「私たち、この試合勝てますよね?」ナオミが不安を隠すように言った。
いつもなら、もちろんよと戻ってくる返事がなかった。
「マウスピークス先生、もしかしてあなたの判定では負けですか?」
「ナンシーと呼んで・・・・・・あなたに手紙が来ているの」
「手紙?」
それは、不吉な真っ赤なエアメールだった。
「ナオミ、日本からのエアメールよ」
もしかして、孔明!
ナオミは、ひったくるように手紙を受け取って封を切った。
ナオミへ
元気か?
もしお前がこの手紙を読んでるなら、オレはちょっとトラブっているってことだ。じいちゃんがどうしても書いておけっていうもんで、しかたなくこの手紙を書いている。
お前に黙って日本に戻ったことは悪かったと思っている。
だが、誰もアポロノミカンの予言には逆らえないことは知っているだろ?
白面の神が黒い龍と出会う刻
呪われた風が生まれて、多くの命が失われ
失われた多くの命が、新たな強大な国を生み出す
黒い龍が青い龍を日が昇る国に送り出す刻
三角形のパワースポットがその命を守り
白い龍が生まれ、その家族の命は残酷な運命によって失われて
青い龍が紅い龍を育てる刻
操るものが、銀狼の夢に現れ
天罰を与えるものが、雷獣の夢に現れ
引きつけるものが、深紅の龍の夢に現れ
踊り回るものが、目覚めたまま夢見る娘の夢に現れる刻
鏡が反転して、闘いが始まり
再び妃が現れ、五人の夢魔が無意識の底に消える刻
『夢見るもの』が目覚めの刻を迎え
祭一族の呪いが解ける
例によって例のごとく、予言の意味はよくわからない。だけど、祭一族の一員としてオレは日が昇る国に戻らなくてはならなかった。
心配するな。またお前に会える日まで、オレは絶対に負けない。 孔明
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