財部剣人の館「マーメイド クロニクルズ 第三部」配信中!「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中「第二部 完結」

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第11章—9 精神世界への切符〜インタリオ(沈み彫り)

2019-03-29 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 1856年、「精神分析学の創始者」であるフロイトは現在のチェコでユダヤ人家庭に生まれ、4歳でオーストリアのウィーンに移住した。1912年、後継者とみなしていたスイス生まれの弟子カール・グスタフ・ユングと決別するが、印章指輪の背景には彼との決別があった。印章指輪「フロイド・オブ・ザ・リングス」は、フロイトと神話や考古学とのつながりを示すとともに、彼が精神世界の底で何を見つけ、何を経験したかに光を当てるものであった。例えば、その指輪の一つが「フロイト・ニケ」と呼ばれる金の指輪である。ニケは、言うまでもなく、ギリシャ神話の勝利の女神である。これはフロイトがアメリカ人の弟子エバ・ローゼンフェルドに贈ったものである。
 1912年、フロイトは精神分析学会の中核として秘密「委員会」を結成した。 フロイトの学説を信奉し、フロイト自身に対して献身的だったカール・アブラハム、サンドール・フェレンチ、アーネスト・ジョーンズ、ハンス・サックス、オットー・ランクが創設メンバーとして選ばれた。彼らには、フロイトからインタリオと呼ばれる彫り込み宝飾ののった金の指輪が贈られた。指輪にはめ込まれた石はフロイトが収集した膨大な古代遺物から選ばれており、それぞれ神話の主題が彫りこまれている。各指輪の刻印は、フロイトの学説の要素と、指輪を贈られた相手とフロイトとの関係を示唆していると言われる。実際には、フロイトは生涯で、こうした指輪を少なくとも20個贈っており、贈られた人の中には、彼が恩義を感じていた精神分析学者や精神分析を行った際に好意を抱いた人々らも含まれている。ただし、それらの指輪は、ロンドンのフロイト博物館が所蔵のものが3点、オーストリア国立図書館とニューヨークのユダヤ博物館が所蔵する各1点など、世界中に散らばっている。
 今回、アストロラーベが魔性たちとの精神世界の闘いのために集めたものは、女神ニケの指輪、太陽神の竪琴の指輪、海主のトライデントの指輪、不死鳥の指輪、月の女神アルテミスの指輪、そしてスフィンクスの指輪の6つであった。実は、フロイトがこうした指輪を贈った相手は、修行によって精神世界に入り込む才能があると見込んだからだったり、魔性に狙われていることに気づいたりしたフロイトが指輪の力で守ってやろうとしたからだった。しかし、そうしたことを秘密にしていたために、指輪の真の力に気づいた相手はいなかった。今こそ、冥界最高の魔法使いアストロラーベの手によって印章指輪「フロイド・オブ・ザ・リングス」の真の力が発揮されようとしていた。

     

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第三部闘龍孔明篇 第11章—8 絶対悪を手にする権利

2019-03-25 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「絶対悪は一度誕生すれば、2つのチョイスがある。1つは、正義感あふれるものと合体し助け合いとレスペクトにあふれた世界を目指す『平和の天使ザキエル』となる道。もう1つが、目的のためには手段を選ばぬものと合体して、欲望と闘いにあふれた世界を目指す『死の天使アズラエル』になる道。だが、どちらもそれほど簡単ではない。いやしくも、絶対悪と合体するほどの正義感あふれるものや、目的のために手段を選ばぬものなど人間界には滅多におらぬ。だが、前者の方はもう見つかっているではないか?」
「それは、いったい・・・・・・」
「知れたこと、闘龍の孔明じゃ!」
「なんとまあ・・・・・・平和の天使ザキエルが誕生したならば、エデンの園の時代が再び地上に蘇るかも知れません。我らには、何のおもしろみもない時代ではありますが」シュリリスが言った。
「本当なら、絶対悪は誰にも束縛できない究極の存在。ザキエルとアズラエルのどちらを選ぶか、はたしてそれに値する肉の存在を見つけるかはその刻が来てみないと分からない。だが、万が一我らがアポロノミカンランドでの闘いに負けるなら孔明自身に、絶対悪を受け入れるかどうかを選ばせてやってもよい」
「おもしろい。孔明が合体を拒めばザキエルは誕生せず、合体を選べば龍神の力は失われる訳ですね。ジェノサイダス様と五選帝侯直々に守られるノーマンズランドの闘いには何を賭けます?」今度はビザードが尋ねる。
「神導書アポロノミカンを賭けるというのはどうじゃ?」
「なるほど。アポロノミカンこそ、神々のゲームの契機。究極の闘いの締めくくりに賭けるにはふさわしい」
「その通り。万が一にも奴らがノーマンズランドの闘いに勝つようなことがあれば、神導書にふさわしい人物に渡せるようにアポロノミカンを返してやり、こちらが勝利すれば最悪の人類にアポロノミカンを見せて、後は高みの見物といこうではないか。おそらくは、究極の予言が指しているのは今回の闘いじゃ。

