はたして恋する乙女の直感は、正しいのだろうか。
ナオミは今日のフェスティバルが、何かとてつもないものになるような予感がしていた。
コロナ役の男性が、スターの甘い声で歌い出す。
青い昼の海は
太陽神アポロンが天空を駆けめぐる刻
だが我が都には、強い日差しはあっても愛はない
麗しき魔女たちよ
お前たちはどこから来たのか?
お前たちはどこへゆくつもりなのか?
もしもゆくところがないのなら
この都にとどまりその美しさで
我らと共に愛の花をさかせてはくれまいか?
月の女神ティラミス役ミスティラが、引き取って歌う。可憐な外見からは想像できないほど声量がある。しかも、サラ・ブライトマンばりの高音域である。
魔女たちよ
お前たちがさがす魔神スネールは
はるかかなた遠いオリエントの国に墜ちていった
太陽神コロナはうつくしい声と富を持つ
太陽神アストローネは光り輝く蒼い羽と知恵を持つ
太陽神スカラローネは誰よりも強い力と純粋な心を持つ
魔女たちよ
お前たちがもとめる魔神スネールは
すでに冥界の姫クラリスの恋の虜になりはてた
太陽神コロナの愛を受ければ欲しいものは望むがまま
太陽神アストローネの愛を受ければ最善の道が待っている
太陽神スカラローネの愛を受ければ何の心配もない
次に、コロナの部下の二人の太陽神が「ナリナリ」(“Nari nari”)をバックにして求愛の踊りを始めた。インド・パンジャブ風のノリノリの曲である。
太陽神アストローネ役のアストロラーベが漆黒のマントを脱ぐと、青い羽が左右に広がった。左右の手に握られた半透明の剣が、宙を切り裂くと青い炎が次々と生まれた。あたかも生命を持ったかのような動きで炎は一つに集まると、獲物を求める3つ首のドラゴン人形に変化した。
太陽神スカラローネ役のスカルラーベが白いマントを脱ぐと、真っ黒な羽が広がった。背負っていた大鎌を振ると、白炎が次々生まれた。鎌を一閃する度に炎の数がふえて、やがてひとつの巨大な炎になり、すべてを焼き尽くそうとする3つ首白色ドラゴン人形が現れた。
右のドラゴン人形にアストロラーベが登って、舞を踊る。
次に、左のドラゴン人形に飛び乗ったスカルラーベが鎌を振り回す。青いドラゴンと白いドラゴンと絡み合う美しさは、見る者に時の経つのを忘れさせた。
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