財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中!「第二部 再配信中」

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第一部 第1章−1 神々のディベート

2019-05-31 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 いまだ何人もかつて訪れたことがなく、今後も誰も訪れることがないであろう西インド諸島とアゾレス諸島の狭間に位置する「バミューダトライアングル」の二万里を越える海底に、四次元空間につながる海主ネプチュヌスの城がある。
 陽の光さえ届かぬ深海底にひっそりとたたずむ城の回りでは、赤、青、黄、緑、オレンジにかがやく魚、エイ、鮫たちが泳いでいる。場内になるきらめく宝石のように飾り立てられた百の部屋は、マーメイド、マーライオン、セイレーンなど、海主の眷属たちの住処。
 水龍とマーライオンが戦う姿が描かれた広間では、人類の時間なら何百年にもわたる地球の明日を左右するかも知れない神々の議論が続いていた。青みがかった白銀の髪をなでるネプチュヌスは議論をおさめようとする思念を発することもなく天主と冥主の議論の行方を見守っている。マリンブルーの眉毛がわずかな海流に揺れている。

     

 激高した天王ユピテルは、大地の女神ガイアを「意識不明の重態」にまで追い込んだ人類の早期絶滅を提起する。
「天翔るもの」ユピテルはさまざまな天体で文明の興亡を見てきたが、これほどいびつな発達は他にないとの意見である。
(もはや一刻の猶予もならぬ。人間たちを野放しにしたのは誤りだった。四十六億年前にこの惑星と同化された女神ガイアも、たかだか四百万年前に類人猿から進化させた者どもによって虫の息。すべてはカオスに返すべき)彼が思念を送るたびに黄金色の雷が光り稲妻が鳴り響く。
 冥主プルートゥは人間たち自ら滅びの道を歩むのは自業自得で手出しは不要との立場。プルートゥは彼らが死後にまで持っていこうとする金銀財宝、知恵、芸術への「執着」を集めることにより大帝国を築いていた。
(我らが創造物の種全体の生き死にに手出しせぬは、最古の神々がお決めになった約束事。自ら滅びの道を選びたいのなら、なすがままにするのが本道。いまさらでしゃばってどうする?)水中でも燃えさかるくれない色の髪を逆立てたプルートゥが、応じる。
(たしかに太古からの約束事は大切じゃ。しかし、プロメテウスの血筋を引いた科学者という輩は、走るばかりで立ち止まることを知らぬ)ユピテルが伝える。
(しかし、人間たちを滅ぼして何とする? 我らがこうして生命を保ち活力を得るはあやつらの思念あればこそ。それを滅ぼしてあらたな生物を生み出し、また数十万年の時を精神エネルギー体として過ごすか?)
 神々といえども永久不滅の存在ではない。エネルギーがなくなれば衰退もし、ガイアのようにいったん形を持ってしまえば「死」もむかえる。
 精神体の姿に戻ればエネルギーの消耗は最低限におさえられるが、その間、思考をのぞく活動はいちじるしく制限される。信心深いものたちだけではなく、皮肉なことに強く否定することで神を意識する無神論者たちも含めた人間たちの思念こそが彼らの存在の根元である。
 しかし、この惑星が早晩終末を迎えるかもしれぬ危機を迎えても、議論は堂々巡りを繰り返す。中立のネプチュヌスだが、汚されていく海、川、泉に思いをはせると、ユピテルの意見に傾きそうになる。人間たちが科学と呼ぶ「魔術」の発達は、東と西から北と南へとその対立の形を変えても、あと千年と経たぬうちに美しかったガイアの姿を醜く変えたのみならず、この惑星を居住不可能にまで変容させかねない。
 自らの住みかさえ管理できない人間たちに生存を許すべきかという疑惑が、ともすればネプチュヌスの胸にもわき上がってくる。
 だが、プルートゥが言うように本来の姿に戻ってあらたな知的生命体が文明を築くのを待つには、この星はよごれすぎてしまっている。同時に、創造主といえども人間たちの生殺与奪の権利があるのかとも思う。
 いつ始まったのかさえ思い出せないほどの長きにわたって、堂々巡りが続いていた。
 このままでは、ユピテルとプルートゥのどちらかがしびれを切らし、いつ交渉をうち切っても不思議はなかった。

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第一部 序章 わたしの名はナオミ

2019-05-27 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人




天上の神々の心にもこうした怒りが宿りうるものなのであろうか?
——ウェルギリウス「アエネーイス」第1巻第11行

なんじ逆境に屈せず、さらに勇敢に進むべし。            
——同書第6巻95行

アオルノスへ下りゆかんこといと易し、プルートゥが門は夜も昼も開かれてあり。されどその歩みを返し、上界の大気に戻りきたらんこと、これぞ苦業、これぞ至難の業なり。
——同書第6巻第126行

この不幸なる男は、他のものを狙いし武器にうち倒され、天を仰ぎ、いまわの際に甘美なるアルゴスを思い出す。                     ——同書第10巻第781行