 道化師(clown)が冠を抱くもの(crown)に変わり
 十三の白きものと黒きものが一つになる刻
 切り裂かれた天使が純粋な悪を生み出し
 緑の霧を巡る兄の子等と弟の軍団の闘いの
 幕が切って落とされる
 マーメイドとヴァンパイアの縛めが魔術師によって解かれ
 生きるために愛し合うことを求める者たちと
 生きるために殺し合うことを求める者たちの
 最後の審判が下り
 母なる星の希望と絶望が始まる

 真の意味は誰にも分からぬ。だが、最後の審判が下るのを見るのは楽しみじゃ」
「すばらしい。これで奴らとの闘いが数十倍にも楽しみになりました」
「さあ、これで闘いの段取りは決まった。それぞれのテーマパークに帰って、それぞれ備えを万全にしようではないか」

     

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(再送版です!)映画・漫画レビュー集2

2019-03-23 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 語り部の財部剣人です! 再送版ですが、ご堪能あれ!

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 先週の挨拶集と映画レビュー集がご訪問者数106人と意外にも(?)ご好評だったので、映画・漫画レビュー2のリンク集を作ってみました。

 また「マーメイド クロニクルズ第三部」執筆にも取りかかれず、平井和正先生と名作「8マン」や「デスハンター」でペアを組んでいた桑田次郎先生の作品を読んだりしております。。。でも、二人の相性抜群ですね!

 叱咤激励の程、お待ちしております!

     失恋からの癒え方 How to recover a broken heart

     私たちはすでに『ライアーゲーム』の世界の中にいる?

     映画『タイム』を見て来ました!

     「ベルセルク黄金時代篇 I 覇王の卵」を見て来ました!

     私はブラッド・ピットでした。World Runaway: Am I that bad?悪女・悪男判断

     「ベルセルク」22巻までイッキ読みしました!

     第一部人魚ナオミ篇「マーメイド画像」リンク集

     私はベニスに住むイタリア人、アントニオでした!

     映画『逆転裁判』を見て来ました!

     「ALWAYS 3丁目の夕日'64」を見て来ました!

     「ベルセルク」読み進め中!

     マクミラの真のバースデーパーティ・ウィズ・ミスティラ

     「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を見て来ました!

     「マリリン 7日間の恋」を見て来ました!

     「ベルセルク黄金篇 II ドルドレイ攻略」を見て来ました!

