あとで読み返す目的で、気の付いたことを書き留めておきたい。
年末の第九演奏会はともかく、正月休みは演奏会には行かず、自宅で静かにCDやビデオを楽しむのが常になっている。もっとも聴きながら散らかったソフトの整理をすることも目的で、いつもこの年末年始には、買いためたものと、捕りためたものを仕分けする時間に当てている訳だ。
この年末は少し前にも書いたが、山田一雄の音楽に集中していた。お得意だったマーラーの交響曲群やチャイコフスキーは、やはり独特な世界感が広がっており、今まで聴いたことのないニュアンスとでもいうべき瞬間がたびたびやってくる。たとえばワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の序曲は、今まで何百回も聴いているだろうが、何度も繰り返されるあのリズムも、山田の演奏では、独特の溜めを伴うかつて聞き覚えのない演奏で迫ってきた。またマーラーでは、時に感情的な指揮ぶりを披露し、オケを強引なまでに引っ張る様が見て取れた。興奮し過ぎて、指揮棒を飛ばしたり、指揮台から落ちることはよくあったそうだが、やはり彼の演奏は、実演奏で体験したかったと思う。
平成時代もカウントダウンに入ったが、昔、正月の特別番組を録画した「新春クラシック・スペシャル2000」という番組を久々に観た。朝比奈隆のブルックナーへの道のりをまとめた番組で、数々の演奏が断片的に出てきて、また懐かしい話、自身の声にも引き寄せられてしまった。番組内で朝比奈が語っていたように、アントンKは、心身ともに毎年少しずつでも螺旋階段を上っているだろうか。20年という長い年月が経過した今、あらためて考えさせられてしまっている。
「今、この山に登る」 良いタイトルだ! 年頭から気合が入ったアントンKなのだ。