ヤマハ専門に、30年間2輪業界に在籍、主にVmaxの整備中心です。意見感想は、個人主観です。連絡先はカテゴリに有ります。
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先日から、新型VMAXのインテークをどうするか思案中なのですが、旧型との比較も含めて、考えてみました。個人的な思考をまとめる為に順を追って書いていますので、ちょっと面倒な内容です。過去の整備例や症状から、考えていますので、専門的な方から見れば間違った内容があるかもしれません。その際は、ぜひコメントを頂けるとうれしいです。考えるのが好きなので、日々、このようなことが頭の中を巡っています。


新型VMAXのカットモデルです。


旧型VmaxのVブーストオフ時。


旧型VmaxのVブースト全開時。

新型のカットモデルを見ていらいVブーストジョイントを着けた場合、どうなるかをずっと考えているのですが、新型の場合、もともとスロットルバルブ径が大きいので、前後をつなげた場合、相対的に大きすぎるのではないかということと、インジェクションの噴射タイミングとインジェクターの向きの関係で、接続する意味が無いような気がして、思案中です。噴射タイミングを変えられればと思います。ただ、吸入空気量に対して、スロットルボディの径を計算しているはずなので、無駄に終わる可能性大です。

新型と旧型の違いは、インジェクションか負圧キャブレターの違いですが、吸気に大きな差があり、インジェクションは、入るだけ空気を入れて、見合った量のガソリンを噴射すれば良いのですが、キャブレターの場合は、シリンダー内部の負圧とエアクリーナーボックスの内圧との差を利用し、ダイアフラムを上下させ、ジェット類より、ガソリンを吐出しています。

一般的に混合気を吸い込むと表現していますが、実際の状態は次のようになります。ピストンが下降し、シリンダー内部の圧力が下がることにより、負圧が発生します。また、空気中は大気圧なので、正圧(1気圧)です。ここで、圧力差が生じますので、空気は、圧力の低い方に移動します。この際、キャブレターを空気が通過しますので、キャブレターの構造により、ニードル部分付近の圧力が下がります。キャブレターのフロート室上部(ガソリン油面より上)は、エアベント(空気穴)により、大気圧に保たれていますので、この圧力差により、ガソリンが押し出されます。

このように旧型は、大気圧とエンジンの負圧で、混合気の吸気を行なっていますが、新型は、ガソリンにポンプで圧力を掛け、強制噴射していることが大きな違いです。

シリンダー内部への混合気の充填効率は、慣性過給と脈動効果により左右されます。簡単に表現すると、通勤時、電車のホームに人がたくさんいて、空の電車が来た場合で、電車のドアが開いたと同時に、人が乗り込みはじめ、隙間無く乗り込みますが、乗れるだけ乗ろうとして、人が乗り込み、車両内部が圧縮されます。いっぱいになったところで、ドアが閉まりますが、閉まらないと駅員さんが押し込み、ドアを閉めます。

駅の改札口がエアクリーナー、ホームがエアクリーナーボックス内で、人が空気、車両内部がシリンダー、ドアがバルブと考えると想像しやすいと思います。改札から入った人たちがドアの開閉位置に並び始め、人数が増えると密度が増していきます。静止していた人たちがドアが開くことによって動き出し、一定の速度で、乗り込み、限界まで、乗り込もうとして圧縮されます。最後の駅員さんの一押しが脈動効果に似ています。慣性過給と脈動効果の説明は長くなるので、省きます。

エンジンに戻りますが、回転数とエアファンネルの長さによって、充填効率が変わりますが、新型は、回転数によりファンネルを切り替えています。

過去に、旧型Vmaxの充填効率が変わるかどうか実験したことがあり、ノーマルのエアクリーナーボックスを使用し、ファンネルの長さを、純正、中間、ショートの3種類で、試したことがあります。充填効率から言えば、ファンネルの長さを変えれば、その長さにあった回転数での効率が上がるはずですが、実験では、ダメでした。