     訃報ージョン・ロード逝去


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第三部闘龍孔明篇 第11章—7 魔性たちのゲーム

2019-03-22 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 リーダーのジェノサイダスに呼び出されたビザードと魔獣ドラゴム、“ジル”・シュリリスと黒不死鳥フェルミナが、ゾンビーランドに集まった。
「ここまではすべてが計算通り。このまま冥界軍に率いられた連中と闘ってもこちらの勝利は必定。しかし、それでは面白みがないというもの。どうじゃ、闘いを面白くするために、神々に対抗して魔性のゲームを開始するのは?」
「我はかまいませぬ。かつてのワラキアの勇者たちとゾンビーソルジャーが合体した最強兵士に勝てる者など、天界を探しても魔界を探してもおりませぬし」ビザードが答える。「ですが、ゾンビーランドの闘いに何をお賭けになります?」
「パンドラの筺を賭けてはどうじゃ?」
「パンドラの筺! あれは我々が魔界を抜け出す時に失われたのでは?」
「実は仕掛けをしておいた。パンドラの筺は失われたのではなく、わざと魔界に置いてきたのだ。次に儂の呪文によって開いた時、筺は魔界の災厄を集める。筺を人間界に送り込むのは、それから後の方が何万倍もおもしろい」
「さすが、ジェノサイダス様」
「ゾンビーランドの闘いで奴らが勝利することがあれば褒美に筺は開かずそのまま置かれて、我らが勝利すればペネルティとして筺はただちに開かれて魔界の災厄を集め始めて、その後、人間界に贈り物として送られる」
「すばらしい。結果が待ちきれません」
「万が一にもビザード殿が負けることなどあるまいが、何かが賭かっていた方が、興が増すというものじゃ」
「それでは、ジェノサイダス様、ナイトメアランドの闘いには何を賭けます?」シュリリスが待ちきれずに尋ねる。
「鍵を賭けては、どうじゃ?」
「鍵ですか?」

     

「奴らの中には『鍵を守るもの』がおる。しかし、まだ真の使命に目覚めてはおらぬ。ナイトメアランドの闘いで奴らが勝利すれば褒美として『鍵を守るもの』の記憶の戒めを解き、我らが勝利すれば『鍵を守る』はこちらがいただく」
「神界の最後の切り札を、こちらがいただくわけですね。素晴らしい」
「その通りじゃ」
「ジェノサイダス様、今は闘龍に守らせていますが、アポロノミカンランドの闘いには何を?」シュリリスが尋ねた。
「闘いに勝利した方が、絶対悪を手にする権利を得るというのはどうじゃ?」
「権利を得るとは?」


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第三部闘龍孔明篇 第11章—6 ニュートラルゾーン

2019-03-18 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「ニュートラルゾーン?」
「強い浄化エネルギーの影響力を残すパワースポットのことじゃ。ヨーロッパならスイス、アメリカ大陸ならアラスカ、そしてアジアなら筑波じゃ。だが、世界にはすでに欲望の3極支配体制が確立してしまっておる。ヨーロッパはロス・チャイルド帝国、アメリカはロックフェラー帝国、アジアは華僑ネットワークの支配下にある。国際政治力を行使できない極東、アフリカ、オセアニアは、しょせん3極体制にいいようにされるだけの運命じゃ」
「中国はどうなの?」パピヨンが訊いた。
「ほう、儂にそこを訊いてくるか? 儂は日本に住んでいても、中身は中国人じゃ。中国のことなら手に取るように分かるぞ。今後、中国は人口12億という世界最大の消費国と工場に成りつつある地位を利用して経済、政治、産業分野の覇権を目指すじゃろう。だが、それが本気なのか、あるいは国の指導者層が短期的に荒稼ぎをして個人資産を蓄積しようとしているかは、彼ら自身にも分からん」
「覇権を目指すのは分かるけど、個人資産の蓄積とは?」
「北京政府の永続性を信じている中国人など世界に一人もおらぬ。国家主席を含めてな。党幹部たちは子弟を欧米に留学させて市民権まで取らせ、いつでも国を見捨てて逃げ出す準備をしている。すでに国外に持ち出された国家資産は数兆円を超えて、彼らの個人資産になっておる。だが、中国がそうしたことが出来るのもあと半世紀。一人っ子政策の影響で少子高齢化が進む中、覇権主義がうまくいって4極構造になるか、あるいはバブルが弾けるかは五分五分。国内資産の持ち出しと個人資産形成は、党幹部たちの保険というわけじゃ」
「中国は分かったけど、中東はどうなの?」カズームが突っ込む。
「そこに気づくとは、たいしたものじゃ。中東の場合、今後半世紀で金融体制をどう構築できるかどうかにかかっておる。現ペースで人類が使い続ければ、化石燃料が枯渇するまでわずか一万日。オイルマネーによる資金は膨大じゃが、運用に関しては欧米に頼らざるえない以上、利用される可能性をなくせない。もっとも地球環境の方が先に限界を迎えるじゃろう」
「おもしろい話をありがとう。でも、その話と孔明と何の関係があるの?」
「孔明の力は人のものではない。これまで数え切れない人間たちが、龍神の力を手に入れようと何千年も闘い続けてきた。だから息子が“三合会”に惨殺された悲劇を繰り返さないために、儂は孔明の力を3極体制側に秘密にしてきた。刺青も力を押さえる修行も結界を張ったのも、すべてそのためじゃ」
「やっと話がつながったわね。孔明にアポロにミカンランドを守らせるには、周到な準備が必要ということね。最大の力を出させつつ暴走しないように策を練るわよ。さあ、ナイトメアランドはシュリリス様がいるから大丈夫。アポロノミカンランドは、四人がいるから大丈夫ね。パピヨンとプリシラはゾンビーランドに行って、ゼルゾラと私はノーマンズランドに行くわよ」カズームが、皆を促した。

