元・副会長のCinema Days

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「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」

2016-11-13 06:52:38 | 映画の感想(な行)
 (原題:Knockin' on Heaven's Door )97年作品。今年(2016年)あろうことかノーベル文学賞の受賞者になってしまったボブ・ディランだが、「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(邦題:天国への扉)は彼の代表曲の一つで、数多くのミュージシャンにカバーされている。本作はこのナンバーをモチーフに作られたドイツ映画。2人の男の人生最後の冒険をクールに描いたロードムービーである。

 同じ病室に入院中しているマーティンとルディは、ともにガンの末期患者で余命幾ばくも無い。ある晩、こっそりとテキーラを飲んで酔っ払った2人は、冥土の土産にまだ見たことがない海に行こうと思いつき、酒の勢いで病院を抜け出してしまう。



 駐車場の高級車を盗み出して海に向かう2人だが、何とその車はギャングが使っていたもので、中には大量のヤバい金が隠されていた。下っ端ギャングのアブドゥルはボスに上納する予定だった金が無くなって大慌て。金を取り返すべく、2人の後を猛追する。

 主人公達が病身でありながら無茶な逃避行をするハメになるという、この設定は面白い。トーマス・ヤーンの演出はQ・タランティーノ作品からのパクリが目立つけど、無邪気っぽくて愛嬌があるので許せる。だが、ドイツ製のシャシンであるためか、あまり画面は弾まない。また、筋書きに思い切った仕掛けがあるわけでもない。それでも、ひょうきんなマーティンとマジメなルディのコンビネーションは面白く、切ないラストシーンを見せつけられるとシンミリとした気分になる。ハリウッドでリメイクしても良い素材かもしれない。

 主役のティル・シュヴァイガーとヤン・ヨーゼフは好調。特にシュヴァイガーは脚本にも参画しており、多才な人材であるのは事実のようだ。ボブ・ディランのタイトル曲はゼーリッヒが担当しているが、悪くないアレジだと思う。

 余談だが、この曲のカバーで一番気に入っているのはガンズ・アンド・ローゼズのヴァージョンである。これも映画の挿入曲(「デイズ・オブ・サンダー」のサウンドトラックに収録)なのだが、ハードロックのテイストが良い案配にミックスされ、実に聴き応えがある。オリジナルよりも演奏時間が適度に長いのもよろしい。
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