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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第9章—10 善と悪の相対性

2019-01-14 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「完全な悪とは、社会など気にせず欲望を押し通せる存在だ。本来、自由が人間にとって最も大切なはずだ。天真爛漫、自由奔放というやつだ。しかし、世の中を見てみろ。やれ生まれだ、育ちだ、権利だ、義務だと意味のわからないものでがんじがらめにされた上、国同士もルールを押しつけ合って、戦争をする自由さえない。挙げ句の果てに貧困と戦争があふれる世界で人間は苦しんでいる。おいらは、人間たちを救済したいんだ。おいらが絶対悪として『死の天使アズラエル』になった時に目指すのは2つしかルールがない世界だ」
「2つのルール?」
「1つ目は『なんでもやりたいことはやり放題』。2つ目は『その機会は全員に公平でないといけない』。
人間が大好きなルールだろ? 機会均等だけど結果は自己責任。善と悪の概念が入れ替わっても、何にも変わらないはずだ。逆に、よろこぶ奴がふえるんじゃないのか」
「2つ目のルールが保証されるなら、1つ目のルールも悪くないわね。だけど、人間はこうも言うわ。世の中のすべては不公平(Everything is unfair in this world.)。結局は、力がすべてに優先すれば『マッド・マックス』の世界が出現するだけじゃない?」
「ほう、思ったより頭がいいな。おいらは闘いたい奴同士が闘えて、盗みたい奴が盗める世界にしたいだけだ。だけど、おいらは慈悲深い。弱い者イジメは、2番目のルールに抵触する。だから、どちらかと言えば『北斗の拳』みたいなもんか? 絶対悪を目指せば、それは善になってしまう。今の嘘で固めた不公平な善が支配する世界より絶対悪が支配する世界の方が、人間は幸せになれる。脱出した魔性たちだ。あいつ等は、魔界でさえ受け入れられなかったはみ出しものだ。だから絶対悪としてのおいらを新世界の神として抱くことで、自らの信念を認めさせたいのだ」
「信念? 魔性たちにそんなものがあるの。気に入らないわ。ダニエルからお前のような詭弁家が生まれるなんて」
「勘違いするな。おいらは、天使ペリセリアス、堕天使ダニエル、神官マクミラの血、アポロノミカンの魔力、粉々になったさかさまジョージと輪廻の蛇の生粋の部分から生まれたんだ」
「やっと分かったわ、あなたが虫の好かない理由が。私の一番イヤな部分を受け継いでいるのね」
「わかってないな。おいらは、最高の部分を受け継いだのさ。すべての存在の生粋部分だけを抽出してブレンドしたと言っただろう? さあ、もうサービスタイムは終了だ。魔性たちの呼ぶ声が聞こえている。おいらもゲームの一部だ。じゃあ、ミシガン山中に行くことにする。これが、本当の最後のサービスだ。いいか、命が惜しいなら追いかけてくるな。太古の戦士たちが、集合的無意識の中で目覚めつつある。さらに現世の勇者たちが新たなゾンビ戦士になるなら、お前たちにもはや戦う術などない」そう言うと、絶対悪は姿を消してしまった。
 なぜ、最後にこんなことを・・・・・・
 不思議そうな顔をしているマクミラを見て、アストロラーベがつぶやいた。裏の裏は表と言うことか。

     

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