     

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(再送版です!)ご挨拶集と映画レビュー集

2019-03-16 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人
財部剣人です! 以前からの読者の方はご存じですが、私は映画好きで映画が無いと生きていけない人です(苦笑)。第三部構想中に作った過去のご挨拶集と映画レビュー集を再送させていただきます。よろしければご笑覧ください。

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 現在、第三部を構想中ですが、尊敬する平井和正先生の著作を読み返しています。私は、まず中期「ウルフガイ・シリーズ」、特に少年ウルフガイから入って、次に初期SF小説を読み、その後、後期「幻魔大戦シリーズ」を読んだ世代です。まだまだ、そして将来的にも足下にも及びませんが、2015年1月17日にご逝去された先生のスタイルに一歩でも近づけるようにがんばります!

 以下に、読者とのやり取りがお好きだった平井先生を偲んで挨拶集中心にバックナンバーを作ってみました。例によって、ペンネームや小説のタイトルは昔のままにになっているブログもありますので、ご了承ください。ああ、でも中学生や高校生の時に平井先生にいただいた年賀状、今はもう見つからなくなってしまった!ずっと取っておけばと後悔しています。

     第二部完結のご挨拶

     祝!更新100回突破の御礼

     新年のご挨拶&「SP特別編」を見て来ました

     魔界図鑑特集:いつもご愛読ありがとうございます

     ブログ開設100日のご挨拶

     ブログ開設330日と第二部最初の三分の一終了のご挨拶

     タイトル変更のお知らせ

     クラブ・マーメイド・ショー

     マーメイドのショー2

     あなたを世界一愛してくれる人が見つかったー

     ナオミのバースデーパーティ・ウィズ孔明

     年下の彼氏、結婚できるラインはどこまで?

     祝、トータル訪問者5万人越え!

