財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第9章−4 奇妙な剣舞(再編集版)

2021-01-29 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 はたして恋する乙女の直感は、正しいのだろうか。
 ナオミは今日のフェスティバルが、何かとてつもないものになるような予感がしていた。
 コロナ役の男性が、スターの甘い声で歌い出す。

   青い昼の海は
   太陽神アポロンが天空を駆けめぐる刻
   だが我が都には、強い日差しはあっても愛はない
   麗しき魔女たちよ
   お前たちはどこから来たのか?
   お前たちはどこへゆくつもりなのか?
   もしもゆくところがないのなら
   この都にとどまりその美しさで
   我らと共に愛の花をさかせてはくれまいか?
 
 月の女神ティラミス役ミスティラが、引き取って歌う。可憐な外見からは想像できないほど声量がある。しかも、サラ・ブライトマンばりの高音域である。

   魔女たちよ
   お前たちがさがす魔神スネールは
   はるかかなた遠いオリエントの国に墜ちていった
   太陽神コロナはうつくしい声と富を持つ
   太陽神アストローネは光り輝く蒼い羽と知恵を持つ
   太陽神スカラローネは誰よりも強い力と純粋な心を持つ
   魔女たちよ
   お前たちがもとめる魔神スネールは
   すでに冥界の姫クラリスの恋の虜になりはてた
   太陽神コロナの愛を受ければ欲しいものは望むがまま
   太陽神アストローネの愛を受ければ最善の道が待っている
   太陽神スカラローネの愛を受ければ何の心配もない

 次に、コロナの部下の二人の太陽神が「ナリナリ」(“Nari nari”)をバックにして求愛の踊りを始めた。インド・パンジャブ風のノリノリの曲である。
 太陽神アストローネ役のアストロラーベが漆黒のマントを脱ぐと、青い羽が左右に広がった。左右の手に握られた半透明の剣が、宙を切り裂くと青い炎が次々と生まれた。あたかも生命を持ったかのような動きで炎は一つに集まると、獲物を求める3つ首のドラゴン人形に変化した。
 太陽神スカラローネ役のスカルラーベが白いマントを脱ぐと、真っ黒な羽が広がった。背負っていた大鎌を振ると、白炎が次々生まれた。鎌を一閃する度に炎の数がふえて、やがてひとつの巨大な炎になり、すべてを焼き尽くそうとする3つ首白色ドラゴン人形が現れた。
 右のドラゴン人形にアストロラーベが登って、舞を踊る。
次に、左のドラゴン人形に飛び乗ったスカルラーベが鎌を振り回す。青いドラゴンと白いドラゴンと絡み合う美しさは、見る者に時の経つのを忘れさせた。


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