元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「眠らない街 新宿鮫」

2013-06-30 06:36:03 | 映画の感想(な行)
 93年東映作品。大沢在昌による人気警察小説シリーズの映画化で、監督は滝田洋二郎。警部鮫島(真田広之)は、かつてはエリートコースを歩んでいたが、警察内部の事件に巻き込まれ、今では新宿の防犯課に左遷状態である。無鉄砲な捜査で“鮫”とアダ名され、上層部からも煙たがられている。

 ある日、改造拳銃による殺人事件を目撃した鮫島は、改造銃製造のエキスパート木津(奥田瑛二)の存在に思い当たり捜査を始めるが、それをあざ笑うかのような連続殺人が発生する。やがて彼は、恋人のロックシンガー(田中美奈子)にも犯人の手が伸びていることに気がつくのだが・・・・。

 これは失敗作だ。何より主演の真田にハードボイルド的の雰囲気が皆無なのが痛い。軽くて貫禄がなく、出てきてもちっともワクワクしない。



 確かに冒頭にヤクザの車を特殊警棒でいきなりたたき壊す場面やら、警察を内側からひっくり返すスキャンダルを主人公が握っている事実うんぬんを小出しにしたり、一匹狼ハミダシ刑事物の体裁を取っている。しかし、カッコつけているわりにはピンチになった時にやたらナサケなかったり、追跡シーンの段取りがマヌケだったりして、“おやおやこれは”という気分になってしまうのだ。派手なアクション・シーンもまったくない。

 主人公よりも敵役の奥田の方が目立っている。凶悪犯でしかもゲイ。ひそかに鮫島を“ネラって”いるところも面白い。

 ヒロイン役の田中だが、まったくダメ。全然ロックシンガーに見えない。外見だけ取り繕っても、歌い方はしっかりアイドル歌手である(爆)。当時の監督の話では“「ストリート・オブ・ファイヤー」のダイアン・レインの線を狙った”らしいが、とてもとても。

 プロットは結構よく出来ていたが、これは原作(読んでいない)によるもので、当然のことだろう。オール新宿ロケ(しかもほとんど夜間)という意欲だけは買うけどね。それにしても、この映画に出てくるのと同じ、ポケットベルに似せた改造銃が実際あったことを知って少しびっくりした私である。

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