     「マネー・ボール」を見て来ました

     ベリーダンスの歴史

     「リアル・スティール」を見て来ました

     皆既日食の夜にサマラマンダーの女王ローラ初降臨

     天才脚本家、小林靖子さん

     「僕の彼女はサイボーグ」

     デビュー前のレディガガat New York University

     レディガガ・ライブ

     レディガガの素顔

     第二部 まぼろしの最終回

     四大精霊サラマンダー、ウンディーネ、シルフとノーム


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第三部闘龍孔明篇 第11章—5 生態系の死

2019-03-15 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「やさしさを学ぶ・・・・・・愚かな人間にそんなことが可能なの?」
「さて、どうじゃろう。人は弱い。だが、弱い故に学ばねばならぬことを知らぬ者のなんと多いことよ。性善説と性悪説ということばがあるが、儂に言わせれば、生弱説と生強説とでも言いたいものじゃ」
「しょうじゃくせつとしょうきょうせつ?」ゼルゾラがセクシーな声で言った。
「生弱説とは、人は生まれながらにして弱い存在だと言うこと。弱い故に、簡単にゆがむ。人を悲しみ、妬み、怒り、あげくは逆恨みをして誹謗中傷するようになる。生強説は、人には考える力があり成長できる強さがあるということ。強さとは、誰かを倒す力があるということではない。自分自身に負けないこと。努力して自ら選んだ道で高見を目指し、過去を反省して誤りを繰り返さないこと以上の強さがはたしてこの世にあろうか?」
「おじいちゃん、人間にしておくにはもったいないわね」カズームが言った。
「たいした褒めことばじゃ。ありがとう、お嬢ちゃん」
 青龍は、自分が夢魔の女王の血を引いていることは言わずにおくことにした。夢魔たちも深層心理の中のペルソナに過ぎない青龍では、まさかこの老人が自分たちの兄であるとは夢にも思わなかったに違いない。
「『迷いを捨てよ』と師はのたまう。儂なら『欲を捨てよ』と言いたいところじゃ。物欲、名誉欲、出世欲、愛欲。コンプレックスならプラスに働けばバネになることもあるが、欲にはキリがない。人に必要なのは矜持なのじゃ」
「矜持?」享楽的に生きる夢魔たちには、分からないことばだった。
「矜持とは、自負。つまり、自分の能力を信じ、それを誇りとすることじゃ」顔を引き締めると、青龍は続けた。「たとえどんなに強く生まれようとも、人は周りの影響を受ける。悪しき人間たちのエゴによって生態系の寿命が近づいておる。たとえば、過去半世紀で全世界の海洋プランクトンは3割も減少した。世界中が『原因不明の不漁』と騒いでおるが、これ以上わかりやすい説明などないではないか。現状、英国、ロシアを始めとした国々の公海での原発からの汚染物資廃棄、東南アジアと中国を中心としたプラスチックなどの永久不滅なゴミの垂れ流し、先進国工業地帯からの汚水の影響、さらに温暖化ガスが海水に溶け込むことによる海水温の上昇。魚の餌になる海洋プランクトンが減れば、当然取れる魚の量も減る。急激な減少は、加速度化しつつある。海洋プランクトンが半分以下になれば、一気に世界の漁獲高も減少する。海水だけではない。大気と河川の汚染、気候変動によって全生態系が死に絶えようとしている時、いまだにアメリカでは国際競争力の確保が優先とか戯言を言っておる。笑えるのは、海洋プランクトン激減を知ったあるジャーナリスト崩れの学者は、生態系基盤の消滅? そんな先の話より自分は今、起こりつつある金融危機の方がコワいと言いおった。見た目は同じに見える環境汚染よりも人間様のサイフの中身が減ることがコワいのじゃ! 人間など、しょせんは自分だけがよければ他人などどうなってもよい、今日が無事なら明日はどうなってよいというエゴの固まり。孫を育てたのは世界に何カ所かあるニュートラルゾーンじゃったが、悪い地場にとりつかれた場所がだんだんと増えておる」

     

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第三部闘龍孔明篇 第11章—4 人が生きる意味

2019-03-11 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 アポロノミカンを探求するアポロノミカンランドは、ミホシムにコントロールされた孔明が担当していた。孔明は、自分自身の意識を失ったままであり、夢の中でナオミを守って闘っていた。
 ミホシムによって、ナオミをゾンビーソルジャーたちから救う王子の役割を与えられた孔明は、十字架に貼り付けになったナオミを襲ってくる怪物たちを撃退し続けた。ミホシムがいなくなってからは、彼がナオミだと信じて守っていたのは、実はアポロノミカンだったのだが。
 孔明は、夢魔の女王シュリリスのインキュバスの息子たちが変化した怪物と闘うのに文字通り夢中になった。「快楽を与えるもの」ヘドミス。「隠微な喜びを与えるもの」クリプス。「欲望を与えるもの」デザイラ。「拘束される喜びを与えるもの」レストラたちとの闘いに全力を尽くした。
 だが、問題は肉を持つ身体でなくなった孔明の恐ろしいまでの強さだった。夢の中なら無敵のはずの夢魔が容易に倒されてしまうだけでなく、あやうく消滅しそうになるほど、肉の拘束を解かれた孔明は強かった。
 孔明が右手を振ると光が生まれ、足を上げると虹が空気を切り裂いた。
 彼が移動するにつれて闘気が渦を巻いて、巨大な龍に変身すると夢空間自体が破壊されそうなエネルギーが発生した。

