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アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

ノットのブル8を聴く

2016-07-17 14:00:00 | 音楽/芸術

巷で色々と話題のノットのブルックナーを聴いてきた。

昔は、雑誌から演奏の評論などを読んで善し悪しの情報を得るのが関の山だったが、今ではSNSとかいう不特定多数のありとあらゆる情報なり意見が即座にわかってしまう時代。これが本当に良いことなのか、最近疑問に思うことがしばしばあるが、とにかく人の意見を簡単に知ることができる。そんな中、今回のジョナサン・ノットという指揮者が、昨年くらいから話題に上がり、機会を見つけて是非聴いてみたいと思っていた。

今日のオケは、東京交響楽団。ノットが現在音楽監督を務めている。アントンK自身、この東京交響楽団とは縁が浅く、近年は演奏会に出向けないでいたので、数年振りということになるが、団員たちの濃紺カラーが昔と変わらない印象で記憶が甦った。

今回は、この東京響の定期公演ということであり、定期会員の方々も多数来場されているはずだが、聴衆の雰囲気もどこかいつもとは違う。ここでは深く触れないでおくが、この時点であまり良いイメージがなかったことは事実。

さて肝心な指揮者ノットの演奏だが、今回のブルックナーの第8については、アントンKにとって至って普通の平均的な演奏。ということは、いつも言っている最も嫌っている駄演であった。指揮者ノットは、大変レパートリーが広く、古典から現代曲までその数は膨大らしいが、このタイプの指揮者は、オーマンディやヤンソンスあたりを連想させるオールマイティの何でも屋サンということだろう。今回のブル8を聴く限り、実に丁寧に各ポイントを一つ一つ仕上げていたように思える。アントンKの座席が、後方の壁に張り付いたような座席であったためか、Hrnの主張が強く、通常の演奏よりも鳴っていたように感じたが、実際はどうだったのだろうか。蚊の鳴くようなピアニッシモから、空虚な意味のないフォルテまで散見できたが、これがノットの思うところのブルックナーだとしたら、アントンKは今後はとらないだろう。とうとう最後まで、耳で聴こえる物以外の深い想いや歓び苦しみの魂の叫びが現れず不発に終わった。

今回の演奏評価だけで、指揮者ノットを語ることはできないが、やはり、アントンKとは求める音楽に隔たりがあるということはわかった気がする。そして世間の評価がどうあれ、最後は自分の耳しか頼りにならないことが今改めて判った。それは、大好きなブルックナーの第8をもって判ったことなのかもしれないが、次回がまたあるとすれば、今度は別の音楽、ベートーヴェンやブラームスを聴いてみたい。自分自身における彼の評価が決定的にならないことを期待して、その時を待ちたい。

2016年7月16日

東京交響楽団 第642回定期演奏会

指揮:ジョナサン・ノット

ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調 ノーヴァク版第2稿

サントリーホール


夢を乗せて・・・

2016-07-16 23:00:00 | 鉄道写真(EC)

まだ興奮冷めやらぬ乗客で溢れ返った終電にほど近い舞浜駅。

特に夏休みも迫った週末だからということなのか、コンコースからホームへ上がるのに一苦労。その乗客たちの波は途切れない。家族連れ、友人仲間、あるいはカップル達が黄色い歓声を上げて入ってくる電車を待っている。こちらは、逆に冷静になり、今日一日の出来事が頭の中でぐるぐると回っていた。皆がみんな、現実逃避をして夢の国から帰還したとは思わないが、笑み溢れる表情はみているだけで嬉しくなるものだ。

電車の入線の度に、いつにも増して声を荒げた構内放送だったが、いよいよ団体専用列車である583系の入線が近づき、青とクリームの大きなボディがホームに入ってくると、どこか落ち着いた声のトーンとなり、大勢のホームの乗客たちの空気がふっと変わる気がした。大きな車体の醸し出す重厚で独特の雰囲気は、鉄道に何も興味がない老若男女にも確実に伝わっている。夢を乗せて故郷を目指す「わくわくドリーム」号

583系には夜が似合う。

2016-07   9746M わくわくドリーム号           JR京葉線/舞浜にて


ボンネット特急の思い出

2016-07-13 04:00:00 | 鉄道写真(EC)

今年は、鉄道趣味人にとって一つの節目の年になるのではないか?

客車列車の衰退は、目を覆いたくなる現状。現在団体列車として走っている「カシオペア」にしても、スペシャルが前面に出ていて、「夜行列車」あるいは「夜汽車」といった形容は当てはまらない列車だろう。機関車牽引の旅客列車として今や特別な物となってしまったから撮影こそ続けているが、夜行列車はアントンKの中では昨年ですでに終わっている。

国鉄型特急電車もそうだ。先日の485系の引退。そして最後に残っている583系だって先行きは誰だって想像がつく。平成も気がつけば28年、昭和に生まれた車輛達が消えて行くのは当り前の話だが、アントンKも昭和に育った人間として、目の前から次々馴染みのある車輛達が消えて行くことに最近寂しさを覚える。

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アントンKにとって特急電車と言えばボンネット型、まずは181系が想い浮かぶ。その前の151系や161系からの改造車も多数存在して、ボンネットの大きさや、スカートの長さや形状、または塗装も多種だったので個性があり撮影していても楽しかった思い出がある。また同様に481系(後の485系)にも、ボンネット型は存在して良い被写体だった。JR時代になり、真っ赤なボンネットや、白いボンネットが登場した時には拒絶反応があったが、それでも0系新幹線のような当時の流線型に憧れたもの。500系や700系新幹線に始まる現代の流線型を見慣れている若い鉄チャンは、この481系のボンネットを見てどう思うのだろうか?

