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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第11章—1 魔性ビザードとゾンビーランド

2019-03-01 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 マクミラが軍師としての初采配を振るう準備を進めていた頃、魔性たちも時間を無駄に過ごしているわけではなかった。
三魔性たちは、ミシガン山中の「悪夢と恐怖の象徴」の四つのテーマパークに担当を決めて、人類攻撃準備を進めていた。同時に、今や夢魔が支配するワンダーランドでの闘いに備えて戦力整備も着々と行っていた。
不老不死研究のゾンビーランドを支配するのは、両性具有の男も女もゾクゾクさせる美貌、たくましい体躯、敵の命を奪うのに瞬時も躊躇しない残忍さを持ち「虚無をかかえるもの」魔性ビザード。
 魔界でも知るものはほとんどいないが、実はビザードはかつて人間だった。なぜかビザードは、マクミラとミスティラ姉妹の存在を感じていた。「おお、感じる。ヴァンパイアの娘たちが降臨した。燃える、我が血潮が燃える」
 足下には、いつも側を離れぬ魔獣ドラゴムがからみついている。ヘラクレスに退治された9頭の水蛇ヒュードラと悪龍が交わって誕生した魔界最強の獣。一つの首を切り落とすと二つの首が生まれるため、めったなことでは殺せない。
「ドラゴムよ、あせるではない。お主には、マクミラの飼っているケルベロスの忘れ形見たちと存分に闘わせてやる」
 魔界で女たちからは「虚無の王子」、男たちからは「虚無の王女」と呼ばれた心の闇で、かつての忠実な配下たちの魂を呼び出そうとしていた。
 狙いは、世界各国から集められた猛戦士たちの死体に彼らの魂を宿らせて、不老不死戦士を作り上げることであった。
 ビザードの口から、魔術のセリフが流れ出た。

     

 かつて我が胸より流れ落ちる命の水を受けし者
 体内を我が命の水が駆けめぐりたりし者
 長い眠りより蘇り
 「虚無をかかえるもの」の配下として
 魂と身体を得ることを祈らん!
 駆けめぐる命の水
 この者に呪いと祝福を与えんと欲す!

 償還されたのは、特注の日光を遮る鎧に身を包んだかつてのワラキア公国の重鎮たち。宮廷最高太政官ヴォルニク、宮内卿ロゴファト、大蔵卿ヴィステル、公剣保持職スパルタ、主馬寮コミス、侍従ポステルニクとストラトニクの魂が償還されて、ゾンビーランド選りすぐり戦士たちの魂と合体した。
 ビザードは、虹を映す鎧に隠された七通りの武器を彼らに与えた。


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