金土曜日の予選ラウンドをとりあえず通っておけば、日曜日の決勝ラウンドに向けて、残りそうな大学の肯定側のケースを分析することもできた。また、米国のディベート大会では予選ラウンドですでに対戦したチームと、再び決勝ラウンドで対戦した場合、異なったサイドでたたかうルールになっている。そのために、予選において否定側で負けたチームと再びまみえることがあっても肯定側で挑むことができた。
他大学のケースで要注意は、「アメリカ軍は、公式に同性愛者の採用を宣言すべきである。軍が同性愛者に対する偏見がないことを宣言することで、国内の同性愛者差別は劇的に改善される」、「二種類の化学物質が発射後に混ざって相手を殲滅するバイナリー兵器(binary weapon)は、使用するには問題がありすぎるため禁止すべきである」、あるいは「抑止力の意味しかない核爆弾の先制攻撃の禁止を明文化して、局地戦限定での戦場核爆弾(battlefield nuke)の使用は、合法化されるべきである」などであり、専門家顔負けの分析が次々と登場した。
否定側の戦略としては、現状の軍事コミットメントの破棄は安定した軍事バランスを崩して、軍拡競争につながったり、極端な場合は「仮想敵国」の先制攻撃を招いたりするという議論が提示された。肯定側の返答としては、現状のプログラムこそ将来的な軍事バランスをおかしくして、「仮想敵国」の先制攻撃を招くという分析が提示された。また、現状でも同様な「軍事コミットメントの破棄」が近い将来に行われる予定であり、自分たちのプランはそれを前倒しするだけであると論じて、不利益がもし起こるのなら現状でも結局は起こると論じる肯定側も多かった。おもしろいプランとしては、軍における同性愛者問題に関する「何も聞くな。何も答えるな。」(Don’t ask. Don’t tell)というビル・クリントン大統領の発言を「正式な方針」として軍が採択するというケースを提示した大学もあった。もしこのプランが不利益を招くのならば、すでに起こっているはずだと議論をする目的だったが、非公式な軍の最高権力者の発言と正式な軍のドクトリンには、比較にならないほど大きな差があるという攻撃にさらされた。
昨年、2年生チームとして全米ディベート選手権のベスト8まで進出したナオミとケイティの聖ローレンス大学は、今年の台風の目となっていた。9月頭以降、ほとんど休みなしにディベート活動と学業に専念してきたナオミが待ちに待ったニューヨークで過ごすクリスマス休暇がついにやってきた。ナオミは、ミュージカルで有名なブロードウェーから徒歩数分の立地のエジソン・ホテルで、ケネスと彼の母マリアと待ち合わせをした。しかし、せっかくのナオミの家族との再会は、アメリカ全土がブリザードにみまわれていた時期だった。
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