海に吹く風

海の大好きな私
ここで皆さんとお話しましょう

日々思うこと、短歌についても書いていきます

笹井宏之さんの歌4

2011-01-17 22:14:53 | 歌評

「とてつもないけしごむかすの洪水が来るぞ 愛が消されたらしい」

近未来のSF世界をイメージしてしまった。
それはSF好きな私の勝手な感想。
近未来人類は愛をほとんど持てなくなって荒廃した世界をさまよっている。
遥か遠い場所に<愛>はまだ残っていたのに、それが消されてしまった。
誰によって?・・・この世界を創った創造主だろうか?

しかしその<愛>は大きくて深いから、それを消すためにはとてつもない消しゴムが要って、その消しゴムかすがとてつもなくて洪水となって人類を飲み込もうとしている。
ほとんどの人類は死んでしまうが、心に強い<愛>を持った少数の人類が生き延びた、ちょうどノアの方舟のように。
洪水がおさまったとき、陸には一つの<愛>の双葉が芽を出していた。
生き延びた人類はその芽をそっと大切に育てていきました。

わ~勝手にこんな物語を紡いでしまった。

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阪神大震災16年目の朝

2011-01-17 09:23:14 | 短歌

 震災の後に生まれた君たちに語り継ぎたいあの朝のこと

 おばあちゃんが救ってくれたこの命 おばあちゃん、わたし母になったの

 写真でしか知らない家族に会うためにこの街へ来た十五の春に

 年取ればともに行かむと言ひをりし亡き妻と二人お遍路の旅
 結願の日の初雪はもういいよと許してくるる妻の微笑み

あの阪神大震災から16年が経った。
ボランティアもしないのにただの野次馬と自分を責めつつ、大好きな神戸がどうなったか知りたくて2週間後の神戸に向った。
武庫川を越えると景色は一変し、信じられない光景が広がっていた。
阪急春日野道駅から歩いて1時間・・三宮に着いた。
ビルが斜めになっている、粉塵のなんともいえない匂い。。
眩暈がした。
それから何回も神戸に行って復興の様子を見てきた。
今は見た目にはすっかり復興し、私が神戸に行くこともなくなった。
神戸まで行って買い物をする余裕がなくなったということもある。

去年の震災の特集番組で何人の遺族のエピソードを紹介していて、それに触発されて詠った歌。


1首目は私の感想の歌。

2首目
震災の時おばあちゃんがかばってくれて助かった女性のこと。
おばあちゃんは女性をかばって亡くなった、それから15年女性は結婚して母になった。
それをおばあちゃんに報告している姿。

3首目
まだ赤ちゃんだったその人は一人だけ助かり家族を失った。
祖父母に育てられた。
震災のあった神戸には行くことが出来なかった。
15歳になったとき初めて神戸に行く決心をする。
家族が住んでいた跡地にも行った。
大きなものに立ち向かいながらその場に立つその人。。

4首目
夫は震災で妻を亡くした。
仕事に打ち込んで妻との会話を余り取ったとはいえなかった。
妻が亡くなった後その事を猛烈に責めた。
妻が生前ふともらした言葉を思い出した「もうすこし年を取ったら一緒にお遍路に行きたいわね」
夫はお遍路に行く決心をする、妻と一緒に。。
結願の日、お参りをしようとしたとき初雪は激しく舞い落ちた。
夫は雪を見上げながらつぶやいた「妻がもういいよとゆるしてくれた気がします」

この歌はすべて詞書がないと理解してもらえない歌・・どこかへ提出の歌には不適当。
1年間引き出しに眠らせていた。
そろそろ光を当ててあげよう。

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