財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第10章−6 ペンタグラム(再編集版)

2021-03-19 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 メギリヌが、オーケストラを指揮するように両手を高くかかげると、次に人差し指を左右に向けた。同時に、美しい16枚の羽が左右に広がった。
 マニフェスト・ディザスター!
 メギリヌが叫ぶと、氷がバキバキと音を立てて盛り上がり形を取っていく。
 気がつけば、ナオミは数体の氷魔神に囲まれていた。ざっと氷魔神たちの姿を確認すると、7体。
 フッ、アンラッキー・セブンか? いや、前回は7体のゾンビー・ソルジャーたちに勝利を収めているから、またラッキーセブンか。

 一匹目の魔神は、達磨のようにまん丸。
 二匹目の魔神は、ダイスのようにまっ四角。
 三匹目の魔神は、イカのようにとがった姿。
 四匹目の魔神は、ジャガーのように精悍な姿。
 五匹目の魔神は、まさかりそのもの。
 六匹目の魔神は、マンモスのような牙を持っていた。
 最後の魔神は、ロケット砲のような姿。

 その時、闘いをながめていたケネスが声をかけた。「ナオミ、アウトナンバード戦略を思い出せ!」
 日本語では、圧倒的に相手の数が多いときを何と言うんだっけ? そうだ、多勢に無勢だ。そんな戦い方も、私は学んでる。

 いきなり達磨魔神が転がってきた。かわしざまにケリを入れるが、攻撃力は低いわりに、防御力は強い。けった足がすべっただけで、ダメージは与えられない。次に、ダイス魔神がゆっくりせまってきた。かわしたつもりが、突然、長い両腕が飛び出してナオミを抱きかかえた。
 しまった、と思った瞬間、イカ魔神がとがった頭を向けて飛び込んできた。ギリギリまで待ってナオミが上方にジャンプすると、イカがダイスに突き刺ささる。氷魔神同士が相打ちになって、かき氷になった。
 多勢に無勢の時の鉄則1「同士討ちを誘う」。
 だが、直前まで抱え込まれていたため、襲いかかってきたジャガー魔神の爪をよけきれない。真珠の鎧の全面に、深々と爪痕が残る。さらに、まさかり魔神が猛スピードで飛んでくる。
 あやうくかわすが、もう少しで首を飛ばされるところ。
 ナオミがバランスを崩したところに、ドスドスと音を立ててマンモス魔神が走り込んでくる。スピードこそないが、2本の鋭い牙に貫かれたらどうなるかわからない。
 殺気を感じて、振り返るとロケット砲魔神が照準を合わせていた。
 ビビッてる場合じゃない。ナオミは、気合いを入れると巨大ピッケルをイメージした。大気中の水分を集めたアイス・アックスが、両腕に現れた。足下の氷を傷つけながら、ひっかくように走り出す。


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