1856年、「精神分析学の創始者」であるフロイトは現在のチェコでユダヤ人家庭に生まれ、4歳でオーストリアのウィーンに移住した。1912年、後継者とみなしていたスイス生まれの弟子カール・グスタフ・ユングと決別するが、印章指輪の背景には彼との決別があった。印章指輪「フロイド・オブ・ザ・リングス」は、フロイトと神話や考古学とのつながりを示すとともに、彼が精神世界の底で何を見つけ、何を経験したかに光を当てるものであった。例えば、その指輪の一つが「フロイト・ニケ」と呼ばれる金の指輪である。ニケは、言うまでもなく、ギリシャ神話の勝利の女神である。これはフロイトがアメリカ人の弟子エバ・ローゼンフェルドに贈ったものである。
1912年、フロイトは精神分析学会の中核として秘密「委員会」を結成した。 フロイトの学説を信奉し、フロイト自身に対して献身的だったカール・アブラハム、サンドール・フェレンチ、アーネスト・ジョーンズ、ハンス・サックス、オットー・ランクが創設メンバーとして選ばれた。彼らには、フロイトからインタリオと呼ばれる彫り込み宝飾ののった金の指輪が贈られた。指輪にはめ込まれた石はフロイトが収集した膨大な古代遺物から選ばれており、それぞれ神話の主題が彫りこまれている。各指輪の刻印は、フロイトの学説の要素と、指輪を贈られた相手とフロイトとの関係を示唆していると言われる。実際には、フロイトは生涯で、こうした指輪を少なくとも20個贈っており、贈られた人の中には、彼が恩義を感じていた精神分析学者や精神分析を行った際に好意を抱いた人々らも含まれている。ただし、それらの指輪は、ロンドンのフロイト博物館が所蔵のものが3点、オーストリア国立図書館とニューヨークのユダヤ博物館が所蔵する各1点など、世界中に散らばっている。
今回、アストロラーベが魔性たちとの精神世界の闘いのために集めたものは、女神ニケの指輪、太陽神の竪琴の指輪、海主のトライデントの指輪、不死鳥の指輪、月の女神アルテミスの指輪、そしてスフィンクスの指輪の6つであった。実は、フロイトがこうした指輪を贈った相手は、修行によって精神世界に入り込む才能があると見込んだからだったり、魔性に狙われていることに気づいたりしたフロイトが指輪の力で守ってやろうとしたからだった。しかし、そうしたことを秘密にしていたために、指輪の真の力に気づいた相手はいなかった。今こそ、冥界最高の魔法使いアストロラーベの手によって印章指輪「フロイド・オブ・ザ・リングス」の真の力が発揮されようとしていた。
ランキング参加中です。はげみになりますので、以下のバナーのクリックよろしくお願いします!
にほんブログ村