演奏会のプログラムやチラシの収集、当時の感想やメモなどを整理してまとめている。知らず知らずに年月を重ね、そんな資料も置き場所に困るくらいになってしまった。家にいる時間が今年は長いから、少しずつだが作業を進めているが、ついつい手を止めて当時まで思いが遡る演奏会も多い。ほんのわずかでも、そんな想いが消える前にここにも書き残しておきたいのだ。
朝比奈隆というと、ベートーヴェンやブルックナーの交響曲を思い浮かべることが一般的だが、マーラーの交響曲も実は演奏実績がある。彼の晩年は、演奏プログラムも極端に凝縮し、十八番であるベートーヴェンとブルックナーだったが、但しラストコンサートとなってしまった2001年10月の名古屋公演は、チャイコフスキーの第5交響曲となった。この楽曲は、奇しくも朝比奈デビューの楽曲であり、これも何かの因縁なのか。
さて朝比奈のマーラー、全ての交響曲を手掛けた訳ではなく、ごく一部に限られたのだが、大阪フィルの東京公演で、第2交響曲「復活」が取り上げられ、鑑賞する機会を持った。今から25年前の1995年7月の東京公演。世の中マーラーブームのど真ん中でもあり、アントンKもワクワクして赤坂へ向かった想いがある。
アントンKも、マーラーの交響曲中では、この第2は外せず、いつも鑑賞の上位を占めるが、これだけの名曲だからか、取り上げる指揮者も膨大で、今までの鑑賞実績からすると、朝比奈の「復活」は、その中に埋没してしまう可能性がある。それだけ聴きどころが多く、名演ぞろいとも言えるのかもしれない。朝比奈節満載の「復活」は、アントンKにとっては心に火が付き、大好きな演奏になるのだが、一般論からすると少し異なるのかも。マニア向け演奏だったとでも言ったら言い過ぎか・・・この時の演奏は、CDにもなって現在でも入手できるのかもしれない。同年9月には、マーラーの第3を取り上げていて、録音も残しているが、これをCDで聴く限り、行かず仕舞いに終わったアントンKにとって、人生最大の汚点の一つに数えられ、思い出すといつも悔しさがこみ上げてくる。重心の座った骨太のマーラー演奏。この独自性満載の朝比奈のマーラー。アントンKは今でも愛してやまない。
掲載写真は、アントンKの大好きな写真と、マーラー復活演奏会の当時のプログラム。朝比奈隆のこの表情。実演でも何度も見られた表情で、いつもそばに置いている。