財部剣人の館「マーメイド クロニクルズ 第三部」配信中!「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中「第二部 完結」

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 序章と第1〜4章のバックナンバー

2018-05-29 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 財部剣人です! おかげ様で、前回でホラー・怪奇小説テイスト中心の第三部第4章が終了しました。来週からは、マーメイドのナオミが戻ってきて全米ディベート選手権(NDT)が話の中心になります。どうか請うご期待! #ホラー、#ファンタジー、#ディベート

「第三部闘龍孔明篇 序章」

「第1章−1 茨城のパワースポット・トライアングル」
「第1章−2 チャイニーズフリーメーソン 洪門」
「第1章−3 「海底」の秘密」
「第1章−4 アポロノミカンの予言
「第1章ー5 太古の龍」 
「第1章-6 神獣たちの闘い」
「第1章-7 龍神対孔明」
「第1章-8  龍が再び眠る時」
「第1章-9 精神世界へ紛れ込む魔性たち」

「第2章−1 四次元空間エリュシオンのゆがみ」
「第2章−2 3つの鏡」
「第2章−3 ヤヌスの鏡と3人の魔王」
「第2章−4 ゲームは変わる」
「第2章−5 パンドラの筺は二度開く」
「第2章−6 魔界の気まぐれ」
「第2章−7 ヤヌスの鏡を閉じる」
「第2章−8 冥界の会議」

「第3章−1 絶対悪」
「第3章− 2 ヴラド・”ドラクール”・ツェペシュの名」
「第3章−3 パラケルススの名」
「第3章−4 神導書アポロノミカン」
「第3章−5 ヴラドとラドウ」
「第3章−6 ヴラド・”ドラクール”・ツェペシュの誕生」
「第3章−7 地獄によって地獄を救う」
「第3章−8 血の契りの儀式」
「第3章−9 エリザードの誕生」

「第4章−1 エリザードの愛と死」
「第4章−2 エリザードの野望」
「第4章−3 愛ゆえに」
「第4章−4 "ドラクール"対エリザード」
「第4章−5 冥主プルートゥの決定」
「第4章−6 ドラクールの願い」
「第4章−7 海神界の議論」
「第4章−8 王子トリトンの決意」


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「第一部 神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ

「第二部 序章」

「第二部 第1章−1 ビックアップルの都市伝説」
「第二部 第1章−2 深夜のドライブ」
「第二部 第1章−3 子ども扱い」
「第二部 第1章−4 堕天使ダニエル」
「第二部 第1章−5 マクミラの仲間たち」
「第二部 第1章−6 ケネスからの電話」
「第二部 第1章−7 襲撃の目的」
「第二部 第1章−8 MIA」
「第二部 第1章−9 オン・ザ・ジョブ・トレーニング」

「第二部 第2章−1 神々の議論、再び!」
「第二部 第2章−2 四人の魔女たち」
「第二部 第2章−3 プル−トゥの提案」
「第二部 第2章−4 タンタロス・リデンプション」
「第二部 第2章−5 さらばタンタロス」
「第二部 第2章−6 アストロラーベの回想」
「第二部 第2章−7 裁かれるミスティラ」
「第二部 第2章−8 愛とは何か?」

「第二部 第3章−1 スカルラーベの回想」
「第二部 第3章−2 ローラの告白」
「第二部 第3章−3 閻魔帳」
「第二部 第3章−4 異母兄弟姉妹」
「第二部 第3章−5 ルールは変わる」
「第二部 第3章−6 トラブル・シューター」
「第二部 第3章−7 天界の議論」
「第二部 第3章−8 魔神スネール」
「第二部 第3章−9 金色の鷲」

「第二部 第4章−1 ミシガン山中」
「第二部 第4章−2 ポシー・コミタータス」
「第二部 第4章−3 不条理という条理」
「第二部 第4章−4 引き抜き」
「第二部 第4章−5 血の契りの儀式」
「第二部 第4章−6 神導書アポロノミカン」
「第二部 第4章−7 走れマクミラ」
「第二部 第4章−8 堕天使ダニエル生誕」
「第二部 第4章−9 四人の魔女、人間界へ」

