財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第6章−8 プル−トゥ、再降臨(再編集版)

2020-10-23 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「マクミラ様が先日お知り合いになられたストリート・ギャングたちが、一例でございましょう。彼らのほとんどは、まだ右も左もわからぬ若者ばかりです。普通に考えれば、若いにもかかわらず組織犯罪に関わり、銃やナイフを携帯して命を危険にさらすバカ者共です。ところがカルチュラル・パフォーマンス的に考えれば、若いがゆえに自らを危険にさらし対立する組織と闘うことで自らのアイデンティティを確立しようとしていると考えられます。同時に、ああした組織に所属することは、シャバにいようと監獄にいようと同胞同士による自衛手段であり、大半は若い身空で命のほむらを散らすかもしれません。運良く生き残って、守るものができれば、カタギになってストリート・ギャングを引退するでしょう。それが、生涯を通じてギャングとして生きる職業的犯罪者集団であるマフィアとの大きな違いでございます」
「わたしが神々のゲームに参加するのも、カルチュラル・パフォーマンス?」
「イエスとも、ノーとも言えます。反復によって規範を確立するのもパフォーマンスなら、規範を侵犯するものもまたパフォーマンス。しかしながら,究極の権威である最高神に押しつけられた規範の中で、マクミラ様がゲームのコマとして動いている間は・・・・・・」
「カルチュラル・パフォーマンスとは言いかねるか。フフフ、お前にしてはめずらしく耳に痛いことを言ってくれる」
「実は、お願いがございます」
「お前が願い事とは、めずらしいわね。何かしら?」
「今年は、亡き父の生誕百周年でございます。つきましては、父の趣味だった仮面収集を記念したパフォーマンス・フェスティバルをクリスマスに開催したいのですが」
「パラケルススが生誕百年というの?」
「それを言われると、返答に困りますが・・・・・・時空間を超えた旅を重ねた父の実年齢は、本人にもとうにわからなくなっておりました。ですが、この時代におけるジェフエリー・ヌーヴェルヴァーグ・シニアの公称年齢が百才ということで」
「冗談よ。わたしにとっても、おじい様じゃない。莫大な財産には感謝しているし、それを拡大させたあなたにも。いいんじゃない」
「ありがとうございます。ニューヨークは、パフォーマンスの本場。すばらしいイベントになると思います。マクミラ様、蛇足かも知れませんが戦士にも休息は必要です。父の、あなた様にとっては祖父ですが、生誕百周年イベントをお楽しみください。このイベントでは、マクミラ様はマーメイドとやり合うわけではありません。4つのテーマパークを通じて、人類をほろぼす側への協力体制は着々と整いつつあります。マスターマインドとしてのマクミラ様は、さまざまな機会をとらえて、人間を知ることが肝要かと。その点、パフォーマンス研究は支配に対する抵抗を知るには絶好の機会かと」
「まあ、口のうまいこと」皮肉な笑いを浮かべた瞬間、波動を感じたマクミラは総毛だった。
「まさか、みんなが!? ジェフ、クリストフ、すぐ屋上に」


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