プロローグ

 わたしの名はナオミ。
 かつては、深い海の底に住むマーメイドだった。今では、外見は人間と変わらない。両足の指が6本ずつあること以外・・・・・・
 どのようないきさつから、わたしが人間界に暮らすようになったのかは定かではない。
 アンデルセンの童話では、人魚姫は美しい声と引き換えに悪い魔女から尾ビレを足に変える毒薬をもらう。わたしは、なんとひきかえに人の姿になることをゆるされたのだろうか。
 マーが「海」メイドが「女」を意味するように、マーメイドの仲間はすべて女だった気がする。海主ネプチュヌス宮殿の男たちは、すべて上半身は獅子、下半身が魚というマーライオンの姿をしていた。
 だがマーメイドもマーライオンも真の姿だったのか、今では遠い昔に見た夢のようで確信がない。彼らは、霊体のような存在で、わたしには霊体こそすべての生物の本来の姿で、肉を持った姿は仮の存在のような気がしてならない。
 人は海を「生命の源」と呼ぶが、海は同時にすべてが流れ着く墓場でもある。潮の流れに乗ってやってくる書物、工芸品、建築物、金銀財宝、写真、はては動物や人の死骸まで。いつもおばあ様と一緒だったことを覚えているが、たかだか百年ほどの命しか持たぬ人間には計り知れない知識を蓄えていたし占いで未来を見通せた。
 人間界について思念を交わすと、きまって最後にこう言った。
(かわいそうな娘だよ。お前は、いつか人間界に出ていく星の下に生まれついている。だけど、どこへいってもやっかいごとに引き寄せられていく)
 そう、わたしはトラブルに引き寄せられる星の下に生まれたマーメイド。
(それほんと?)ある日、わたしは伝えた。
 その時、おばあ様が伝えてくれたことは、今でもはっきり憶えている数少ない記憶の一つだ。
(本当じゃとも。自分の運命がおそろしいかえ?)
(ちっとも)
(ほう、どうしてだね?)
(だってナオミがやっかいごとに引き寄せられていくんでしょ。それなら、困っているみんなを助けてあげるの)
(やさしい娘だね、ナオミは。せめてお前がどこへ行っても、教え導くものと助けてくれる仲間に恵まれるように魔法をかけてあげよう。覚えておいで。もしお前が人間界で暮らすことになって、あいつらが五本しか指がないと知っても、六本目を切ってしまおうなんて考えないことだよ。これはあぶない目に遭った時助けてくれる、幸運の指なんだ)

 わたしには、昔に人間界に飛び出していったお姉様がいた。
 最初はピンナップガールとしてもてはやされたが、六本目の指を切り落としてからは、不幸な女優として一生を送った、と聞かされた。
 おばあ様のおかげで、人間界に来てから、教え導く存在と仲間には不自由したことがない。でもそこまでしてくれたのなら、なぜ愛し合う人にも不自由しないようにしてくれなかったのか。

 肉体を持ってからは人並みに年を取るようになったが、わたしがそれまで生きてきた歳月を正確に記すことは難しい。海の底では、時の経つのがこの世界とは比較にならぬほどゆっくりだからだ。日本という国には浦島太郎という昔話があるそうだが、人間の六十年ほどがマーメイドの一年にあたるらしい。
 マーメイドの頃のことはつまらないことを憶えているかと思えば、肝心なことはなにも思い出せなかったりする。過去の記憶が突然よみがえってくることもあるが・・・・・
 わたしたちはいかにして生まれ、どこに海主ネプチュヌスの城があったのか。わたしたちは海の底で何のために生きていたのか?
 こうした疑問にも、記憶が戻れば、いつかお話ししてみたい。万が一、そうしたことがあればの話だが。
 これからわたしが人間界で経験した物語のうちのいくつかを、皆さんにお話したい。
 さあ、今宵の物語を始めよう。

     


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第一部 神々がダイスを振る刻 あらすじと主要登場人物一覧

2019-05-24 07:54:03 | 私が作家・芸術家・芸人
 財部剣人です! お約束通り、来週より第一部の再配信をする予定です。ただし、手持ち原稿は出版時にかなり手を入れてしまったので、修正しながらのアップのため、ややお時間をいただくかも知れません。同時進行で第三部闘龍孔明篇 第13章以降も執筆していくつもりです。第三部完結を待っていた読者の皆様には、少しお時間をいただくことになってしまい申し訳ございません。必ず完結させますので、どうか気長にお待ちいただければ幸いです。

「マーメイド クロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ

 深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いて いた。今にも議論を打ち切って、神界大戦を始めかねない二人を調停するために、ネプチュヌスは「神々のゲーム」を提案する。マーメイドの娘ナオミがよき人 間たちを助けて、地球の運命を救えればよし。悪しき人間たちが勝つようなら、人類は絶滅させられ、すべてはカオスに戻る。しかし、プルートゥの追加提案に よって、悪しき人間たちの側にはドラキュラの娘で冥界の神官マクミラがつき、ナオミの助太刀には天使たちがつくことになる。人間界に送り込まれたナオミ は、一人の人間として成長していく内、使命を果たすための仲間たちと出会う。一方、盲目の美少女マクミラは、天才科学者の魔道斎人と手を組みゾンビー・ソ ルジャー計画を進める。ナオミが通うカンザス州聖ローレンス大学の深夜のキャンパスで、ついに双方が雌雄を決する闘いが始まる。