「第二部 第5章−1 ナオミの憂鬱」
「第二部 第5章−2 全米ディベート選手権」
「第二部 第5章−3 トーミ」
「第二部 第5章−4 アイ・ディド・ナッシング」
「第二部 第5章−5 保守派とリベラル派の前提条件」
「第二部 第5章−6 保守派の言い分」
「第二部 第5章−7 データのマジック」
「第二部 第5章−8 何が善と悪を決めるのか」
「第二部 第5章−9 ユートピアとエデンの園」

「第二部 第6章−1 魔女軍団、ゾンビ−ランド襲来!」
「第二部 第6章−2 ミリタリー・アーティフィシャル・インテリジェンス(MAI)」
「第二部 第6章−3 リギスの唄」
「第二部 第6章−4 トリックスターのさかさまジョージ」
「第二部 第6章−5 マクミラ不眠不休で学習する」
「第二部 第6章−6 ジェフの語るパフォーマンス研究」
「第二部 第6章−7 支配する側とされる側」
「第二部 第6章−8 プルートゥ、再降臨」
「第二部 第6章−9 アストロラーベ、スカルラーベ、ミスティラ」
「第二部 第6章ー10 さかさまジョージからのファックス」

「第二部 第7章ー1 イヤー・オブ・ブリザード」
「第二部 第7章ー2 3年目のシーズン」
「第二部 第7章ー3 決勝ラウンド」
「第二部 第7章ー4 再会」
「第二部 第7章ー5 もうひとつの再会」
「第二部 第7章ー6 夏海と魔神スネール」
「第二部 第7章ー7 夏海の願い」
「第二部 第7章ー8 夏海とケネス」
「第二部 第7章ー9 男と女の勘違い」

「第二部 第8章ー1 魔女たちの二十四時」
「第二部 第8章ー2 レッスン会場の魔女たち」
「第二部 第8章ー3 ベリーダンスの歴史」
「第二部 第8章ー4 トミー、託児所を抜け出す」
「第二部 第8章ー5 ドルガとトミー」
「第二部 第8章ー6 キャストたち」
「第二部 第8章ー7 絡み合う運命」
「第二部 第8章ー8 格差社会−−上位1%とその他99%」
「第二部 第8章ー9 政治とは何か?」
「第二部 第8章ー10 民主主義という悲劇」

「第二部 第9章ー1 パフォーマンス開演迫る」
「第二部 第9章ー2 パフォーマンス・フェスティバル開幕!」
「第二部 第9章ー3 太陽神と月の女神登場!」
「第二部 第9章ー4 奇妙な剣舞」
「第二部 第9章ー5 何かが変だ?」
「第二部 第9章ー6 回り舞台」
「第二部 第9章ー7 魔女たちの正体」
「第二部 第9章ー8 マクミラたちの作戦」
「第二部 第9章ー9 健忘症の堕天使」

「第二部 第10章ー1 魔女たちの目的」
「第二部 第10章ー2 人類は善か、悪か?」
「第二部 第10章ー3 軍師アストロラーベの策略」
「第二部 第10章ー4 メギリヌ対ナオミと・・・・・・」
「第二部 第10章ー5 最初の部屋」
「第二部 第10章ー6 ペンタグラム」
「第二部 第10章ー7 ナオミの復活」
「第二部 第10章ー8 返り討ち」
「第二部 第10章ー9 最悪の組み合わせ?」

「第二部 第11章ー1 鬼神シンガパウム」
「第二部 第11章ー2 氷天使メギリヌの告白」
「第二部 第11章ー3 最後の闘いの決着」
「第二部 第11章ー4 氷と水」
「第二部 第11章ー5 第二の部屋」
「第二部 第11章ー6 不死身の蛇姫ライム」
「第二部 第11章ー7 蛇姫ライムの告白」
「第二部 第11章ー8 さあ、奴らの罪を数えろ!」
「第二部 第11章ー9 ライムの受けた呪い」

「第二部 第12章ー1 ライムとスカルラーベの闘いの果て」
「第二部 第12章ー2 責任の神の娘」
「第二部 第12章ー3 リギスの戯れ唄」
「第二部 第12章ー4 唄にのせた真実」
「第二部 第12章ー5 アストロラーベの回想」
「第二部 第12章ー6 勝負開始」
「第二部 第12章ー7 逆襲、アストロラーベ!」
「第二部 第12章ー8 スーパー・バックドラフト」
「第二部 第12章ー9 さかさまジョージの魔術」

