マクミラが率いることになったメンバーも、ほとんどがフェノミナキネシスの使い手であり自然現象に干渉する超能力である。その点で、自らを変身させる蛇姫ライムや、夢魔の能力を操る眠眠とは異なった種類の能力である。
例えばスカルラーベの能力は、発火能力パイロキネシスを数億倍に強化したものであり、無の状態から火を作りだすわけではない。それとは逆が、氷天使メギリヌが使うフロストキネシスで彼女は地球上の冷気を使うことができる。ナオミの能力は、地球上に存在する水分を操るアクアキネシスである。赤龍の化身孔明の能力はヴォルトキネシスであり、エネルギー体としての雷や電気を使うことができる。そうした神々の中でも別格がアストロラーベで古今東西の魔術に精通しており、パイロキネシス以外のさまざまなフェノミナキネシスを使いこなすことができる。
普通に考えれば、ありえないほどの豪華メンバーがそろっている。それでも、マクミラは考えれば考えるほど絶望的になった。宇宙全体を見渡しても有数の力を持つと言われる魔性たちに対し、これではおもちゃで軍隊に闘いを挑むようなものではないか。しかも、前回の魔女たちとの闘いとは異なり、彼らと一戦交えるのは今回が初のために、具体的なゲームプランを立てるのはむずかしい。
いままで絶望などおろかな人間の感情だと思っていた自分を恥じた。過去の闘いは、兄アストロラーベが軍師として率いてくれた。自分は指示に従ってさえすればよかった。なぜ彼は、今回の闘いの組み合わせだけを決めて具体的な闘い方を示してくれないのか、つい柄にもなく恨み節の一つも言いたくなった。
魔性との闘いが特に難しいのは、彼らの力の源が闇の力だったからである。闇とつながるものの力は、すべてをなぎ倒し破壊する風なら台風、水なら土石流、火なら火山噴火のようなもので、一切の情け容赦もなしに相手を根絶やしにしてしまう。自分自身が怒りに飲み込まれてしまうことさえ辞さない相手にどう戦えるのか? 闇の力の魅力とは、勝ち負けよりも暴力と殺戮に身を委ねてしまう快楽にあった。
その時、部屋のドアがノックされた。
こんな時間に誰だろう?
神経を集中すると、すぐに相手が分かった。「あなたと二人で会うなんて、考えたら初めてね」ドアを開けて、言った。
そこにいたのは、ナオミだった。「ふつうなら深夜にごめんなさいというところだけど、ヴァンパイアのあなたなら起きていると思って・・・・・・」
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