海神界関係者
ネプチュヌス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 海主。「揺るがすもの」
トリトン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ネプチュヌスの息子。「助くるもの」
シンガパウム ・・・・・・・・・・ 親衛隊長のマーライオン。「忠義をつくすもの」
ユーカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第一次神界大戦で死んだシンガパウムの妻
アフロンディーヌ ・・・・・・ シンガパウムの長女で最高位の巫女のマーメイド
アレギザンダー ・・・・・・・・・・ 同次女でユピテルの玄孫ムーの妻のマーメイド
ジュリア ・・・・・・・・ 同三女でネプチュヌスの玄孫レムリアの妻のマーメイド
サラ ・・・・・・・・・・ 同四女でプルートゥの玄孫アトランチスの妻のマーメイド
ノーマ ・・・・・・ 同五女で人間界に行ったが、不幸な一生を送ったマーメイド
ナオミ ・・・・・・・ 同末娘で人間界へ送り込まれるマーメイド。「旅立つもの」
トーミ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ナオミの祖母で齢数千年のマーメイド。
ケネス ・・・・・・・・・ 元ネイビー・シールズ隊員。人間界でのナオミの育ての父
夏海 ・・・・・・・・・・・・ 人間界でのナオミの育ての母。その後、ニューヨークに
ケイティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ナオミのハワイ時代からの幼なじみ
ナンシー ・・・・・・・・・・・・・・・・ 聖ローレンス大学コミュニケーション学部教授

天界関係者
ユピテル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「天翔るもの」で天主
アスクレピオス ・・・・・・・ 太陽神アポロンの兄。アポロノミカンを書き下ろす
アポロニア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アポロンの娘で親衛隊長。「継ぐもの」
ケイト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アポロンの未亡人。「森にすむもの」
シリウス ・・・・・・・・・・・・・・ アポロニアの長男で光の軍団長。「光り輝くもの」
               で天界では美しい銀狼。人間界ではチャック
アンタレス ・・・・・・・ 同次男で雷の軍団長。「対抗するもの」で天界では雷獣。
                            人間界ではビル
ペルセリアス ・・・・・・・ 同三男で天使長。「率いるもの」で天界では金色の鷲。
                         人間界ではクリストフ
コーネリアス ・・・・・・・・・・・・・ 同末っ子で「舞うもの」。天界では真紅の龍。
   人間界では孔明

冥界関係者
プルートゥ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「裁くもの」で冥主
ケルベロス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3つ首の魔犬。「監視するもの」で
  キルベロス、ルルベロス、カルベロスの父
ヴラド・“ドラクール”・ツェペシュ ・・ 親衛隊の大将軍。「吸い取るもの」で
       人間時代は、「串刺し公」とおそれられたワラキア地方の支配者
ローラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“ドラクール”の妻で、サラマンダーの女王。
「燃やし尽くすもの」
アストロラーベ ・・・・・・・・・・・・・・ ヴラドとローラの長男で、親衛隊の軍師。
                            「あやつるもの」
スカルラーベ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同次男で、親衛隊の将軍。「荒ぶるもの」
マクミラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同長女で、人間界に送り込まれる冥界最高位の
神官でヴァンパイア。「鍵を開くもの」
ミスティラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同次女で、冥界の神官。「鍵を守るもの」
ジェフエリー・ヌーヴェルヴァーグ・シニア ・・・パラケルススの世を忍ぶ仮の姿
ジェフエリー(ジェフ)・ヌーヴェルヴァーグ・ジュニア … マクミラの育ての父


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第三部闘龍孔明篇 序章と第1〜12章のバックナンバー(第二部も読めます)

2019-05-20 14:44:40 | 私が作家・芸術家・芸人

 財部剣人です! 第三部も順調に第12章が終わりました。第13章からは、9年がかりで書き綴ってきた『マーメイド クロニクルズ』完結のエピソードに入っていくのですが、執筆が遅れています。。。そこでかなり多くの人からリクエストのあった第一部のエピソードを再配信して、しばらく待ってもらおうかと思っています。最終エピソードを書くためには、第三部だけではなく第二部も読み返さないといけないため、少しお時間をいただけると幸いです。


第三部ストーリー

「神々のゲーム」が進んだ結果、神界と魔界のバランスにゆがみが生じていた。魔界反乱軍の魔性が、四人の魔女とマクミラを中心とする冥界軍団との闘い直後の隙をついて、精神世界に逃げ出したのである。「殲滅しつくすもの」ジェノサイダス、「誘いをかけるもの」“ジル”・シュリリス、「虚無をかかえるもの」ビザードたちは、魔界と神界の約束事を破って、人間共の夢の完全支配。あやつらの夢をすべて悪夢に塗り替え、戦乱と混沌、狂気と憎悪、嫉妬と愛欲の世界にすることを狙っていた。人間の夢すべてが悪夢になれば、魔界と天界はつながり、中立地帯の精神世界は戦闘地帯となり人間たちは破滅への道を歩む。神々は魔界と協力して、魔性たちを征伐する新たなゲームを始めることを決定した。マーメイドのナオミは、いったいどう闘いにからんでいくのか? またヴァンパイアのマクミラとその兄弟妹たちは? 目覚めていなかった天使たちは、魔性との闘いでどんな役割を演じるのか? 闘いの行方を左右する「絶対悪」の存在はどうなっていくのか? 数々の謎をはらみながら、アポロノミカン「究極の予言」に向かって最後の闘いが始まる。