「第二部 最終章ー1 魔神スネール再臨」
「第二部 最終章ー2 ドルガのチョイスはトラジック?」
「第二部 最終章ー3 ナインライヴス」
「第二部 最終章ー4 ドルガの告白」
「第二部 最終章ー5 分離するダニエル」
「第二部 最終章ー6 ドルガの回想」
「第二部 最終章ー7 ドルガの提案」
「第二部 最終章ー8 ドルガの約束」
「第二部 最終章ー9 ドルガの最後?」

「第二部 エピローグ 神官マクミラの告白」
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第三部闘龍孔明篇 第4章-8 王子トリトンの決意

2018-05-26 00:29:33 | 私が作家・芸術家・芸人

 親衛隊の一員として北門を守る責任者トリトンは、「助くるもの」であった。いつも遠くを見るような瞳からは、心の内は探れなかった。
 しかし、いったん剣を振るえば、流れる大河さえ切り裂かれたことを忘れて流れ続ける達人。気品、威厳、高潔。そうした言葉が似合う神だった。
(王子よ。今度の闘いこそ、人間界、神界、さらに魔界の将来を決める闘いとなろう。勝利どころか、無事に海神界に戻れる保証さえないぞ)
(そうした状況で、ナオミはがんばってきたではないのですか。ここで「助くるもの」である私が出て行かなければ、後世までのわらいものとなりましょう)普段なら海主ネプチュヌスに逆らうことのないトリトンが、怒ったような思念を返す。
 トリトンは、今度こそナオミを助けに行きたかった。
 ネプチュヌスのお気に入りのナオミと幼少時から共に遊んだトリトンは、気がつけば兄妹のような関係になっていた。
 ナオミにとってトリトンは、なんでも話せて頼りがいのあるやさしい兄だが、美しいマーメイドに成長したナオミに彼は兄妹以上の感情を持つようになった。だが、いつも目の前で無防備に振る舞う「妹」に、絶対権力を持つ最高神の子である「兄」が愛の告白などできただろうか?
 これまでなら愛を告白出来ぬ立場なら、せめて兄として妹を助けてやりたい一心であった。だが、今回は事情が違った。
 魔界からの脱獄者ジェノサイダス、シュリリス、ビザード、さらにトリックスターと「絶対悪」の誕生まで予想される状況では、ナオミの命が危険にさらされること必死であった。
 海神界最強の戦士シンガパウムは、すでに前回助っ人として降臨しており、再度の降臨はまかりならなかった。
(王子よ)ネプチュヌスが思念を送る。(どうやって人間界に降臨するつもりだ? お主は儂の後を継いで海神界を束ねる立場じゃ。ナオミのように黄色いカプセルを飲んで人間になってしまうことは許されぬぞ)
 トリトンは、だまりこくった。
(ネプチュヌス様、ご心配は無用かと)トーミが思念を伝えた。
(おばば、どうゆう意味じゃ?)
(ナオミの育ての父ケネスは、ネプチュヌス様の祝福により子をなす力を復活させたようです。夏海が生んだ子トミーの真の父はケネスです。ケネスがシンガパウム様を降臨させる力を持っていたように、トミーもトリトン様の降臨を手助けできましょう)
(・・・・・・)ネプチュヌスが決断を下す。(よし。ナオミが危機を迎えた時、トリトンは人間界に降臨する。ただし、降臨できるのは一度きりとする! ナオミを助けた暁には、必ず海神界に戻って来ると約束できるか?)
(もちろんでございます)
(よし、これを授けよう。海神界を束ねる象徴トライデント。これさえあれば、風を起こし、嵐を呼び、大海を二つに割ることさえできる。今回は、魔性軍、トリックスター、絶対悪まで関わる闘いじゃ。ナオミを助けるため使うがよい)
 こうして、ついに天界、海神界、冥界のナオミ軍へのバックアップ体制がととのったのであった。


