんだけど、なんとも退屈な映画だった。同じ頃に公開された、これも豪華キャストによる家族ドラマ「バックマン家の人々」と比べると、あちらはビビッドな「世代論」として目を見張るものがあったけど、こっちはとりたてて言うほどの内容がない。どうして評論家たちのウケが良かったのかイマイチわからない映画だ。

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