「第三部闘龍孔明篇 序章」

「第1章−1 茨城のパワースポット・トライアングル」
「第1章−2 チャイニーズフリーメーソン 洪門」
「第1章−3 「海底」の秘密」
「第1章−4 アポロノミカンの予言
「第1章ー5 太古の龍」 
「第1章-6 神獣たちの闘い」
「第1章-7 龍神対孔明」
「第1章-8  龍が再び眠る時」
「第1章-9 精神世界へ紛れ込む魔性たち」

「第2章−1 四次元空間エリュシオンのゆがみ」
「第2章−2 3つの鏡」
「第2章−3 ヤヌスの鏡と3人の魔王」
「第2章−4 ゲームは変わる」
「第2章−5 パンドラの筺は二度開く」
「第2章−6 魔界の気まぐれ」
「第2章−7 ヤヌスの鏡を閉じる」
「第2章−8 冥界の会議」

「第3章−1 絶対悪」
「第3章− 2 ヴラド・”ドラクール”・ツェペシュの名」
「第3章−3 パラケルススの名」
「第3章−4 神導書アポロノミカン」
「第3章−5 ヴラドとラドウ」
「第3章−6 ヴラド・”ドラクール”・ツェペシュの誕生」
「第3章−7 地獄によって地獄を救う」
「第3章−8 血の契りの儀式」
「第3章−9 エリザードの誕生」

「第4章−1 エリザードの愛と死」
「第4章−2 エリザードの野望」
「第4章−3 愛ゆえに」
「第4章−4 "ドラクール"対エリザード」
「第4章−5 冥主プルートゥの決定」
「第4章−6 ドラクールの願い」
「第4章−7 海神界の議論」
「第4章−8 王子トリトンの決意」

「第5章−1 ナオミの夢」
「第5章−2 ナオミの誕生日」
「第5章−3 ディベートの審査哲学」
「第5章−4 ディベートの審査哲学に関する論争」
「第5章−5 宇宙開発を巡るディベート」
「第5章−6 『地球外知的生物探索』というプラン」
「第5章−7 なぜディベートの試合で勝てないんでしょう?」
「第5章−8 利益と不利益の比較」
「第5章−9 奇跡的リバタルの秘密」

「第6章−1 孔明たちへの襲撃」
「第6章−2 夢の続き」
「第6章−3 青龍と夢魔サマンザ」
「第6章−4 眠眠の夢」
「第6章−5 眠眠の戦い」
「第6章−6 三重の呪い」
「第6章−7 夢魔樹里の決断」
「第6章−8 孔明と眠眠」
「第6章−9 覚醒しながら眠り、眠りながら覚醒する娘」
「第6章−10 深層世界に入る」

「第7章−1 マクミラの不安」
「第7章−2 振り子の原理」
「第7章−3 アウトサイダー」
「第7章−4 アメリカの悪夢」
「第7章−5 冥界の神々降臨」
「第7章−6 輪廻の蛇ウロボロス」
「第7章−7 逃げ出した魔性と魔獣たち」
「第7章−8 魔神スネールの告白」
「第7章−9 ダニエルの復活?」
「第7章−10 ヒエラポリス神殿」

「第8章−1 黒龍対七色の神の化身たち」
「第8章−2 十八般の第二の武器対ドリームカリバー」
「第8章−3 天使たちの夢に潜り込む」
「第8章−4 眠眠対夢魔ヒビキム」
「第8章−5 悪魔姫ドルガ降臨!」
「第8章−6 眠眠対夢魔オーシャム」
「第8章−7 子宮への届く扉」
「第8章−8 惨劇の夜」
「第8章−9 母娘の闘いの末に」
「第8章−10 ミシガン山中への誘い」

「第9章−1 アストロラーベ対さかさまジョージ」
「第9章−2 さかさまジョージの攻撃」
「第9章−3 アフロンディーヌとの再会」
「第9章−4 堕天使ダニエルの復活」
「第9章−5 ダニエル猛攻」
「第9章−6 コールド・デー・イン・ヘル」
「第9章−7 ウロボロスが凍り付く刻」
「第9章−8 絶対悪とは?」
「第9章−9 アズラエルとザキエル」
「第9章−10 善と悪の相対性」

「第10章−1 全米ディベート選手権決勝」
「第10章−2 孔明からの召集令状」
「第10章−3 いざミシガンへ」
「第10章−4 ウェルカム・ツー・モータウン」
「第10章−5 赤龍対マーメイド」
「第10章−6 孔明の妹」
「第10章−7 意味分かんない!?」
「第10章−8 迫る魔性たちとの闘い」
「第10章−9 アストロラーベの決断」
「第10章−10 最大のタブー」

「第11章−1 魔性ビザードとゾンビーランド」
「第11章−2 魔性シュリリスとナイトメアランド」
「第11章−3 魔性ジェノサイダスとノーマンズランド」
「第11章−4 人が生きる意味」
「第11章−5 生態系の死」
「第11章−6 ニュートラルゾーン」
「第11章−7 魔性たちのゲーム」
「第11章−8 絶対悪を手にする権利」
「第11章−9 精神世界への切符」

「第12章−1 夢魔の夢に入る」
「第12章−2 指輪の力」
「第12章−3 マクミラ、ガリ勉する」
「第12章−4 マクミラ、絶望する」
「第12章−5 波乱要因」
「第12章−6 ゲームプラン」
「第12章−7 零次元空間」
「第12章−8 もう一人の自分」
「第12章−9 もうひとつの可能性」
「第12章−10 OODA(ウーダ)ループ」