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第三部闘龍孔明篇 第4章-7 海神界の議論

2018-05-22 00:00:18 | 私が作家・芸術家・芸人

 未だ何人も訪れたことがなく、今後も誰も訪れないであろう西インド諸島とアゾレス諸島の狭間、インド洋「バミューダトライアングル」。  
 その2万里を越える海底に、四次元空間につながる海主ネプチュヌスの城。
きらめく宝石のように飾り立てられた100の部屋は、マーメイド、マーライオン、セイレーンなど、海主の眷属たちの住処。
 陽の光さえ届かぬ深海底にひっそりとたたずむ城の回りでは、赤、青、黄、緑、オレンジにかがやく魚、エイ、鮫たちが泳ぐ。
 水龍とマーライオンが戦う姿が描かれた広間では、青みがかった白銀の髪をなでるネプチュヌスが黙りこくっている。
 彼のマリンブルーの眉毛がわずかな海流に揺れた時、ネプチュヌスが思念を発した。
(一同のもの、面をあげよ)

     

 海神界の親衛隊長シンガパウムの一族が、呼び寄せられていた。
「忠義をつくすもの」でマーライオンの勇者シンガパウムと、「うらなうもの」でとびきりの英知に恵まれた今は亡きマーメイドの妻ユーカの娘たちを神々の中で知らぬものはいない。
 長女アフロディーヌは、祖母や母の後を次いで最高位の巫女。
 天主ユピテルの玄孫ムーに嫁いだ次女アレギザンダーは、セイレーン3姉妹にもおとらない美しい歌声を持ったマーメイド。
 海主ネプチュヌスの玄孫レムリアに嫁いだ3女ジュリアは、気象をあやつり、シンガパウムと共にマーメイドながらネプチュヌスの親衛隊員。
 冥主プルートゥの玄孫アトランチスに嫁いだ4女サラは、やさしい性格。
 姉妹の内、5女ノーマだけがこれまで人間界に行き、不幸な晩年をおくったと言われている。本来なら、この場にいるはずの末娘ナオミは、すでに人間界に送り込まれており姿がない。
 中央に呼び出された親衛隊長シンガパウム、巫女アフロンディーヌ、祖母トーミが朝焼けの光をはらんだ豪奢な色のドレスを着てひざまずいていた。他の姉たちも、その後ろにかしこまっている。
(今宵の話は、魔界からの脱獄者ジェノサイダス、シュリリス、ビザードに関わる。さらに、トリックスターと「絶対悪」が誕生する可能性がある。)
 緊急事態に、皆の間に緊張が走る。
 ネプチュヌスが、トーミに顔を向けた。
(彼奴は、必ずトラブルを引き起こす。さすれば、ナオミはトラブルに引き寄せられていく運命にある)
(新しいゲームが始まるのですな?)トーミが、慎重に思念を送り返す。
(今回は、最後のゲームになるも知れぬ)
(ネプチュヌス様、こんどこそ私めにナオミを助ける機会をお与えください)思念の先には、ネプチュヌスの息子で王子トリトンの姿があった。
 神殿の男たちのほとんどがマーライオンなのに対し、ネプチュヌス直系の神トリトンは美しい顔立ちに魚の下半身を持っていた。