原因を考えて見たのですが、空気の充填効率は上がっていると思われますが、それに伴うガソリンが供給されていなかったようです。


キャブレターの場合、大気圧と負圧の圧力差で、ガソリンが吐出されます。スロットルバルブのエンジン側が負圧になっていて、ファンネルより上側が、エアクリーナーボックス内圧になっています。スロットルバルブがほとんど閉じている状態では、ファンネル内部もボックス内圧とほぼ同等です。

アイドリング付近は、スロットルバルブよりエンジン側が負圧なので、アイドルポートよりスロージェットとエアジェットにより計量されたガソリンがパイロットスクリューの調整範囲で、吐出されます。

スロットルバルブを若干開けると、補助ポートより計量されたガソリンが吐出されます。ただ、空気は流れているので、ニードル部分にも負圧が発生し、若干ながらメイン系統からもガソリンが吐出されます。

無負荷運転(空吹かし)で、このままゆっくりとアクセルを開けていくと、マニーホールド部分の負圧は上昇します。ただ、スロットルの隙間が狭い為、流速は上がっていきますが、ダイヤフラムが上がるほどの吸入空気量にはなりません。ただ、ある程度以上回転をあげる場合は、それなりスロットルバルブを開けることになりますので、途中で、ダイヤフラムは動き始めます。

無負荷運転でも、アクセルを急開すると、吸入空気量が増えるため、ダイヤフラム部で圧力差が発生し、ダイヤフラムが動きます。この時点で、空気が流入する為、マニホールド部分の圧力は、ボックス内の内圧(正圧)に近くなります。ダイヤフラムの作動は、ゴムの部分に掛かる圧力差とスプリングのテンションのバランスによります。また、ダイヤフラム部の役割は、吸気流速をなるべく一定に保ちながら、吸気流量を増減させることにあり、このため、アクセルを急激に開閉してもダイヤフラムは、エンジンの必要とする流量以上には、開閉しないようになっています。

強制開閉式のキャブの場合は、手で、コントロールするため、必要以上に開けると流速が落ち、回転がスムーズに上昇しません。

負圧式キャブは、アクセルを開け、吸入空気量が増え、回転が上昇していくと、スロットルバルブ付近の圧力が上昇し、フロート室の圧力との差が無くなってくるため、スロー系統からのガソリンの吐出が減り、逆にニードル付近の流速が上がり、メインノズル付近の圧力が下がってくるので、フロート室との圧力差で、吐出量が増えてきます。ダイヤフラムが上がりきる直前までは、ニードルの形状とノズルの関係が影響します。最後は、メインジェットの範囲にはなりますが、全てが影響しあっているため、どれかを交換すると全体に影響が出ます。

高回転時でも、アクセルと閉じたときは、再びスロー系統から吐出されています。スロー系統、ニードル、メインジェットの役割分担は、スロットルバルブ前後の圧力差で、決まります。キャブレターのセッティング説明で、各ジェットの役割分担が表示されていますが、スロットルバルブの前後の圧力差を考えると理解しやすいと思います。

以上を踏まえた上で、ファンネルの長さの違いを考えます。ここで、脈動効果ではなく、先に吸入慣性について考えます。スロットルを開けて、吸入する場合、空気が停止している状態から移動し始め、流速が上がります。ですので、吸気抵抗を考えなければ、口径が細い方が、流速が速くなり、ファンネルが長いほうが、スタート地点が遠いので、ニードル部分に来るまでに流速がある一定まで上昇します。ニードル部分での流速が違うと、負圧が変わってくるので、メイン系からのガソリンの吐出量に影響があります。

過去に単気筒で実験を行なったことがあり、おなじ車両で、キャブレターの口径を変えた場合、無負荷運転でおなじ回転数でもセッティングが違っています。また、おなじキャブレターを使用した場合でも、ファンネルの長さによって、セッティングが変わってきました。口径を大きくした場合と、ファンネルを短くした場合は、ジェットの番手を大きくする必要が有りました。吸入空気量が同じだったとすると、流速が落ちた関係で、圧力差が小さくなり、吐出力が落ちたので、結果としてジェットの穴を大きくしてガソリン流量を補ったと思われます。