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「第一部 神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ

第二部のストーリー

 マーメイドの娘ナオミを軸とする神々のゲームを始めたばかりだというのに、再び最高神たちが集まらざるえない事態が起こった。神官マクミラが人間界に送られた後、反乱者や魔界からの侵入者を閉じこめた冥界の牢獄の結界がゆるんできていた。死の神トッド、悩みの神レイデン、戦いの神カンフ、責任の神シュルドが堕天使と契って生まれた魔女たちは、冥界の秩序を乱した罪でコキュートスに閉じこめられていた。「不肖の娘たち」は、彼女たちを捕らえたマクミラに対する恨みをはらすべく、人間界を目指して脱獄をはかった。天主ユピテルは、ゲームのルール変更を宣言した。冥界から助っ人として人間界に送られるマクミラの兄アストロラーベとスカルラーベ、妹ミスティラは、彼女を救うことができるのか? トラブルに引き寄せられる運命のナオミは、どう関わっていくのか? 第一部で残された謎が、次々明らかになる(すべては「無理~」ですが、苦笑)。

「第二部 序章」

「第二部 第1章−1 ビックアップルの都市伝説」
「第二部 第1章−2 深夜のドライブ」
「第二部 第1章−3 子ども扱い」
「第二部 第1章−4 堕天使ダニエル」
「第二部 第1章−5 マクミラの仲間たち」
「第二部 第1章−6 ケネスからの電話」
「第二部 第1章−7 襲撃の目的」
「第二部 第1章−8 MIA」
「第二部 第1章−9 オン・ザ・ジョブ・トレーニング」

「第二部 第2章−1 神々の議論、再び!」
「第二部 第2章−2 四人の魔女たち」
「第二部 第2章−3 プル−トゥの提案」
「第二部 第2章−4 タンタロス・リデンプション」
「第二部 第2章−5 さらばタンタロス」
「第二部 第2章−6 アストロラーベの回想」
「第二部 第2章−7 裁かれるミスティラ」
「第二部 第2章−8 愛とは何か?」

「第二部 第3章−1 スカルラーベの回想」
「第二部 第3章−2 ローラの告白」
「第二部 第3章−3 閻魔帳」
「第二部 第3章−4 異母兄弟姉妹」
「第二部 第3章−5 ルールは変わる」
「第二部 第3章−6 トラブル・シューター」
「第二部 第3章−7 天界の議論」
「第二部 第3章−8 魔神スネール」
「第二部 第3章−9 金色の鷲」

「第二部 第4章−1 ミシガン山中」
「第二部 第4章−2 ポシー・コミタータス」
「第二部 第4章−3 不条理という条理」
「第二部 第4章−4 引き抜き」
「第二部 第4章−5 血の契りの儀式」
「第二部 第4章−6 神導書アポロノミカン」
「第二部 第4章−7 走れマクミラ」
「第二部 第4章−8 堕天使ダニエル生誕」
「第二部 第4章−9 四人の魔女、人間界へ」

「第二部 第5章−1 ナオミの憂鬱」
「第二部 第5章−2 全米ディベート選手権」
「第二部 第5章−3 トーミ」
「第二部 第5章−4 アイ・ディド・ナッシング」
「第二部 第5章−5 保守派とリベラル派の前提条件」
「第二部 第5章−6 保守派の言い分」
「第二部 第5章−7 データのマジック」
「第二部 第5章−8 何が善と悪を決めるのか」
「第二部 第5章−9 ユートピアとエデンの園」

「第二部 第6章−1 魔女軍団、ゾンビ−ランド襲来!」
「第二部 第6章−2 ミリタリー・アーティフィシャル・インテリジェンス(MAI)」
「第二部 第6章−3 リギスの唄」
「第二部 第6章−4 トリックスターのさかさまジョージ」
「第二部 第6章−5 マクミラ不眠不休で学習する」
「第二部 第6章−6 ジェフの語るパフォーマンス研究」
「第二部 第6章−7 支配する側とされる側」
「第二部 第6章−8 プルートゥ、再降臨」
「第二部 第6章−9 アストロラーベ、スカルラーベ、ミスティラ」
「第二部 第6章ー10 さかさまジョージからのファックス」

「第二部 第7章ー1 イヤー・オブ・ブリザード」
「第二部 第7章ー2 3年目のシーズン」
「第二部 第7章ー3 決勝ラウンド」
「第二部 第7章ー4 再会」
「第二部 第7章ー5 もうひとつの再会」
「第二部 第7章ー6 夏海と魔神スネール」
「第二部 第7章ー7 夏海の願い」
「第二部 第7章ー8 夏海とケネス」
「第二部 第7章ー9 男と女の勘違い」

「第二部 第8章ー1 魔女たちの二十四時」
「第二部 第8章ー2 レッスン会場の魔女たち」
「第二部 第8章ー3 ベリーダンスの歴史」
「第二部 第8章ー4 トミー、託児所を抜け出す」
「第二部 第8章ー5 ドルガとトミー」
「第二部 第8章ー6 キャストたち」
「第二部 第8章ー7 絡み合う運命」
「第二部 第8章ー8 格差社会−−上位1%とその他99%」
「第二部 第8章ー9 政治とは何か?」
「第二部 第8章ー10 民主主義という悲劇」

