メギリヌが、オーケストラを指揮するように両手を高くかかげると、次に人差し指を左右に向けた。同時に、美しい16枚の羽が左右に広がった。
マニフェスト・ディザスター!
メギリヌが叫ぶと、氷がバキバキと音を立てて盛り上がり形を取っていく。
気がつけば、ナオミは数体の氷魔神に囲まれていた。ざっと氷魔神たちの姿を確認すると、7体。
フッ、アンラッキー・セブンか? いや、前回は7体のゾンビー・ソルジャーたちに勝利を収めているから、またラッキーセブンか。
一匹目の魔神は、達磨のようにまん丸。
二匹目の魔神は、ダイスのようにまっ四角。
三匹目の魔神は、イカのようにとがった姿。
四匹目の魔神は、ジャガーのように精悍な姿。
五匹目の魔神は、まさかりそのもの。
六匹目の魔神は、マンモスのような牙を持っていた。
最後の魔神は、ロケット砲のような姿。
その時、闘いをながめていたケネスが声をかけた。「ナオミ、アウトナンバード戦略を思い出せ!」
日本語では、圧倒的に相手の数が多いときを何と言うんだっけ? そうだ、多勢に無勢だ。そんな戦い方も、私は学んでる。
いきなり達磨魔神が転がってきた。かわしざまにケリを入れるが、攻撃力は低いわりに、防御力は強い。けった足がすべっただけで、ダメージは与えられない。次に、ダイス魔神がゆっくりせまってきた。かわしたつもりが、突然、長い両腕が飛び出してナオミを抱きかかえた。
しまった、と思った瞬間、イカ魔神がとがった頭を向けて飛び込んできた。ギリギリまで待ってナオミが上方にジャンプすると、イカがダイスに突き刺ささる。氷魔神同士が相打ちになって、かき氷になった。
多勢に無勢の時の鉄則1「同士討ちを誘う」。
だが、直前まで抱え込まれていたため、襲いかかってきたジャガー魔神の爪をよけきれない。真珠の鎧の全面に、深々と爪痕が残る。さらに、まさかり魔神が猛スピードで飛んでくる。
あやうくかわすが、もう少しで首を飛ばされるところ。
ナオミがバランスを崩したところに、ドスドスと音を立ててマンモス魔神が走り込んでくる。スピードこそないが、2本の鋭い牙に貫かれたらどうなるかわからない。
殺気を感じて、振り返るとロケット砲魔神が照準を合わせていた。
ビビッてる場合じゃない。ナオミは、気合いを入れると巨大ピッケルをイメージした。大気中の水分を集めたアイス・アックスが、両腕に現れた。足下の氷を傷つけながら、ひっかくように走り出す。
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