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第三部闘龍孔明篇 第4章-6 ドラクールの願い事

2018-05-19 00:03:48 | 私が作家・芸術家・芸人

(魔王たちにさえ、捕らえることがかなわなかった魔性たちにトリックスターと「絶対悪」が加われば、勝ち目は限りなく低くなります。おそらく総力戦となりましょう)
(どういう意味だ?)
(現有勢力に、天界、海神、冥界からすべての戦力を送り込む必要があります)
(つまり、マーメイド、神官、天使たちだけでは・・・・・・)
(なぶり殺しにされるかと)
(それも一興じゃが、「絶対悪」の誕生だけは、ちとやっかいじゃな)
(その通りでございます。最悪、すべての生命を巻き込んだ闘いの末にカオスが出現するでしょう。トリックスターと「絶対悪」が魔性軍たちに加わることを防ぐと同時に、最悪に備えて対策を練る必要があります)
(魔性たちだけ相手なら、勝算はあるのか? 海神界はともかく、天界にはもう送り込める戦力はないではないか)
(たしかに天界は、すべてをつぎ込んでいます。まだ目覚めていない天使たちを目覚めさせる必要がありますが、人間界にはマクミラと闘った墮天使たちがいます。メギリヌ、ライム、リギスは、貴重な戦力となるかと)
(なるほど。こんな時、ドルガがいれば心強いがのう)
 プルートゥは、息子で日食の神コロネウロスの妻にドルガを考えていた時期があった。死の神トッドの娘ドルガは、プルートゥの遠縁であった。
 略奪婚により娶った豊穣の女神デメテルの娘ペルセポネとは不仲だったが、ようやく生まれた日食の神コロネウロスをプルートゥは溺愛していた。結局、コロネウロスはインキュバス界一の美女アテルと幸せな結婚をし、普段の不機嫌な顔の陰で密かに喜んでいた。
 だが、その息子も第一次神界対戦の混乱に乗じて冥界をおそった魔界との闘いで行方不明となっていた。父親に似ない人気者で、実力も兼ね備えた息子を失い、元々暗かったプルートゥの性格がさらに悪くなったと言われる。
(死んだ墮天使をあてにするなど、プルートゥ様らしくないかと)
(冥主に向かってイヤミを言うとは、お主も人間界に行って偉くなったものよ)
(失礼いたしました。ただ・・・・・・)
(ただ、なんだ?)
(タナトスが、気になることを言っております。数億の絆を断ち切った経験から、命が失われる手応えがドルガの時になかったそうです。もしや、手元が狂ったのではないかと・・・・・・)
(死神の鎌の手元が狂ったと! 冥界一の冷血漢タナトスがか?)
 プルートゥが意地悪そうに、タナトスを睨んだ。
 顔のないはずのタナトスが、赤面したように見える。
(その結果、ドルガの魂が精神世界をさまよっている可能性がございます)
(おもしろい)
(プルートゥ様、願いの儀がございます)
 それまで黙っていた“ドラクール”が思念を発した。
(“ドラクール”、お主が願いごととは、めずらしいことよ)
(宝物殿にしまわれている、我が「ドラゴンの鎖鎌」をマクミラに与えてはいただけないでしょうか? 今回の闘いは、これまでにないものとなりましょう。もはや二度と使うことはないだろうと献上させていただきましたが、「ドラゴンの鎖鎌」がどうしても必要でございます)
(かつて頼み事などしたことがなかった大将軍の願いじゃ。よかろう。だが、究極の神具ドラゴンの鎖鎌が使い手を選ぶことは、よもや忘れておるまいな)
(もしも使いこなせなければ、それは所詮その程度の器量だったということ。実力差を考えれば、あの神具があっても勝負になりますかどうか・・・・・・)
(今度の闘いは、人間界、神界、魔界の運命までも左右する。アストロラーベ、スカルラーベ、ミスティラ、すべて降臨するがよい。決着が着くまで、冥界に戻ることはまかりならぬ。祭祀に差し障りが出てもかまわぬ。必ずや魔性軍との闘いに勝利を収めるのじゃ)


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第三部闘龍孔明篇 第4章-5 冥主プルートゥの決定

2018-05-15 00:00:17 | 私が作家・芸術家・芸人

「戦場では、油断は禁物だと習わなかったか?」
「それは、こちらのセリフ」
 切り落とされた右手、自らの意思を持ったように動きだし、デビルカリバーをつかんで“ドラクール”の腹に深々と突き立てた。デビルカリバーにも同じような力があり、不死身の“ドラクール”が苦しそうに声をしぼりだす。
「降参して我が僕(しもべ)として、仕えていただけるなら命は助けてさしあげましょう」エリザードが、魔剣をギリギリ動かしながら言う。
「戦場では、油断は禁物だと言わなかったか?」
 次の瞬間、“ドラクール”がするどい牙をエリザードの首筋に突き立てた。
 アッ。
 他人の血を吸うことはあっても、自らが吸われるとは想定していなかったエリザードが、一瞬、あっけに取られる。
 ズッ、ズッ、ズッ・・・・・・
 “ドラクール”が、エリザードの体液すべてを吸い尽くそうと不気味な音を立てた。ヴァンパイアに血を吸われると、恍惚感にとらわれ抵抗できなくなる。“ドラクール”に愛情を持つエリザードは、なおさらこのまま身をまかせていたくなる。
 だが・・・・・・このまま、すんなり殺されるわけにはいかぬ。
 ザワザワと音がして、エリザードの髪が逆立った。
 その姿は、後に冥界で“ドラクール”が出会うサラマンダーの女王ローラに瓜二つ。人間界で愛情を否定したのとそっくりな相手と、冥界で契りを結ぶのが、いったい呪いか運命なのかは誰にもわからなかった。
     
     