「第二部 第9章ー1 パフォーマンス開演迫る」
「第二部 第9章ー2 パフォーマンス・フェスティバル開幕!」
「第二部 第9章ー3 太陽神と月の女神登場!」
「第二部 第9章ー4 奇妙な剣舞」
「第二部 第9章ー5 何かが変だ?」
「第二部 第9章ー6 回り舞台」
「第二部 第9章ー7 魔女たちの正体」
「第二部 第9章ー8 マクミラたちの作戦」
「第二部 第9章ー9 健忘症の堕天使」

「第二部 第10章ー1 魔女たちの目的」
「第二部 第10章ー2 人類は善か、悪か?」
「第二部 第10章ー3 軍師アストロラーベの策略」
「第二部 第10章ー4 メギリヌ対ナオミと・・・・・・」
「第二部 第10章ー5 最初の部屋」
「第二部 第10章ー6 ペンタグラム」
「第二部 第10章ー7 ナオミの復活」
「第二部 第10章ー8 返り討ち」
「第二部 第10章ー9 最悪の組み合わせ?」

「第二部 第11章ー1 鬼神シンガパウム」
「第二部 第11章ー2 氷天使メギリヌの告白」
「第二部 第11章ー3 最後の闘いの決着」
「第二部 第11章ー4 氷と水」
「第二部 第11章ー5 第二の部屋」
「第二部 第11章ー6 不死身の蛇姫ライム」
「第二部 第11章ー7 蛇姫ライムの告白」
「第二部 第11章ー8 さあ、奴らの罪を数えろ!」
「第二部 第11章ー9 ライムの受けた呪い」

「第二部 第12章ー1 ライムとスカルラーベの闘いの果て」
「第二部 第12章ー2 責任の神の娘」
「第二部 第12章ー3 リギスの戯れ唄」
「第二部 第12章ー4 唄にのせた真実」
「第二部 第12章ー5 アストロラーベの回想」
「第二部 第12章ー6 勝負開始」
「第二部 第12章ー7 逆襲、アストロラーベ!」
「第二部 第12章ー8 スーパー・バックドラフト」
「第二部 第12章ー9 さかさまジョージの魔術」

「第二部 最終章ー1 魔神スネール再臨」
「第二部 最終章ー2 ドルガのチョイスはトラジック?」
「第二部 最終章ー3 ナインライヴス」
「第二部 最終章ー4 ドルガの告白」
「第二部 最終章ー5 分離するダニエル」
「第二部 最終章ー6 ドルガの回想」
「第二部 最終章ー7 ドルガの提案」
「第二部 最終章ー8 ドルガの約束」
「第二部 最終章ー9 ドルガの最後?」

「第二部 エピローグ 神官マクミラの告白」
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第三部闘龍孔明篇 第12章—10 OODA(ウーダ)ループ

2019-05-17 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「軍事問題をわたしはケネスといつも話題にしてた」
「おまえの父親はネイビー・シールズの隊長だったな」
「企業はPDCAサイクルを使うけど、軍ではそんなものは役に立たないと言ってた」
「PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の略だな。たしかにPDCAはコンサルタントに、自分たちでも気がついていることを外圧として言わせようとする愚かな人間界の組織が取り入れている手法だな。コンサルタントは問題の指摘だけをして、具体的な改善の方針や方向を出さない。計画を立てる時点で過去や外国の例を検討していなかったり、責任者が責任逃れをしたりするため、うまくいかない理由を分析するだけに終わることも多いし、神々の世界ではシステムの問題ではなく担当者の能力の問題で片付くようなことも多い。だが、なぜ人間界の軍では採用されていないのだ?」
「どんなに綿密に計画を立てても、実際にはけっしてその通りに進むことなんてない。実行すれば必ず計画段階で想定外のことが出てきて、対応できずにせっかくの計画が台無しになってしまうことも多い。もっともアストロラーベくらいの天才になるとあり得ないような計画を立てた上で、逆にその計画通りに進むような段取りを考えるけど」
「お兄様のお世辞はけっこうよ。それで、OODAって何なの?」
「PDCAの問題点が浮き彫りになったのは、ケネスも参戦した1991年の湾岸戦争よ。湾岸戦争時のイラク軍は、最新鋭兵器を持ち、実戦経験豊富な兵士もいたのにも関わらずあっけなく多国籍軍に敗北した。軍が上層部の計画に従うだけのゲームプランを取っていたため、指揮命令系統を遮断されて身動きが取れなくなってしまった。特に、一度始まってしまった戦場における計画チェックなんてまったく意味がない。ケネスは、軍のゲームプランにPDCAを当てはめようとするなんて政治家や軍上層部が前線兵士を消耗品としか見ていない証拠だと怒っていたわ」
「それならOODAループはどう違う?」
「OODAは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(決断)、Act(実行)の略よ。撃墜王と呼ばれたパイロット、ジョン・ボイドが提唱した一応計画は立てても、それにはこだわらないやり方。管理も細かく指示するのではなく、最終ゴールのみを示し、後は流れに任せる。先の見えない状況では、OODAの方が臨機応変に動ける。ケネスは、日本の武道を研究していたけど『後の先』という考えに似ていると言っていわ。相手に初動体勢を取らせて修正が効かなくなってから、その攻撃を避けて相手に斬り返すことができれば最高だと」
 なるほど、マーメイドとも話をしてみるものだとマクミラは思った。

          

