チャックを飲み込んだ竜巻に土塊やなぎ倒された樹木や岩が吸い込まれて、銀狼どころかあっという間にドロネズミのようになってしまう。
巨大な岩がチャックの頭にぶつかり、意識が薄れて行く。
チャックを救おうと雷獣姿のビルがハリネズミ状になった背中から刺を発射するが、多重竜巻に守られた龍には一本も届かない。
逆に、降り出したアラレや雹に恐れをなしてビルは丸くなってしまう。
「この龍は、俺が眠らせる!」
(人間よ、龍神に闘いを挑むとは百年早い)
「百年経ったら、俺はもう死んでる。お前は齢数万年のくせに、まるで子供のように寝起きの悪い悪龍ではないか」
人間の姿のまま孔明が演舞を始めた。
背中にあざやかな真紅の龍の入れ墨が浮き上がった。
右手が振られると光りが生まれ、足をあげると虹が空気を切り裂いた。
移動するにつれて、闘気が渦を巻きだした。
ハッ〜〜!
斬風拳の気合いと共に新たな渦巻きをチャックが巻き込まれている渦巻きに叩き込む。二つの渦がせめぎ合いを起こし勢いが変化して、チャックの身体が飛び出してくる。
「ビル、いつまでも丸くなってないでチャックを頼むぞ!」
孔明の叫びを聞いてビルが飛び出して、全身の毛を寝かせてまるで羽毛ベッドのやわらかさでチャックを受け止めた。
横目でチャックの安全を確認すると、孔明が龍神を睨みつけた。
いまや龍神は、牙をむき全身からどす黒い怒りのオーラをまとっていた。
龍が息を吸い込んだ次の瞬間、紅蓮の炎を吐き出した。
竜巻火災の旋風がたちまち数個、孔明を取り囲んだ。
火災旋風は、ぐんぐん迫って来る。
「なかなか楽しくなって来たな。ナオミと闘った時を思い出すぜ・・・・・・」
だが、俺もあれから成長しているぜというセリフは噛み殺す。
ハッ〜〜!
孔明は気合いをかけると、十字に組んだ腕を左右に伸ばし掌で火災旋風を押さえ込む。
一瞬、龍神が不思議そうに首を傾げた。
ハッ〜〜!
孔明が目を閉じながら、今度は火災旋風をつかむ仕草をした。
次の瞬間、カッと見開いた。
「たまには自分で味わってみな」
言うが早いか、火災旋風を龍神に叩き付けた。同じ作業を繰り返して、すべての火災旋風を叩き付ける。龍神は、自分が吹き出した炎に包まれて苦しみのたうちまった。
黙って見ていた孔明が、左肩あたりに両手を組むと、再び気合いを入れた。
ハッ〜〜!
F5レベルの竜巻を発生させると、思いっきり上空の龍に向けて叩き付けた。
周りにいた者が宙に浮き上がるほどの強烈な上昇気流が発生した。
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