過去に旧型Vmaxで実験を行なった際は、セッティングは変更せず、単純に、ボックス内部のファンネルの長さを変えただけでした。厳密に言えば、セッティングを行ない、ガソリン量を補えたと思いますが、基本使用が街乗りなので、低回転のトルクが細くなると乗りづらくなると思い、それ以上の実験は行ないませんでした。

上記内容を実際の経験に置き換えると、旧型Vmaxで、エアクリーナーボックスを使用していた場合、エアクリーナーを外してみる、もしくは、蓋を開けたままエンジンを始動してみると、アクセルを開けても吹けが悪い、もしくは、回転が上がらなくなるという状況になります。また、キャブレターにエアクリーナーを直付けした場合(ダイノジェットST-7等)、メインエアジェットを絞り、メイン系のガソリンを相対的に濃くしないと、回転が上昇しないことも同様の理由になると思います。

慣性過給の件ですが、空気が、圧縮性流体(体積が変化)であることと、いったん流れ始めると急には停止しない為、インテークバルブが、閉まった後も流れが止まらず、バルブ付近の空気(混合気)が圧縮されて行きます。この時点で、バルブが開くと密度の濃い混合気がシリンダーに入ります。また、脈動効果ですが、バルブが開閉すると、圧力変化がおきるので、圧力の波が発生します。この波は、バルブから、マニーホールド、キャブレターボディ、ファンネルと伝わっていき、性質上、開端部(ファンネル)で反転します。反転した波が、バルブ付近に到達したときに、バルブが開くと、より圧力差で、吸入効率が上がります。前述の電車の乗客の例です。

慣性過給と脈動効果については、バルブからファンネルまでの距離とエンジン回転数により、決まります。結果として、高回転重視の場合は、ファンネルが短く、中低回転重視の場合は、ファンネルが長くなります。ようやく本題に、たどり着けそうです。以上のようなことを、いろいろ考えているうちに、新型VMAXのボックスをどのように加工すれば、メーカーの設計意図から外れず、効率を上げるか悩んでしまいました。



この部分で、通路が絞られている為、インテークから入ってきた空気の速度が落ちることと、アクセル急開時の吸入抵抗になる可能性もあったので、穴を開けてみました。開けすぎのような気もしますが、ダメでしたら塞ぎます。


一番悩んだのが、この部分です。確かにエアクリーナーの面積に対して流入通路を絞っていますが、外していいものかどうか悩みました。


まず、この裏側にブリーザーパイプが来ています。


内部で、ファンネルが上下するので、ファンネル入口横付近は、安定した空間とするためカバーしたいと思います。

切り取ってしまうと、元に戻せないと困るので、穴を開けてみました。この状態で、しばらく様子をみて、パワーチェックをしてみたいと思います。



流体の性質として、流れやすい部分から入って行きます。また、流れが発生した時は、真ん中が一番流速が速く、壁面に行くにしたがって流速が落ちていきます。ただ、写真のように穴を開けてしまうと、ボックス内と外側の圧力差により、流れが発生しますので、センター入口部分の流速は落ちます。アクセル急開時については、急激な圧力変動がありますので、必要な吸入空気量が確保できる吸入口面積が必要です。ただし、流速とのバランスがありますので、大きければ良いということではありません。

インテーク部分のみ考えてきましたが、実際は、排気系も関係し、排気効率によって、吸気効率も変わってきます。スムーズに排気できないと、吸気が出来なくなります。抜けの悪いマフラーの場合は、吸気流速も落ち、それに伴い、ガソリンが出なくなるため、プラグの焼けが白くなる場合もあると思います。マフラーを交換する場合、交換前に、エアクリーナーボックス入口に手を当て、アクセルを煽ってみて、吸気状態を覚えておきます。マフラー交換後に同様のことを行った場合、排気効率が上がっていれば、手に感じる負圧が上がり、排気効率が落ちていれば、手に感じる負圧が落ちます。

長くなるので、排気については、別の機会に考えたいとおもいます。

晴れたら、今週、試乗をする予定です。

今回の考察は、個人的な覚書ですので、訂正する場合もございます。






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