風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

レオノール・フィニと猫とスフィンクスと(1)

2005-07-31 01:16:59 | アート・文化
masked_fini
終了寸前の「レオノール・フィニ展」に行った(Bunkamura「ザ・ミュージアム」7月31日まで。大阪梅田、群馬、名古屋に巡回)。一番見たかったのはフィニの創作した「仮面」である。フィニはその自作の仮面をみずから付けた写真をいくつも残しており、マンディアルグによるフィニの仮面へのオード的作品『レオノール・フィニの仮面』があるほどだ。そして、多くの仮面をつけたフィニの写真はこの著作で紹介されたものだ。
ついで、ボクが見たかったのは「守護者スフィンクス」などのいくつかのタブロー作品だった。だが、今回来てない作品も多かった。

R・フィニのことは澁澤龍彦の著作で学んだ。フィニに注視したこの先見の評論家の言葉を超えるものを知らない。ただ今回、東急の美術館である「ザ・ミュージアム」はフィニのファッション性をも視野にいれた紹介を試みているように思える。
たとえばこうだ。「Leonorレオノール、Leopardレパード(豹)、Leotardレオタード。今風な言葉の響きが意外にも、この美貌の画家の特徴を言い当てている」(チラシからの引用)。これは、ほとんど広告媒体用のコピー同然である。

しかし、実際20世紀の絵画というものは、その実、商業的な雑誌、マスメディア、広告とは切り離せない側面を持ってきてはいたのだ。フィニの場合それは、マガジン、映画、舞台などの依頼仕事と、そこからのインスパイアがあるかもしれない。

フィニは「スフィンクスの画家」とも呼ばれている。もちろん、スフィンクスをテーマにした作品をたくさん描いているということもあるのだが、フィニ自身の謎めいた魅力的な美貌をたたえた女流画家だったということにも起因しているだろう。
フィニはアルゼンチン人の父と、イタリア人の母の血を分け合った。ラテン的な情熱、魔術的な趣味はその父母の風土の双方から受け継いだものなのだろう(とりわけ北イタリアのトリエステから……)。

フィニの貴族趣味的で、耽美的な側面はあまり好きでないところもあるのだが、おそらくこのような側面と、そしてその父から逃れるようにブエノス・アイレスから母の故郷トリエステへ去ってきたと言う側面もあったのかもしれない。父は娘を取り返すためたびたび密偵を送り、幾度も拉致(誘拐かもしれない)することを試みていたと言う。
<写真:「鳥の舞踏会」にて、自作の「白フクロウ」の仮面をつけたフィニ>
(つづく)


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
仮面、とても面白いですね。 (artshore)
2005-08-25 02:21:09
仮面、とても面白いですね。
それとドローイングも。
もっと絵を見たかったのですが、
フィニの生涯にスポットをあてていたようですね。
TBさせていただきました。

返信する

コメントを投稿