写真は、常磐線を行く特急「ひたち」。思いのほか天気が崩れてしまい、露出が無くなって止むなく流し撮りをしている。偶然にも、ボンネット型クハ481-1だったので掲載しておく。曇った時のKR(コダクローム)の色合いが懐かしい。

1989(H2)-03-23          常磐線:高浜-石岡


悲劇に終わったマーラーの第6

2016-07-10 21:00:00 | 音楽/芸術

今日は、偶然にも横浜でワグネル・ソサィエティ・OBオーケストラの演奏会を聴くことができたので掲載しておく。

今回のオーケストラは、1月に聴いた東京ユヴェントス・フィルと同じ大学出身者のOBで構成されてはいるが、全く違う団体。とにかく今や星の数ほどオーケストラが存在しているから、実態はよくわからなくなってきた。アントンKも、当然初めての経験であり、1月の事を思い出しながら鑑賞しても面白いかもと、結構ラフな乗りで会場へ向かった。

今回は時間の都合で、後半のメインプロのマーラーの交響曲の第6番イ短調のみ。

こうして今聴き終わり、まず最初の印象はというと、とにかくオケの鳴りが乏しく感じ残念であった。ご承知の通り、この第6番は、マーラー中期の大作であり、大型の編成が組まれての演奏となるが、弦と木管、金管、打楽器群の音のバランスが悪く、良く聴こえず、最初は自分の耳を疑ったほど。アントンKの座席は、舞台を見下ろす2階のサイドとしたが、真下で奏者が気合いを入れて演奏している姿は確認できても、音色がまるで聴こえないのだ。予想通り、弦楽器は鳴らないのはまだいいとしても、FLの6本や、TPの6本が聴こえないのはどうしたものか?この大曲にして、肝心要なポイントの抜け落ちは我慢ができない。

今回指揮をした井崎氏の解釈はどうだったか?

第1楽章で、提示部をしっかり繰り返したり、時に声を上げながらの指揮振りは好感がもてたが、この「悲劇的」という曲にしては、かなり小さくまとめてしまった感があり、冒険が少なく聴いていて面白みには欠けていた印象は拭えない。90年代のマーラーブームに散々聴きまくったマーラーの第6。テンシュテットの第6を頂点とするアントンKには、物足りなさだけが残ってしまった。

こんな印象しか持てなかった今回の演奏会だが、煮え切らないオケの中で、EsCLの奏者の雄弁さは特質ものだったことは付け加えておきたい。鳴らないCLの中では、まさに孤軍奮闘の出来であり、大いに楽しませてもらった。

ワグネル・ソサィエティー・OBオーケストラ 第80回記念定期演奏会

ワーグナー 歌劇「ローエングリン」より第1幕への前奏曲

            第2幕より「エルザの大聖堂への入場」

            第3幕への前奏曲

マーラー 交響曲 第6番イ短調 「悲劇的」

2016年7月10日

横浜みなとみらいホール 大ホール


若き撮り鉄たちへ・・

2016-07-09 22:00:00 | 鉄道写真(EC)

梅雨空の続く東京地方、時間を見つけて平日の東十条へ出かけてみた。雨こそ上がってはいるものの、どんよりとした雲行きで湿気も多く、カメラを持つ手が汗ばんでくる。

この日、583系電車が秋田から朝方上京し、夕方上野発の夜行列車となって東北へ戻る団体列車があった。今や上野発車の夜行列車自体が、珍しく貴重になり、団体募集の際、上野発の夜行ということが一つのアピールポイントとなるらしい。アントンKのような中年鉄には、懐かしく思えてしまうし、平成生まれの若き鉄チャンは、国鉄型の貴重な電車ということだけで、日夜を問わず動き回っている様子。まあそのバイタリティには恐れ入る。

春の「カシオペア」の時も、昨年の「北斗星」の時も、ここへ来て何度となく列車を見送っているが、今回は大好きな電車の583系が見たくなり、何となく足が向いてしまった。先月同僚の485系が引退したばかりで、いよいよ孤軍奮闘の装いの583系だが、相変わらず運転実績は活発なようで何とも嬉しい情報。いつまで続くかわからないが、撮影よりも色々がシーンを見てみたくなったというのが本音かも。もちろん、カメラ持参では出向くが、どんな人たちがどういう思いで撮影し乗車しているのかが知りたくなったのだ。昔の半分の長さになった編成や、シールを貼ったマークなどアントンKの583系のイメージからはだいぶ離れてしまったが、視点を変えて、過去にとらわれずに純粋に電車を見れば新たな発見があるはずだと思っている。

「日本に1台しか走ってない電車なんだよね!?」

アントンKの構えるすぐ後ろに、小学生3人組みが楽しそうに話している。その一人がアントンKにこう話しかけてくれた。返事に少し戸惑ってしまったが、その子たちの真剣な眼差しは、遠い日の自分自身と重なりどこか愛おしく思えて仕方がなかった。電車に興味を持ち、カメラを持ってホームを駆け巡った日々が甦る気がした。

同時に、この子たちがこの先ずっとこの趣味を謳歌し続けられるような社会、鉄道事情であってほしいと願わずにはいられなかった。きっかけは何でもいい。日本にただ一つだからということでも・・

問題は、今後も良いなぁ、撮りたいなぁという気持ちがあるかどうか。そう思える気持ちがあるかどうか。

若い撮り鉄たちにアントンKができること、

哀しいかな具体的には何もできないが、今は地道に撮影を続けることしかできない。

2016-07-08     9011M      583系「はくつる」       JR東日本/東北本線:東十条