財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第6章−3 リギスの唄(再編集版)

2020-10-02 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 レイモンドが猿の敏捷さで巨木の陰から飛び出すと、両肩に備え付けられたレーザーガンから白光を発射する。
 ドルガの羽に黒く小さな穴がうがたれて煙を上げるが、蚊にかまれたほどの痛みも感じない。面倒くさそうに腕を振ると、小さな竜巻がレイモンドを襲う。ドルガの瞳が輝くとレーザーガンが竜巻にあっさり爆破されて、身体が次々と異次元空間に持って行かれる。
 サムソンが筋肉のかたまりの身体から雄叫びを上げると、胸のフルオート・マシンガンがメギリヌに放縦を開始する。
 銃弾が当たっても、メギリヌは表情一つ変えない。いつの間にか、手中に数百発の銃弾が握られている。彼女が息を吹きかけると銃弾が凍りつく。
 次の瞬間、投げつけられた銃弾を受けたサムソンが凍りつき崩れ落ちる。サムソンはゾンビ能力を発揮することもなく粉々に砕け散った。
 ゴーレムは、最も悲惨な運命をたどった。
「皆、ちょっと目をつぶっておいて」ライムが言った瞬間、蛇姫メデゥーサに変化して一睨みされると、攻撃もできずに石に変えられてしまった。
 リギスが唄い出す。

 ラララ、それはまるで一片の冗句のように
 現れて消えていったはかない夢
 竜巻に消えたレイモンドの魂はどこへ行ったの
 氷の弾丸に命を落としたサムソンの魂は
 凍えて砕けちる運命だったのか
 ゴーレムの魂は何が起こったかさえ知らず
 ただ話すこともできずたたずむのみ
 だけど一番愚かなのはマッドとかいう奴
 美しくもなく、強くもなく、悲しくさえない
 ただこっけいなだけの戦士を作ることに血道を上げる
 ラララ、それはまるで一片の冗句のように
 目の前に現れては消えていったはかない企て
 だから一番みじめなのはマッドとかいう男
 楽しくもなく、賢くもなく、考える価値さえない



 自慢の兵士たちが玉砕して、マッドは、なんたることじゃとつぶやいている。死角にいたために、ライムの凶眼を見ずにすんだ幸運には気づいていない。
 ドルガが言う。「それはこっちのセリフ。これではマクミラと闘いをかまえる前の腕ならしどころか、準備運動にもなりはしない」
 メギリヌが応じる。「さっさとこんなところは、おさらばしよう。マッドとやら、アポロノミカンをおとなしく差し出すなら命だけは助けてやろう」
 セリフを聞いたマッドが、苦しみだす。
「マクミラ! アポロノミカン?  ウッ、頭が痛い・・・・・・」
 マッドの顔がゆがんだ瞬間、ニヤリと笑うとぴょんと逆立ちをした。


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