過去に、自分の車が車両火災になり、消火の影響で水浸し&消火剤まみれになってしまった車両を直したことがありました。すべて自分で修理したため大変でした。今回は、お客様で水没してしまった車両の依頼がありました。点検し、修理可能であれば、直したいと思います。
レッカーで入庫でしたので、最初にどこまで水没したかチェックですが、エアクリーナーボックスに水が入っていたので、トップカバー付近までは、水没したようです。外装を外し、順番に分解していきますが、エアクリーナーボックス内に水が入り、キャブレターも水付着で、キャブレターを外してみるとインテークバルブが閉まっていたポート内は水が残っていました。
各部水抜です。全分解組立が最善ですが、その場合は、買うより高くなるので、被害状況を先に確認です。ギアケースは、あまり水が入っておらず、白濁したオイルが規定量より少し多く出てきました。エンジンについては、マフラーから水が入り、エキパイからエンジン内に入った量もあるため、先に、エキパイとサイレンサーを外し、マフラー内の水抜です。エンジン内についてはドレンボルトを外すと水の方が重いので、先に水が出て、オイル受け2杯ほど水が出てから、白濁したオイルが出てきました。
オイルを抜いてから、オイルパンを外して、清掃です。エンジンオイルは、スペクトロ製を使用していたので、金属への付着が良く、錆止めになっており、白濁したオイルが付着しているものの、サビは見られなかったので、ある程度清掃し、オイルパンを戻し、新しいエンジンオイルを入れ、クランクを手で回し、新しいエンジンオイルが各部に回るまで回し続けます。ガソリンタンクにも水が入りましたが、ガソリンと水のため、水が下側に分離しており、水分のみパイプで吸いあげ抜きました。この後も大変で、機械類は平気そうなので、電気系チェックです。水分が残っといるとショートしかねないので、乾燥させ、ほぼ水分がなくなったところで、各部導通チェックおよび作動点検です。導通不良の箇所は、修理していきますが、面倒なのが電子機器とセンサーです。旧型Vmaxの場合、あまり電子部品がないので比較的楽ですが、点火系とVブーストは電子制御なので、最悪交換です。幸いイグナイター関係や、Vブーストコントローラーは生きていましたが、Vブーストモーターがダメで、作動しなかったので交換です。後スイッチ類は、フロントブレーキスイッチが復活しませんでした。
ゲルバッテリ-は生きていましたが、放電気味でしたので、補充電してエンジン始動です。とりあえず火が入ったので、アイドリングで回し、各部乾燥です。充電電圧も出ていましたので、充電系も平気そうです。
今回、交換した部品は油脂類とVブーストモーター、フロントブレーキスイッチです。
最終チェックと試乗です。ETCの作動確認を行い、ガソリンスタンドで新しいガソリンを入れ、しばらく街中を走行後、スピードを出さないようにして、関越自動車道を所沢まで往復してきました。あくまでも作動確認とエンジン内部の掃除、各部乾燥が目的なので、左車線をゆっくり走りました。夜でしたので、他の車両もおらず、80km/hで走行していました。気になったETCも正常作動し、反応しましたので、大丈夫そうです。ガレージに戻ってから、すぐにエンジンオイル、オイルフィルター、ギアオイルを熱いうちに再度交換しました。ようやく納車可能になりましたので、よろしくお願いいたします。
2019.11.02 作業担当 ヤダ(矢田)
オーナーから連絡があり、シートレール補強ユニット追加のご希望でしたので、装着いたしました。よろしくお願いいたします。