冬空のたった一人の理解者として雨傘をたたむ老人
冬空は余り人から好かれない。
どんよりとした色は見るものを憂鬱にする。
木枯らしが吹いてきて、身を縮めないと歩けない。
冷たい雨や雪が降ってきて、人の体を冷やしてしまう。
だから人々は傘を差して冷たい雨から身を守ろうとし、冬空を見ようとしない。
そんな冬空のたった一人の理解者である老人は冬空の悲しさも寂しさもそして心の奥の優しさも知っているから、ありのままの冬空を見るため雨傘をたたむ。
冬空の理解者は若者ではなく何故老人なのか?
それは老人も四季の最後の季節である冬の寂しさとその深さを知っているからだろう。