「ケケケッケッケッ、ボクのお腹の中には髑髏兄貴がいたのを忘れたのかい? 最大限一万度の炎を出せるガイコツ兄ちゃんが、青い炎のドラゴンは栄養にしてくれたんだ。さあ、今度はこっちから攻撃させてもらうよ」
黄色い目を爛々と輝かせながら、赤い下をチロチロさせながら、さかさまジョージが迫ってきた。ヒエラポリス神殿を体内に持つ大蛇に対し、アストロラーベが使える魔術は限られていた。
とりあえずはプル—トゥ様直々に賜った槍で、できるところまで闘ってみるか。
アストロラーベの姿が、槍をユラリユラリと動かす内にだんだんと半透明になっていった。異次元空間に移動しようとした刹那に、さかさまジョージが噛みついた。「異次元空間には行かせないよ。アポロノミカンのおかげで、ボクは精神世界と現実世界を行ったり来たりできるようになっただけじゃなくて、別世界の入り口も分かるようになったんだ、ケケケッケッケッ」
「フッフッフッ、これを待っていた」
「何っ?」
「巨大な蛇のお前を倒すのに、身体の一部を傷つけても倒すことはできない。将軍殿やマクミラのように呑み込まれないように、お前に噛みつかせるタイミングを計っていたのだ。蛇を倒すには頭を潰せだ!」言うが早いか、アストロラーベの槍を遙か上空に放り投げた。槍は虚空から落ちてくると、一直線にさかさまジョージの頭からアゴの下まで深々と貫いた。
のたうち回って苦しむさかさまジョージの返り血を浴びて、真っ赤になったアストロラーベが微笑んだ。「ノータリンだと思っていたが、こいつにも脳みそはあったか。さあ、次は腹を割いて二人を助け出さなくては」
次の瞬間、アストロラーベは人間界に来て以来、初の恐怖を味わった。
さかさまジョージが魔神スネールの尻尾に噛みつくと、同時に魔神スネールがさかさまジョージの尻尾に噛みついた。二匹はぐるぐる回り出すと、再び脱皮が始まり先ほどより一回り巨大な2匹のウロボロスとなった。「ケッケッケッ、魔神スネールはもはや意思を失いつつある。さあ、色男兄貴も呑み込んで、完全体になったトリックスターの恐ろしさをボクが見せてやるよ〜」
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アストロラーベは、なすすべなくさかさまジョージに呑み込まれてしまった。生暖かい体内に入ると、目の前にヒエラポリス神殿が目の前にあった。
フッ、今度こそ万事休すか・・・・・・だが、アストロラーベはありえないはずの波動を感じた。これは、まさか気の迷いか!?
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