列車番号が変わってしまった「北斗星」を狙いに渡道してきた。
春のダイヤ改正後、臨時になった「北斗星」。毎年のようにこの新緑美しい時期には渡道してきたが、ちょっと今年は気分がいつもと違っていた。もう、最後にしよう最後にしようと想いながらの渡道はいつものことだが、今回はもうあとがないという切迫感からか、残り撮影チャンスは何回ある?と逆に撮りこぼしのないよう、さらに綿密に撮影地と日照をチェックしてから向かうこととなった。
アントンKの周りには、幸いこの北海道のブルトレ撮影について徹底的に集中している友人が多々いる。幸いといったのは、彼等のストイツクなまでの探求心は、まず間違いないから・・だ。趣味の世界も、やはり独自性が重要で、どう拘るかということと、どこまでそれを追う気持ちがあるかが鍵のように思う。この友人たちを見ていて、とても自分には展開できないことが歯がゆく感じているが、少しでも自分が納得できる撮影を計画実行し、心に刻んでいきたいと思っている。
今回は、「いつかまたもう一回・・」と撮りこぼしていた小沼湖畔を行く「北斗星」。あまりにも朝日に輝いていた新緑が綺麗で、一瞬吸い込まれそうになったので、湖畔のことなんか気にせず、新緑を一杯入れて望遠でぶち抜いてみた。森の茂みからデーデーが現れた時、最高の朝日が北斗星を演出したため、酔いそうになりカメラを持つ手が震えた。
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2015(H27)-05-17 8007レ DD511100+1138 JR北海道/函館本線:大沼付近
体調不良と年度末の多忙が重なり、思うように動けないでいる。というか、本当の理由は、ダイヤ改正後、ちょっとぽっかり穴が空いた気分になっている。震災の時ほどではないにしろ、少し自分自身について、漠然と色々考えているのだ。岬の灯台の光を頼りに、大海原を航海している船が、光を見失い右往左往している状態。大袈裟だがそんな感じか・・・
今日は、日差しはもう春そのものなのに、北風が強く寒かった。鼻が詰り、頭が重くすぐれないでいる。
掲載写真は、ダイヤ改正で消滅した「トワイライトエクスプレス」のDD51重連の雄姿。どんな列車でも、機関車重連は魅力的に思う。特に、同形式の重連はなおさらだ。その観点から言えば、北海道の特急寝台列車は、全てが当てはまり、写欲をそそられていた被写体だった。まだしばらく臨時列車で存続するとのことだが、さてまた会いにいけるだろうか。
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2014(H26)-10-05 8001レ DD511095 JR北海道/室蘭本線:長万部-静狩
最後の悪あがき・・・渡道してトワイライトEXPを見送ってきた。
最初の計画では、ダイヤ改正直前の渡道は避け、2/27~3/01を予定していたが、日程当日になって色々と立て込んできてしまい、身動きが取れず断念、一週間予定をずらすことにした。しかし結果論にはなるが、この日程を一週間後ろに倒したことで、より思い出深い撮影旅行になった。(その理由は今ここでは語らないことにする)
天気の安定しない冬季を除き、毎年季節ごとに年2回くらいずつ北海道に渡り、夜行列車中心に撮影を繰り返してきた。でもそれも今年でピリオドを打つ。南へ北へと動き回った若き頃から追いかけて、それなりにはショット数も増えたが、中々満足のいくコマは少ない。北海道までいくブルトレとしてデビューした「北斗星」がJR化後の1988年、関西からの豪華列車としての「トワイライトEXP」が1989年だから、今年で26~27年ということになる。こう聞けば随分長い間と感じるが、実際にはアッという間に感じ、アントンKの体内時計では走っている事が日常化している。そう思うと、来るダイヤ改正は感慨深いものだ。
春先は、天候が安定せず晴れの日は続かない。それでも結果よりも行く事に意味を見出して出発。撮影開始初日は、悪天候にたたられ、やる気喪失となってしまったものの、掲載写真の日は、朝から回復傾向で期待が持てる。ならばメインを夕方の8002レに置いて行動と相成った。しかし、中々思うように撮らしてはくれないのが世の常。8001レの遅れを引きづる形で、8002レものっけから+30分で出発とのこと。この時間帯の30分は、この季節撮影条件に大きく影響してしまうから、一時は途方に暮れてしまった。が、幸いにも心強い仲間のお力で北舟岡に立つことができた。
通過時間が近づくにつれ、益々太陽光は安定してきており、噴火湾に沈みゆく夕日に手を合わせたくなる心境になる。アントンKにとって、8002レのラストショットとなる舞台は完璧なまでに揃ってきた訳だ。1分、また1分、徐々に露出も変化してあたりが赤く焼けてくる。そんな中、列車接近のアナウンスが響き渡り、いよいよその時が来た。HMには光が入るが、ボンネット左側には届かない劇的な斜光線の中を、少しでも遅れを取り戻すべくカッ飛んで迫ってきた。最後の最後で好条件の撮影ができたこと、連れ立った友人達に感謝申し上げたい。
安堵の思いからか、帰りの車の中では、エンペラーのAdagio un poco mossoが脳裏を廻っていた。
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2015(H27)-03-08(+32分)8002レ DD511100+1138 トワイライトEXP JR北海道/室蘭本線:北舟岡