「たしかに。マクミラとの闘いも、これが最後となろう。誤解されたまま死なれては目覚めが悪い。お主たちは勝手に思い込んでいるようだが、マクミラへ復讐などは、序の口。我らが次なる目的は、闘いの巨大なエネルギーを起こして魔人スネール様を目覚めさせること。そして、我らの究極の目的は、スネール様と共に新たなるルールを作って人間界を支配することじゃ。太古の蛇と呼ばれたスネール様は、すでにマクミラとの闘いの後、長い時を人間界で過ごして復活の準備をすませておいでた。この惑星から人間共を取り除き、我ら神と堕天使の血を引くものたちが支配する楽園を作るのじゃ。よいか、我らの考えでは人類こそ悪。それは性根が悪いといった次元ではなく、地球という生命体、世界というシステム自体にとって、人間こそ最大の脅威と言ってもよい。だからこそ、人類絶滅を目指す我らこそが善なのじゃ!」
マクミラが答える。「今頃、人類が悪だとかに気づいたか。だからと言って、お主たちが善の存在になれるわけではない。神界にも人間界にも居場所のないお主たちなどまた捕らえて、今度こそ抜け出せない地獄に閉じ込めてくれる」
「貴様と再び闘える喜びに身が震えるわ。だが、じゃまな人間共は、ライムの力で石の彫刻にするか、メギリヌの力で氷の彫刻にでもしてやろうと考えていたが、人間界から精神世界に闘いのために移動するとは、冥界中に畏れられた神官がやさしくなったものだな」
「勘違いするな。肉を持つ身で出せる能力など、たかが知れている。互いに本来の力を出し合ってこそ、お主の恨みもはらせるのではないのか?」マクミラが声をかける。「しかし、魔女たちよ、最後の闘いからどれだけの時が経ったことか。だが、お前たちの目的は、わたしへの恨みを晴らすことであろう? マッドのなれの果ての道化の口車に乗ってまで、ずいぶんと大がかりなことよ」
うらみをはらすという言葉を聞いて、トミーの足下にいたキル、カル、ルルの目が熱くメギリヌに注がれる。三匹は、タンタロス空間を脱出するときに、父ケルベロスの第三の首の右目をステッキでつぶした敵についに出会ったことで興奮していた。
ナオミが、怒りだす。「ちょっと待って。人類を十羽ひとからげにすることこそ、間違いだわ。人類一人一人の中には善の心は存在するし、悪の方向に向かう者に対して善の方向に向かう者も多いわ。一人一人の善を促進し、全体を善に向かわせることこそ、私たちがすべきことじゃない!」
「おもしろいことを言うでありんす」リギスが、議論に加わる。「では、いかにして死にかけた、このガイアが合体した星を救うというのでありんすか?」
ナオミは沈黙した。
マクミラが助け舟を出す。「アポロノミカンよ」
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