国鉄が民営化されて30年以上、もはや機関車に関しては、旅客用だろうが貨物用だろうが、今までに見境のない光景を目にして慣れてしまったから、何も感じなくなってしまったが、国鉄時代には、機関車の使用についても、現代では考えられないくらいキッチリと選別されていたと思う。時間とともに、その規則は世の中の流れに沿って緩和され現代に至っている。過去には、阪和線でEF58が貨物を平気でけん引していてがく然としたり、今まで華やかな九州ブルトレをけん引していたEF65P型が、今度は黙々と石油列車を牽引する時代がやってきた。そんな数々の経験があるから、今ではよほどマニアックが出来事でもないと心が動かなくなったのかもしれない。
掲載写真の時代、国鉄時代には、普段貨物列車を黙々と牽いているEF15が客車をけん引するといっただけで結構衝撃だったのだ。当時は、高尾山へ向かう初詣客のための団臨が毎年この時期に走り、我々ファンを楽しませてくれた。写真の東北筋からの列車は、新宿までが宇都宮区のEF57やEF58が使用され、ここでしっかりと機関車を交換、中央線高架区間は、八王子区のEF13又はEF15がその任に当たっていたのだ。晩年、EF15が引退し後継のEF60も高尾臨けん引の実績があったと思われるが、高尾臨の消滅の方が先か、ちょっと曖昧になっている。
今となっては、貨物機が客車けん引したって、何の話題にも上がらないだろうが、アントンKにとっては、この高尾初詣臨でのEF15や、吾妻線におけるEF12やEF15の団臨は、当時の想いがはっきりと蘇って、今でも心を熱くする列車たちなのだ。
1980-01-16 9535ㇾ EF1589 14系高尾初詣臨 中央線:西荻窪にて