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第三部闘龍孔明篇 第12章—9 もう一つの可能性

2019-05-13 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「最初の神々のゲームを闘っていた頃、わたしはゾンゾーランドでは『生と死』の境をなくす研究をさせていた。最初から死んでいるから死を恐れないゾンビーソルジャーたちを生み出すために。ノーマンズランドでは『愛と憎しみ』の境をなくす研究をさせていた。どれだけ愛する相手にでも憎しみを持てるソルジャーたちを生み出すために。ナイトメアランドでは『夢と現実』の境をなくす研究をさせていた。人間に狂気と驚喜を同一視させるために。アポロノミカンランドでは『過去と未来』の境をなくす研究をさせていた。過去にこだわり、未来への展望を開かせないために。でも精神世界での闘いの後に、すべての研究成果は棄てさせた」
「どうして?」
「それが存在意義だと思えば人間は死をおそれないどころか、よろこんで相手を殺すと分かったし、愛する相手でもちょっとしたきっかけで愛が憎しみに取って代わることが分かったし、狂気と驚喜には何の違いもないことが分かったし、自分に都合がいいと思えば、平気で過去を作り替え未来を犠牲にすると分かったから。わたしが進めていた研究はムダだった。それに・・・・・・」
「それに?」
「あなたと知り合ってから人間を少し信じてみたくなった。あなたは彼らの明るいところしか見ようとしない心に一点の曇りもない元気印よ。自分さえよければと考える輩ばかりの中、神々のゲームは彼ら自身を滅ぼすオッズが9割9分9厘。だけど、あなたのような変わりものが万が一にも結果が見えているゲームをひっくり返すかしれないと思ったら、しばらく眺めていたくなった。それなのに、今回、魔性たちが横やりを入れて楽しみを奪おうっていうのは気に入らない」
「一点の曇りもない元気印って褒め言葉じゃない気もするけど、とりあえず、ありがとう。だけど、なぜ今回のゲームプランが奇襲かという答えは、まだ聞いてないわ。解放された魔性たちの意識が、彼ら自身の想定外になる可能性は?」
「その可能性はある。今回の魔性たちの正体は、魔界でも完全には把握できていない。それが、魔王たちが彼らを持て余した原因でもあるんだけど」
「わたしたちに秘密の援軍が関わるなら、それが結果的に奇襲になる可能性はあるわ。一つ思い出したことがある。あなたがゲームプランを考えるヒントになるかも知れない。OODAループって聞いたことある?」
「OODA?」

     

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第三部闘龍孔明篇 第12章—8 もう一人の自分

2019-05-10 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 もう一人の自分、まさか・・・・・・
 マクミラは、そのことばを聞いた時、背筋が震える気がした。おろかな、かつての冥界の神官たるものが・・・・・・しかし、なぜかそのことばが頭を離れなかった。
「もう少しくわしく教えて。解放された意識は零次元では、どうなるの?」
「零次元で頼りになるのは、光を信じるメンバーならメンバー間の絆だけ。闇を信じるメンバーなら闇のメンバーの力だけ。光で表されるポジティブな意識は神界と、闇で表されるネガティブな意識は魔界とつながっている。光と闇は、表と裏のようなものでどちらかが完全な支配を達成することは無い。ヤヌスの鏡は、零次元に光と闇の裂け目を作って暫定的接続状況を与える」
「暫定的ってことは、アストロラーベの儀式も時間の制限があるの?」
「この儀式を取り合うことを許されているのは神々の中でも唯一ヤヌス神だけ。さすがのお兄様も、冥界最大の禁忌を犯せる時間はかなり限られる。せいぜい666分だわ。お兄様は裂け目をその間は、一方通行にしておくつもりなの。そうでないと闇の空間と光の空間の間の精神世界を通じて、魔性たちが人間界に来訪し放題になってしまう。さらに、零次元亜空間の裂け目を閉じる瞬間に備えておくのは、強大な魔力を必要とする。それに、接続状終了後に亜空間の裂け目を閉じないと大変なことが起こる」
「大変なことって?」
「二つの可能性があるわ。一つ目は、光を信じるものと闇を信じるが、そこで最終決戦を起こすこと。わたしは冥界にいたから、魔性たちが常に精神世界の支配を狙っていたことは知っている。特に、多くの高位の神々が人間界に降臨している今は彼らにとって願ってもない契機となる。だけど、神々も最終決戦には常に備えているから簡単には決着がつかないと思うし、魔王たちの指揮がなければ魔界が軍団を形成して最終決戦に挑むかどうかは疑問だわ」
「もう一つの可能性は?」ナオミは、震える声で聞いた。
「こちらの方がありそうだとわたしは思うけど、もう一つは、亜空間の裂け目が開いたと気づいた魔性たちが人間界への干渉を強めることよ」
「人間界はさまざまな対立が渦巻き、魔性たちにはヨダレが出そうな状況よ。多大な犠牲を伴う最終決戦より、精神世界を通じて人間界を混乱させる選択をする可能性が高い。そうなれば、この世の地獄が出現するほどのひどい状況になることだけは間違いない。人間自身がすでにガイアを危篤寸前に追い込んでいるけど、自分たちの絶滅の方が早いかも知れない」
「マクミラ、絶滅を避けるため、今回は闘ってくれるの?」
「昔の私なら、2番目のシナリオは大歓迎。でも、今のわたしはちょっと違う」
「それは、いったい・・・・・・」

