元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「沈黙の戦艦」

2019-01-18 06:57:23 | 映画の感想(た行)
 (原題:UNDER SIEGE )92年作品。今ではスティーヴン・セガールの主演作をクォリティの面で期待している観客はあまりいないと思うが(苦笑)、この映画はなぜか公開前には“アクション巨編”として賑々しく宣伝され、映画ファンの注目を浴びていたのである。私は封切り日に観ているのだが、客席は満杯だった。そしてロビーでは、業界関係者と思しき人たちが“楽しみにしていた映画がやっと公開ですね”という感じで談笑していたことを覚えている。時代が違えば、興行における扱いも変わってくるものである。

 核を積んだアメリカ海軍の戦艦“ミズーリ”がテロリスト一味に乗っ取られる。それに単身立ち向かうのは、元米軍特殊部隊の強者で、問題を起こして今は“ミズーリ”のコックに格下げになっている(笑)ライバックという人物。圧倒的な武装と人員を誇るテロリストたちに対し、果たして彼に勝ち目はあるのか・・・・という話だ。



 ストーリーは「ダイ・ハード」シリーズと似てるのではないかというとの意見もあるかと思うが、事実、この作品が公開されたおかげで、「ダイ・ハード3」の脚本が書き直されるハメになったという逸話がある。

 セガール御大は相変わらずだ。表情に乏しく、緊張感のかけらもない。それまでも「刑事ニコ/法の死角」(88年)「死の標的」(90年)などの過去の主演作も観ているのだが、印象としては合気道が上手いだけのタフガイにすぎない。戦艦のシージャックという設定は悪くないが、展開が行きあたりばったりで、登場人物の位置関係もハッキリせず、ハデな銃撃戦で場面を繋いでいるだけのようだ。

 政府関係者の対応がステレオタイプで面白くないし、敵の親玉(トミー・リー・ジョーンズ)との決闘も意外性がなくあっけない幕切れ。驚くようなアクションシーンもなく、核ミサイル発射の恐怖も希薄なら、ラストのカタルシスも十分とは言い難い。まあ、監督がアンドリュー・デイヴィスというB級なので、多くは望めないだろう。

 結局、観終わって印象に残ったのは、ヒロインを演じるエリカ・エレニアックの大きいバストだけだった。しかしながら、現時点では作品自体を一種の“ネタ”として楽しむ余地はあるかもしれない。
コメント
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