 だらりと垂れ下がっていたエリザートの左手が、最後の力を振り絞って“ドラクール”の心の臓を突き刺した。
 それでも苦痛をこらえて、“ドラクール”はエリザードの体液を啜り続ける。
「我が命が失われるのも時間の問題」エリザードがつぶやく。「このまま死ぬのはかまわぬ。だが、“ドラクール様”、我が一族の呪い、これで晴れるとは思いますな。冥界には行かず、必ずや『虚無をかかえるもの』として魔界転生してあなた様の一族に仇なしてみましょうぞ」
 次の瞬間、エリザードと“ドラクール”が同時に灰になった。
 これが“ドラクール”が経験した、この世の地獄であった。

 プルートゥの発した思念で、“ドラクール”は我に返った。
(アストロラーベ、今度こそ最後のゲームとなろう。ジェノサイダス、シュリリス、ビザード、トリックスターとの「絶対悪」を巡る闘いに勝ち目はあるか?)


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第三部闘龍孔明篇 第4章-4 “ドラクール”対エリザード

2018-05-12 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「いったい何を・・・・・・なされます?」
「お前を生き地獄に引きずり込んだのは我が罪。我が手で冥土に送り込んでやるのが、せめてもの愛情」
「むざむざ殺されるわけには、まいりませぬ」
 エリザードは、摑む手に力をこめた。メリメリ音がして、手首が砕ける。
 今度は“ドラクール”の左手が一閃し、エリザードの胸を引き裂くと傷口が開いた。
 思わず、エリザードがつかんでいた右手を離した。あっという間に砕かれた手首が修復される。
「降参するなら、せめて苦しませずに冥土に送ってやろう」
「何をおっしゃる。この程度は、かすり傷」
 エリザードの傷口も、たちまち修復される。
“ドラクール”はバク転すると、部屋の隅に置いてあった魔鎖鎌ドラゴンチェーンを握った。龍の絵柄が刻み込まれた鎖鎌が、キラリと光った。
エリザードも枕の下から、水晶のように透き通った魔剣デビルカリバーを取った。魔剣は、これから始まる闘いに期待し、歓喜の叫びを上げた。
「愛することは出来ぬが、闘うことならできる。ああ、我は最初からお前との闘いを望んでいたのかもしれぬ」
「望むところ。愛されることが叶わぬなら、せめて我が魔剣で永久に思い出の中に閉じ込めてしんぜましょう」
“ドラクール”がドラゴンチェーンを振り回し、ダブルベッドの上に飾られていた豪奢な天蓋の4本柱をはじき飛ばした。
「天蓋は、人に仇為す夜の邪気からベッドの中にいる者を守ると言われている。だが、我らの闘いに聖なる天蓋など不要であろう」
「“ドラクール”様、もはや人間でなくなったのに、縁起をかつぐのがお好きでいらっしゃると見える。それとも、私を動揺させるための演技をしていらっしゃるか?」
 エリザードが、ゆっくりデビルカリバーをかざすと、暗い磁力が生まれて引き込まれそうになるが、“ドラクール”には通じない。

     

 逆に、“ドラクール”は魔鎖鎌を振り回して、ドラゴン形をした粒子を浮かびださせる。あたかも生きているドラゴンのように、粒子のかたまりが吠えた。
 鎖を投げつけると、ドラゴンが咆哮を上げてエリザードへ向かって行った。ドラゴンチェーンは、相手の刀にいったん絡み付いたら最後、ドラゴンの牙が刀をへし折ってしまう。
 だが、エリザードが持っていたのは魔剣デビルカリバーであった。ドラゴンは、牙を立てるどころか一刀両断にされて、空中に消えていく。
 一瞬、微笑みを浮かべたエリザードが怪獣のような咆哮を上げた。近寄って来ていた“ドラクール”が、魔鎖鎌でエリザードの右手を切り落としたためだった。ドラゴンチェーンには魔性でも殺せる力があり、今度はエリザードも腕を修復できない。