     

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第三部闘龍孔明篇 第12章—7 零次元空間

2019-05-06 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「1次元存在は2次元を知ることができず、2次元存在は3次元を知ることができず、3次元存在は4次元を知ることができず、4次元存在は5次元を知ることができないわけね」
「さすがダテに大学に行ってるわけじゃないわね」
「ケネスみたいなことを言わないで。わたしだって、ちょっとは海神界の知識があるんだから」
「ついでに言うと、5次元は神々が住む4次元に光の波長軸が加わった世界。3次元に住む人間などには、永久にその存在さえわからない。6次元は記憶軸が加わった歴史が支配する世界で、宇宙そのものの世界と言われているけど、ここまで行くと神々さえ自由な移動はもちろん完全な理解すらできない」
「それより、今回、わたしたちが闘う零次元亜空間はどんな世界なの?」
「零次元亜空間は、すべての次元につながる無限の広がりを持つ空間でもあり、存在自体がありえない空間とも言えるわ」
「まるで禅問答じゃない」
「さっきの次元の捉え方には根本的問題がある。人間は肉体を基準とするために相対的な次元の捉え方しかできない。だけど、どの次元でも意識を持つ個が存在して初めて認識は成立する。神々のように精神体こそ真の姿だと気づけば、次元の壁など存在せず逆に認識の力こそが次元の壁になっていると分かるはず。零次元は空間という概念自体が存在しない意識が支配する世界。いったん入り込めば意識がすべて。すべてを把握できれば全知全能の存在にもなれる代わり、意識があいまいな場合、存在自体が消滅する可能性さえある」
「それなら、自身さえも意識していない意識がそこで解放される可能性は?」ナオミ自身が、悩んできただけに気づくのは早かった。
ナオミは続けた。「それに、アストロラーベは『三魔性と使い魔たちには想定外の部分も多い』と言ってたじゃない。もしかして、彼ら自身が何かの変化をする可能性もあるんじゃない?」
「あのセリフを聞き逃さないなんて、油断も隙もない戦士になったじゃない」マクミラがニヤリと笑った。
「わたしへのお世辞もけっこうよ。でも、なんだろう。自分の中にまるで別のもう一人自分がいるみたいに、ものすごく気分が高まっているの。こんな気分になるのは、全米ディベート大会でも感じたことがないわ」

          

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第三部闘龍孔明篇 第12章—6 ゲームプラン

2019-05-03 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「わかるだろ、それくらい。人に言われなくても。フッ、やっぱりおまえ天然か」恋愛には引けを取らないほど天然だが、自分でそのことに気づいていないマクミラが言った。
「わたしが天然なのは自覚しているけど・・・・・・」
「まあ、いいわ。4つのテーマパークで——お兄様はワンダーランドと言っていたけど——闘えば、答えはすぐわかるはずよ。もう一つの質問の方は何?」
「『あなたとわたしに後で秘技を施す』を犯すという意味が気になってしかたがないの。話せる範囲でいいから教えてくれない」
「お兄様がゲームプランを隠すのはいつものことだけど、今回もわたしにも正直、お手上げ。くわしいことは分からない」
「日本では、そんな時、『猫の手も借りたい』と言うそうよ。昔、夏海に教えてもらったわ」
「猫の手か。それでは、マーメイドの尻尾でも借りてみるか・・・・・・ひとつだけ分かっているのは、あなたも聞いていたと思うけど、今回はヤヌスの鏡をお兄様が使うということ」
「ヤヌスの鏡、その記憶はまったくないわ」
「神々の世界に、『3枚の知られたる鏡あり』。精神体がそのままの姿を取る神々の世界では、鏡はうわべを取り繕う化粧のためではなく秘術を行うための神聖な道具。3枚の内、1枚目が浄玻璃(じょうはり)の鏡。冥主プルートゥが管理し、亡者の生前のすべての行いを映し出す鏡で過去の記録が蓄積されている。2枚目が月日貝の鏡。海主ネプチュヌスが管理し、月食の日にのみ未来を映し出す鏡だが、使うものの命を半分に縮める。今回使おうとしているのは、3枚目の鏡。天主ユピテルが管理し、オリンポス神殿に仕舞われているヤヌスの鏡。前後を見通す二つの顔を持つ守護神ヤヌスの名にちなみ、彼の守る門の扉は平時には閉ざされ、戦時のみ開かれる慣習。だが同時に、鏡は天界と魔界をつなぎコミュニケーションを取ることができる通信装置なの。だが、それを使うのはとてつもなく危険な行い」
「その訳は?」
「くわしくは言えないけれど、ヤヌスの鏡を使っている間、神界と魔界の禁断の扉が開きっぱなしになって、途中に零次元限亜空間ができるのよ」
「零次元亜空間?」
「零次元亜空間の前に、順を追って説明しておくわ。1次元は点対点の世界。点は線上にしか移動できないから、線路上を移動する電車の世界を想像してもらえばいい。2次元は点が平面上に移動する世界。この場合、点は縦横にしか移動できないから、騎馬武者同士の闘いを想像してもらえばいい。3次元は点が縦横上下に移動する世界。人間が飛行機を使って移動するのは3次元的だわ。4次元は3次元に時間軸が加わった世界。ただし、タイムマシンがなければ時間軸間の移動はできない。ここまではわかる?」

     

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