語り部のアヴァンです！
オバマ大統領が、11月６日（日本時間７日）の本選で圧倒的多数で再選されました。2006年にロサンゼルスに住んでいた時に、すでにアメリカではオバマブームが起こっていた時からのファンなので本当にうれしいです。
オバマの「公的説得の技法」(the art of public persuasion)としてのレトリックには興味があるので、今日の勝利宣言や１月の第２回就任演説にも着目したいと思います。
以前、アメリカ人の友人から「世論にくさびを打ち込んで保守派とリベラル派に二分してしまう」 社会を分断する論点(wedge issues)がある、と言われたことがあります。今回の選挙では、以下の５つがあったようです。
A.雇用：（１）オバマ当選時失業率７．８％、一時１０％を越え、９月現在８．３％。再選されれば、大恐慌時のローズベルト以来の８％台かと思われたが、最終的に７．９％。第二次大戦後、再選に臨んだ10人中、失業率６％を超えて再選はこれまで84年レーガンのみ。（２）再選キャンペーン時に、就任時よりも失業率の高かった1980年カーターと92年ブッシュ（父）は共に再選失敗。
B.財政：（１）オバマ案は、富裕層向けブッシュ減税打ち切り、中低所得向けは１年延長。ロムニー案は、全面延長。（２）ライアンは、2011年４月予算教書に盛り込まれた社会保障費などに切り込み、10年間で６．２兆ドル（約４８６兆円）の歳出削減により、１．５兆ドルの増税を防ぐ案を提示。「小さい政府」には賛成のアメリカ人も、社会保障や福祉の切り捨てには敏感に反応するため、「諸刃の剣」。
C.社会保障：（１）医療保険制度「オバマケア」で、３０００万人が健康保険加入可能に。
（２）ロムニーは、州知事時代に医療保険改革を手がけ、過去に中絶容認姿勢も見せており、保守派から不信感。現在は、社会保障費抑制のため、医療保険制度改革法を撤廃する意向。避けたい「変節漢」(flip-flopper)批判。
D.同性婚：（１）２０１２年５月、オバマが同性婚支持表明した時は、１６年前の２７％から支持派５０％の増加（不支持４８％）。民主党支持者に限ると６５％、無党派層で５７％が支持で、共和党支持者で２２％。現在、合法化は５０州の内、８州とコロンビア特別区のみ。法的に認知されないと、カップルは財産相続、医療保険などで困難に直面。（２）ロムニーは、２０１０年１２月に成立した撤廃法を支持。
E.移民政策：（１）2008年に不法移民の若者に一定条件下で永住権を与える「ドリーム法案」を掲げたオバマに、ラティーノの67％が投票。その後、共和党の反対で頓挫した「法案」に準じた制度改革を大統領令で可能な範囲で実行と、オバマが今年６月に発表。NBCの調査によれば、５月時点ではオバマ61％、ロムニー27％だったラティーノ有権者の支持率が、７月にオバマ67％↑、ロムニー23％↓。
（２）ロムニーは、オバマ政策を「場当たり的」と批判。不法移民に雇用を認めないことで、出身国への帰国を促す「自主退去」を主張。
再選されたオバマ大統領には２期目に大きな業績を残して、歴史に名を残して欲しいです！
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