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第三部闘龍孔明篇 第4章-3 愛ゆえに・・・・・・

2018-05-08 00:00:14 | 私が作家・芸術家・芸人

「人の道とは、善と悪、男と女、神性と人間性、心と身体、光と闇、そうした矛盾をかかえながら苦しみながらも助けあって生きること。できるものなら、支配する者と支配される者などなくせればよい。けっしてなくせぬものなら、せめて我がワラキアの民たちに外敵からほんろうされる恐怖だけは取り除いてやりたかった」
「ヨーロッパ全土に畏れられた暴君“ドラクール”様のお言葉とも思えませぬ」
「そう聞こえるか? お前は、自分が変わってしまったことがわかっておらぬ。昔のお前は保身のためなら、自らの美しさを利用することさえ辞さなかったが、それはふがいない兄のせい。それでも、けっして他人を平気で地獄に落とすような人間ではなかった」
「ふがいないなどとは・・・・・・私たちは、まだ子供だったではありませんか?」
「子供か大人か、愚者か賢者か、聖人か悪人かなどは問題ではないのだ。我が望んだのは、与えられた運命の中で精一杯役割を演じること。ワラキア国公子に生まれついたのも、トルコ軍の人質になったのも、アポロノミカンによって我らがヴァンパイアとなったのもすべて与えられた運命。部下を率いて外敵と闘った日々は楽しかったが、もはや我らを脅かそうという相手はいなくなった。世界統一などと言い出した訳は、我らがずっと一緒にいられることを望んでいるだけであろう?」
「そこまでわかっていて、なぜ? 哀れみなど私は欲しくありませぬ。欲しいのは愛だけ」
 愛? “ドラクール”には、愛の意味がわからなかった。

     

 愛とは、相手を慕う気持ちか? それなら、見返りなど不要ではないか。
 それとも愛とは、相手を独占したい気持ちか? だが、相手が独占されることを望まない時も愛を望むのは、矛盾ではないか。
 もしや愛とは、あるいは相手を幸せにしてやることか? もしも、そうなら・・・・・・ルール破りもルールの内か?
「胸元を開くがよい」
 エリザードがネグリジェを開くと、豊かな二つの隆起が現れた。
 期待に上下するふくらみに、“ドラクール”のたくましい右手が重なった。
 次の瞬間、“ドラクール”がするどい爪が伸びた人差し指を突き立てた。
 ヒッ。
 うめき声とも快感ともつかない声がもれた。
 あと1センチ入れば心の臓に達しようとした時、するどい爪が伸びた左手が“ドラクール”の手首をつかんだ。


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第三部闘龍孔明篇 第4章-2 エリザードの野望

2018-05-03 00:00:27 | 私が作家・芸術家・芸人

「おたわむれを。すでに人外の存在になってしまった私たちに神の摂理など何の関わり合いがございましょう。“ドラクール”様も私を欲しているはず」
「たしかにお前は魅力的だ。こうしていても時にたえきれなくなる」
 それを聞いたエリザードの豊かな胸が一瞬、高なった。
“ドラクール”は一瞥もくれず続けた。「お前を生き地獄に引きずり込んだのは我が罪。せめてヴァンパイアの時くらい共に過ごそうと決めたが・・・・・・」
「が、どうされました?」
「こうした瞬間も終わりが近づきつつある。エリザード、いやラドウよ、ワラキア公国親衛隊といったい何を企んでいる?」
「フフフ、お耳に入りましたか?」
「不死身の眷属たちと、いったい何を考えている?」
「我が使命を果たすことを」
「使命だと!?」
「私こそ世界を統一する『大いなる作業』を完遂できる唯一無二の存在。それならば、世界征服ことが我が使命。そのためにどうか我が愛を受入れ、子を為し帝王として育てあげましょうぞ」
「我らが子を為すだけでは十分ではあるまい。領地内のジプシーすべてをヴァンパイア化することを考えているであろう?」
 エリザベートは、ギクリとしたが平静を装う。「数百数千、いや数万のジプシーを我が僕(しもべ)とすれば、彼らの魔術を手に入れられます。さすれば、数年の内に世界を我が一族の手に入れてみましょう」
「いかん!」
「はっ?」
「いかん、と言ったのだ。我がドラゴンに変化してまで守ろうとしたのはワラキアの民。『犯さず犯されず』の範囲内ならば、どのような残酷な闘いや処刑にも目をつぶろう。小国が身を守ろうとすれば、圧倒的な恐怖により外敵をよせつけないことも必要。しかし、禁断の書アポロノミカンによって得た力で世界統一を目指すなど、許されることではない」
「許されないとは、いったい誰に許しを請うおつもりです? しょせん我らは神ならぬ身。望むところを求めるのが、人の生きる道では?」


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