「アポロノミカン!?」
「たいへんな時間がかかりましたが、神導書の修復はほぼ終わっております。神導書を見たもののほとんどが発狂するか人間以外に変化してしまうため、取り扱いには最高度の注意を要します。ですがマクミラ様なら・・・・・・」
「盲目の我になら、何かが起こる心配はないか! だが、この男は耐えられるだろうか?」
「オーラから判断して、おそらくこの男も天界から送り込まれたゲームの一部。そうであれば、アポロノミカンの衝撃も乗り切れる可能性大です。それにこの状態では・・・・・・もはや、他に打つ手はないかと」
「わかったわ」言うが早いか、3匹をしたがえると部屋を飛び出した。
一人残されたジェフは、つぶやいた。
「ついにマクミラ様にも愛する男が現れた。ご本人は、まだ意識されておられないが、あのあわてようにまちがいはない。父親のオーラを感じさせるあの男の命、なんとか救ってやりたいものだが・・・・・・」
マクミラが生まれる前から、散逸した神導書はジェフの父ヌーヴェルヴァーグ・シニアの手によって、少しずつ回収されていた。他の研究所とは違って、アポロノミカン・ランドは完全オートメ化されていた。神導書は、不可視化された特殊ガラスケースに納められており、どうしても開かなくてはいけない時だけ、羊の皮で作られたマジックハンドによる遠隔操作がおこなわれていた。
関係者で唯一、セキュリティ・チェックがフリーパスのマクミラは、通路をひたすら走った。途中で気がついて、キル、カル、ルルの3匹に声をかけた。
「いいかい、ここから先は目をつぶっておくんだよ」
ウ〜、ワン! 3匹がそろって返事をした。
マクミラは、アポロノミカン・ランドでも最高レベルの警備体制を取る通称「禁断の部屋」に足を踏み入れた。部屋は常に暑すぎず寒すぎず、本にとって最適な湿度に保たれていた。
あせる気持ちを抑えて、マクミラはゆっくり特殊ガラスケースをはずした。ヴァンパイアの特徴の一つ、鋭い爪が神導書に触れた瞬間、トクンと血流の音がした。
次の瞬間、マクミラは脳天まで突き抜ける衝撃を感じた。
マクミラが、盲目の自分はアポロノミカンの影響を受けずにすむと思っていたのはあまかった。影響が小さいだけでつかんだ瞬間からアポロノミカンは、強力なメッセージを直接、彼女の脳に語りかけてきていた。
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