その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ハイティンク指揮 ロンドン交響楽団 マーラー「大地の歌」ほか

2009-10-12 07:27:05 | コンサート (in 欧州)
 今日は、一日休日勤務だったが、夜のこのコンサートを楽しみに何とか頑張った。シューベルトの「未完成」は何年ぶりだろう。マーラーの「大地の歌」もなかなか聴きに行くチャンスに恵まれなかったので、今回が初めて。しかも、ハイティンク大先生の指揮となれば、これが楽しみでなくてなんだろう。

 前回のシーズンオープニングコンサートの時も日曜日の夜で、その時はチラホラ空席もあったが、今夜は流石にハイティンク大先生のおかけか満員御礼。ハイティンクが舞台に登場した際の聴衆の拍手の暖かさで、皆の今日のコンサートへの期待感が分かる。

 演奏は予想通りの素晴らしいものでした。シューベルトの「未完成」は、叙情性豊かな柔らかい音楽を創っていました。しんみりと聴き入ってしまう「未完成」でした。ハイティンクの指揮振りを見ていると、「匠」という言葉が本当に相応しいと思います。巨匠というより名匠。丁寧に、丁寧に、丹念込めて音楽を創っていくという感じが、背中から伝わってきます。日本の人間国宝の人が工芸作品を作りあげていくシーンを見ているかのようです。

 そして、休憩を挟んでマーラーの大地の歌。静かに、そして深く、感動しました。特に、メゾソプラノのクリスティーン・ストォーテン。どっかで見たことのある人だなあと思ったら、なんと、この間のマーラーの復活で素晴らしい声を聴かせてくれた人ではないですか!今日も、素晴らしかった。特に、最終楽章”Der Abschied”では、この音楽が持つ静寂や孤独を見事に表現していたと思います。とっても地味な人ですが、その清らかな声には聴き入らずおえません。

 あと、予定していたテノールが風邪のため代役で急遽出番となったアンソニー・ディーン・グリフィー。とっちゃん坊やみたいな外見は自分だけに笑いを誘いましたが、代役としてのミッションを見事に果たしていたと思います。

 オーケストラも素晴らしかった。オーボエ、フルートの木管陣がきれいな音を奏でていました。弦楽器も、ハイティンクの指揮に一生懸命応えようと、頑張ってました。このオーケストラは演奏面で失望することが、少なくとも私の場合は、これまで全く無い。素晴らしい実力の楽団だと思います。

 今日一日、休日勤務した甲斐が本当にあったと心から思いました。繰り返しになりますが、静かに、深く感動してホールを後にしました。

終了直後。まだ、皆さん表情にまだ硬さが残ります。


 素晴らしかったクリスティーン・ストォーテン(右)と代役を見事に果たしたアンソニー・ディーン・グリフィー(左)


 ハイティンク大先生もグリフィーにねぎらい


 ハイティンク大先生も満足げでした


 花束贈呈もありました


 オケもお疲れ様でした!


11 October 2009 / 19:30
Barbican Hall

Schubert Symphony No 8 ('Unfinished')
Mahler Das Lied von der Erde

London Symphony Orchestra
Bernard Haitink conductor
Christianne Stotijn mezzo-soprano
Anthony Dean Griffey tenor
コメント (2)
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