     

 夢魔の女王だけあってシュリリスは、そんな孔明を恐れるより興味を持った。まず最初に、サキュバスの娘たちを使って深層心理に入り込ませ、これまで彼の人生に何があったのか、どのような教え導きを受けたのか調べさせた。次は、「はなやかなるもの」パピヨン、「美しきもの」プリシラ、「妖艶なるもの」ゼルゾラ、「酔わせるもの」カズームが、全力を尽くす番だった。彼女たちが孔明の深層心理の奥底で発見したのは、祖父青龍の影響だった。すでに孔明の人格の一部となっていた彼とは、会話さえ出来た。
「おじいちゃん、いったいどうやって孔明を鍛えたの?」パピヨンがリズミカルに話しかけた。
「ホッホッホッ、お嬢ちゃん、儂は孔明を強くしようと思ったことはない」
「強くしようと思ったことはないですって! じゃ、どうやって?」
「ふつう修行とは強くなるためにするもの。だが、孔明に関しては、修行とは己の強さを忘れ、捨て、押さえるためのものじゃ。闘いなら孔明は無敵どころか、抑えの利かないパワーの持ち主。だから刺青を入れて、力を弱めさせた。背中の龍の刺青は抑えきれない力を吸い取って、かろうじて人間として生きることを可能にしてくれた」
「人間として生きるのは、そんなにむずかしいことなの?」プリシラが惚れ惚れする美声で話しかけた。
「闇に対して、光の天使が現れて破邪の剣で悪魔を切り裂いて一件落着・・・・・・そんなことは脳天気なファンタジー作家のストーリーの中だけの話じゃ。現実は、あくまで地道に人がなすべきこととできることを考え、試行錯誤しながら学び、育っていくことしかできぬのじゃ。生きるとは、苦しみを己の糧とすることじゃ。苦しみは楽しみをより楽しくし、人に試練を与え、人に出口を考えさせる。だが、最も大切なのは、おそらく苦しみからやさしさを生むことを学ぶことじゃ。」


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(再送版です!)マーメイド クロニクルズ第一・二部 イメージソング集&番外編エピソード集

2019-03-09 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

財部剣人です! 最近は、第三部のエピソードの方に専念しているためさぼっているイメージソングの過去のリンク一覧です。もしかすると最近、読み出した方もいらっしゃるかと思って再送させていただきます。ご堪能ください!

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 語り部の財部剣人です。まず第二部全体のバックナンバーのリンクです。

マーメイド クロニクルズ 第二部再編集版 序章〜エピローグ バックナンバー

 今年3月末で「マーメイド クロニクルズ 第二部 神官マクミラ篇」完結後も、毎日50人以上の方がご訪問していただいております。本当にありがたいことです。なかなか「第三部 闘龍孔明篇」に取りかかれなくて申し訳ありません。お詫びの印というわけではありませんが、これまでの第一部と第二部のイメージソングとしてアップしたページへのリンク集を作ってみました。皆さんへの感謝の印です!

 以前からお読みいただいている方はご存じですが、このサイトはアヴァンの物語の館「マーメイド サーガ」として始まり、アヴァンの物語の館「旅するマーメイドの神話」をはさんで、現在は財部剣人の館「マーメイド クロニクルズ」へと何度かタイトルが変更しています。古いサイトだと種々の名称が違うのですが、そのままに残してありますのでご了承ください。

 できるだけ早く第三部と共に戻ってきたいと思っております。どうか請うご期待!

