青龍の言葉を聞いたとたん、眠眠に姿形が醜い故に忌み嫌われ、モンスター扱いされる彼らの悲しみが伝わってきた。
夢魔の技に囚われていただけで、何の怨みがあるわけではなかったのだ。
眠眠の目から、涙が一粒こぼれた。モンスターたちの動きが止まった。
誰も分かってくれない悲しみを分かってくれる存在に出会った感動が、彼らにこみ上げた。モンスターたちは、ヒビキムに攻撃をしかけ始めた。
まあ、なんてこと。タトゥーにしてやった恩も忘れて!ヒビキムは、夜叉の表情になるとモンスターたちを爪で切り裂いてしまった。
「なんてことをするの、自分の仲間を!」
「仲間などではない。手下のくせに逆らうとは許せない。モンスターたちには頼らない。今度こそ、本物の怪物に会うがよい。カモン・ダウン、悪魔姫!」
最初は、深層世界の入り口に開いた小さな点に見えた。だんだん近づくにつれて、それは一羽の巨大なチョウに見えた。
嵐の吹き荒れる部屋での闘いで、命を絶ったはずの「爆破するもの」悪魔姫ドルガであった。翼竜の羽の羽ばたきの度に小さい竜巻が起こる。
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「眠眠よ、心して闘うがよい。この相手は桁違いの強さじゃ」
四人の夢魔は、女王シュリリスの命を受けて、精神世界で復活したが記憶を失いさまよっていたドルガを発見した。「操るもの」ヒビキムは、悪魔姫に偽りの記憶を与えることで傭兵として使役していた。
「さあ、ドルガよ。お前の技を見せてやるがよい」
ドルガが、翼の羽ばたきを強めていく度に起きる竜巻も、大きくなっていく。それにつれて、ドルガもだんだん巨大化していく。ドルガの目が輝いた瞬間、翼から自ら意志を持ったかのように荒れ狂う竜巻が眠眠を襲った。
バリ、バリ、バリ・・・・・・ドリルのような音を立てて竜巻が爆発すると、眠眠が巻き込まれて異次元空間に飛んでいってしまう。冥界最強技の一つとおそれられたドルガのファイナル・フロンティアであった。消え失せた眠眠がどこにいくかは、ドルガ自身にも分からない。
一つだけ分かっているのは、彼女がもう二度とこの世界に戻ってくることはないはずだった。しかし、天空に黄金の裂け目が現れた。光り輝く裂け目から、艶やかな天女姿から、黒い網笠をかぶった黒装束の女戦士に進化した眠眠が飛び出してきた。左手で魔剣ドリームカリバーの柄を、右手で鞘を掴んでいる。
「眠眠は夢魔の血を引いているんだ。うつし世こそまこと!」
グルグル身体を回転させながら魔剣を振り回すと、竜巻には竜巻とばかりに秘剣レインボートルネードを振るった。
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