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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第4章-5 冥主プルートゥの決定

2018-05-15 00:00:17 | 私が作家・芸術家・芸人

「戦場では、油断は禁物だと習わなかったか?」
「それは、こちらのセリフ」
 切り落とされた右手、自らの意思を持ったように動きだし、デビルカリバーをつかんで“ドラクール”の腹に深々と突き立てた。デビルカリバーにも同じような力があり、不死身の“ドラクール”が苦しそうに声をしぼりだす。
「降参して我が僕(しもべ)として、仕えていただけるなら命は助けてさしあげましょう」エリザードが、魔剣をギリギリ動かしながら言う。
「戦場では、油断は禁物だと言わなかったか?」
 次の瞬間、“ドラクール”がするどい牙をエリザードの首筋に突き立てた。
 アッ。
 他人の血を吸うことはあっても、自らが吸われるとは想定していなかったエリザードが、一瞬、あっけに取られる。
 ズッ、ズッ、ズッ・・・・・・
 “ドラクール”が、エリザードの体液すべてを吸い尽くそうと不気味な音を立てた。ヴァンパイアに血を吸われると、恍惚感にとらわれ抵抗できなくなる。“ドラクール”に愛情を持つエリザードは、なおさらこのまま身をまかせていたくなる。
 だが・・・・・・このまま、すんなり殺されるわけにはいかぬ。
 ザワザワと音がして、エリザードの髪が逆立った。
 その姿は、後に冥界で“ドラクール”が出会うサラマンダーの女王ローラに瓜二つ。人間界で愛情を否定したのとそっくりな相手と、冥界で契りを結ぶのが、いったい呪いか運命なのかは誰にもわからなかった。
     
     

 だらりと垂れ下がっていたエリザートの左手が、最後の力を振り絞って“ドラクール”の心の臓を突き刺した。
 それでも苦痛をこらえて、“ドラクール”はエリザードの体液を啜り続ける。
「我が命が失われるのも時間の問題」エリザードがつぶやく。「このまま死ぬのはかまわぬ。だが、“ドラクール様”、我が一族の呪い、これで晴れるとは思いますな。冥界には行かず、必ずや『虚無をかかえるもの』として魔界転生してあなた様の一族に仇なしてみましょうぞ」
 次の瞬間、エリザードと“ドラクール”が同時に灰になった。
 これが“ドラクール”が経験した、この世の地獄であった。

 プルートゥの発した思念で、“ドラクール”は我に返った。
(アストロラーベ、今度こそ最後のゲームとなろう。ジェノサイダス、シュリリス、ビザード、トリックスターとの「絶対悪」を巡る闘いに勝ち目はあるか?)


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