ナオミのバースデーパーティ・ウィズ・マクミラ

第一部 序章のイメージソング

第一部 前半部分全体のイメージソング

第一部 前半部分海神界イメージソング

第一部 前半部分天界のイメージソング

第一部 マクミラのイメージソング

第一部 孔明のイメージソング

第一部 キル、カル、ルルのイメージソング

第一部 ナオミのイメージソング

第二部 全体のイメージソング

第二部 大天使ダニエルのイメージソング

第二部 ナオミのイメージソング

第二部 ケイティのイメージソング

第二部 夏海のイメージソング

第二部 唄姫リギスのイメージソング

第二部 氷天使メギリヌのイメージソング

第二部 イメージソングおまけ

第二部 エンディングテーマ

第二部 イメージソング(水の部屋)

第二部 氷天使メギリヌの闘いのイメージソング

第二部 ナオミの闘いのイメージソング

第二部 イメージソング(虹の部屋)

第二部 蛇姫ライムの闘いのイメージソング

第二部 スカルラーベの闘いのイメージソング

第二部 さかさまジョージのイメージソング

第二部 ミスティラのイメージソング

第二部 アストロラーベの闘いのイメージソング

第二部 イメージソング(嵐の部屋)

第二部 悪魔姫ドルガのイメージソング

第二部 ダニエルの闘いのイメージソング

第二部 エンディングテーマ

第二部 アストロラーベのイメージソング

第二部 スカルラーベのイメージソング

ブログ解説666日の挨拶byローラ

第二部 最後のイメージソング

マクミラのバースデーパーティ・ウィズ・ミスティラ


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第三部闘龍孔明篇 第11章—3 魔性ジェノサイダスとノーマンズランド

2019-03-08 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 軍事兵器を研究するノーマンズランドを支配するのは、「殲滅しつくすもの」ジェノサイダス。暗黒星雲を取り込んだ鎧に身を包んでおり、すべての攻撃を吸収し同じ攻撃を何万倍にも拡大して返すことができる。だが、真に恐ろしいのは見つめられたものを自由にあやつる魔眼であった。実力者を次々と籠絡し、あと一歩で絶対支配者の地位に手が届くところだったが、魔王たちの返り討ちにあって逃走することになった。

     

 なぜか、すでにジェノサイダスは、アルトロラーベとスカルラーベ兄弟の存在を感じ取っていた。
「おお、感じる。冥界の神々が・・・・・・燃える、我が怒りによって燃え上がる」
 ジェノサイダスが全力を上げたのは、両面作戦であった。
まずノーマンズランドで開発された軍事技術を先鋭化していた。精神世界から、ロボット兵器や無人兵器など、世界中の兵器開発に従事する科学者たちに人類絶命につながる兵器のアイディアを次々に与えていった。
さらに、ミシガン山中で育てた精鋭をゴースト・テロリストに仕立て、世界中に災いの種をばらまくことであった。民族対立、資源対立、宗教対立、国境対立、世界中に対立の種はあふれかえっていた。
 ジェノサイダスは、かつての腹心、五選帝侯たちを精神世界に呼び出した。
 最初に召喚されたのは、アイルランド出身兵に取り憑いた「狂狼の力を持つもの」グィスギル候。激しく赤色に光る獣の目を持ち、夜目が利く。敵に気づかれずに近づくことが得意で、一噛みで相手の喉笛をかみ切ってしまう。
二番目に召喚されたのは、スコットランド出身兵に取り憑いた「荒馬の力を持つもの」ケルピー候。湖水地方の出身で、地上だけでなく水上でも走る力を持った荒馬である。
 次に召喚されたのは、ウェールズ出身兵に取り憑いた「死期を操るもの」バンシー候。すさまじい声で泣き叫び、それを聞いた相手の血の涙を流させる。
 四番目に召喚されたのは、イングランド出身兵に取り憑いた「猛牛の力を持つもの」ケルヌンノス候。二本の角を頭に生やしており、相手を串刺しにしたまま走り回る怪力の持ち主である。
 最後に召喚されたのは、オークニー諸島出身兵に取り憑いた「人馬が一体になったもの」ナックラヴィー候。人体が乗った上半身と一つ目の馬の下半身から出来ており、黒い血が流れる血管と筋肉が剥き出しになった姿は、一目見たら二度と忘れられない恐怖を与える。
「クックックッ、このままではあまりにもあっけなく人類など滅亡してしまう。これでは楽しみがないというもの。ふむ、そうだ・・・・・・」
 ジェノサイダスは、何かを考えついたようだった。


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