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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第8章—9 母娘の戦いの末に

2018-12-03 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「娘と闘うことも、私の天罰の内。私を倒すことでしか、お前はオーシャムの夢から抜け出すことはできない。いい、全力で闘いなさい! そうすれば必ず呪いを解くための一歩を踏み出せる」
 妖剣の先から白い鎖が伸びてきた。鎖は眠眠を締め上げてきただけでなく、柔肌にまで食い込んできた。血が羊水にしたたり落ち、赤い水滴を作った。
「何をしている? 魔術ザ・チェーンから抜け出るほどの力さえもないなら、一族の呪いを晴らすなど夢のまた夢」
 ウッ、ウッ。身もだえる眠眠であったが、若返ったために身体が小さくなりほんの少し隙間が出来た。思い切って飛翔すると、空中で一回転する。
 ダメ、羊水につかるとまた若返っちゃう。
 精神を集中させると、水面に降り立った。
 赤龍の化身、孔明直伝の「水面浮揚の業」であった。
 カンフーの達人なら「水面歩行の業」ができる。水中にある物体に重力とは逆方向に働く浮力がある以上は、沈むまでわずかな時間差がある。それなら、理論上は沈む前に片足を踏み出し続ければ水面を歩くことができる。
 達人中の達人は、水に浮かべた紙に立つと言われるが、眠眠が見せているのはさらに奇跡に近い水面浮揚である。
 よし、これでこれ以上、若返る危険はとりあえずなくなった。
「見事と褒めて上げたいところだけど、あなたも夢魔の血を引くもの。その程度の技は見せてもらわないとね」鬼妃が不敵に笑う。
 次の瞬間、白い鎖がまっすぐ伸びてきて、眠眠の右腕を貫いた。
 叫び声を上げる暇もなく、鎖は元に戻ると今度は左腕を貫く。
「しばるだけと思っていたら甘い。ザ・チェーンの鎖は刺さるのよ」
 マズイ。このままでは、秘剣ドリームカリバーを持っていても振えなくなる。待てよ、下にあるのはただの水じゃない・・・・・・
 眠眠は、何を思ったか今度は足下に飛び込んだ。
「絶望して身投げでもした? 口ほどにもない」
 数秒後、羊水に一度沈んで、傾国の美女に生まれ変わった眠眠が飛び出した。深紅の振り袖に身を包んだその右手には、ドリームカリバーが握られている。
「鬼姫参上、眠眠は夢魔の血を引く夢魔スレイヤー! ここなら何でもできる」
 そのまま秘剣ドリームカリバーを、唐竹割りに切り下ろす。
 七色の虹と共に、鬼妃が真っ二つに裂けていく。
 その中から額から血を流した薛妃が現れた。
「見事よ。あなたの最終進化形が見られてよかった。さあ、もう一つの扉を開けて青龍様を助けに行きなさい。覚えておきなさい。
 さめない夢ことまこと・・・
 永久に続くまことのうつし世・・・」

          


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