「 秋明 」

2014-09-23 | 日記

    

夕方、隣の奥さんからもらった紫色の花は、教えられて 「 秋明菊 」 ( 学名はアネモネ・ジャポニカ ) という。名前が今の季節であるし、花の姿は蘭のようでもあって、色といい品がある。一緒にもらった酸漿 ( ほおずき ) は夕方の灯りである。真ん中に赤く見えるのはバラの花で、香りがいいと言うのでこのバラを、奥さんは “ 蓮子のバラ ” と呼んでいる。それは少し枯れかかっていたが、それなりにまだ綺麗だったので切ってもらったのである。花瓶には雑然と差してしまったが、これも季節の風景だろう。

今日は一日、秋の日だった。あちこちで稲刈りの機械が動いていて、アスファルトの道には田んぼから上がった機械が落とす泥が家畜の糞のように点々とあるのが、これは一つの村の風物でもあるのだった。秋の採り入れが終ると山々は色づき始める。もう九月も下旬である。一日が早く暮れて行くように、いつの間にか涼しい秋風が吹く。 “ しゅうめいぎく ” はこれからが盛り、と言う。哲学者・西田幾多郎 ( 1870-1945 ) の昭和14年の歌にこんなのがある。

   日は暮れて途(みち)遠けれどともかくもけふけふたけの業(なりはひ)はしつ