風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

光ライブドア事件/オー、ミステーク!

2006-01-24 22:55:26 | コラムなこむら返し
Ohmisstakeその記事を朝日新聞の夕刊で見つけた時、本当に声をあげて「お、同じことを考えている人がいた!」と叫んでしまった。いや、ライブドア社長ホリエモン(堀江貴文)の逮捕劇で、これでこの時代の寵児も舞台から去るのかと考えていた時、この顛末は何かに似ていると思っていたのである。
戦後すぐの、いわゆるアプレゲール世代の犯罪で、このような時代を象徴するような事件があったじゃないかと考えていた。
そして思い出した(と言っても、その「事件」はボクが物心がつく前に起ったものだ)ライブドア・ホリエモンは戦後すぐ(1949年)に起きた事件「光クラブ事件」に似ていると思ったのである。

そして、今日の朝日夕刊にあのアウトロー系の作家宮崎学氏が、「ゲームの行く末/ライブドア事件を考える」と題され、「「光クラブ事件」との類似と相違」なる副題のついた一文を寄せており、この寄稿文を見つけたボクが自分の考えとあまりにも似ていたので思わず声を挙げたのだ。宮崎氏はさすがというか、ホリエモンと「光クラブ事件」の主犯山崎晃嗣との共通点を見つけだし時代としての共通点さえも指摘している。

「つまり二人は日本のエスタブリッシュメントの自信喪失期に経済界に登場し、短期間に一世を風靡する「東大生」の起業家という共通点を持つ」

さらに、そのメンタリティの共通するものとして、山崎の分刻みの日記帳と、堀江のブログなどを挙げている。そう、宮崎氏も若干ふれているが、その自己演出型の劇場型犯罪と言う点こそよく似ている面だろう。
山崎は留置場で言った。「人生は劇場だ。僕はそこで脚本を書き、演出し主役を演じる」と。

金貸し業「光クラブ」をはじめた山崎晃嗣はその「光クラブ」という新鮮なネーミングで一躍時代の寵児となり創業4ケ月あまりで銀座に進出など、急成長をとげる。
わずか一年後には崩壊、ヤミ金融の摘発をうけ自殺する。その遺書には「貸借法、全て‘清算カリ‘自殺」、「私は行き詰まったからでも、債権者に死んでお詫びするというセンチメンタリズムで死ぬのではない。契約は人間と人間を拘束するもので、死人という物体には適用されぬ。そのために死ぬ」と記されていた。

あらまし「光クラブ事件」とは、このような事件であった。
おそらく、50年後には今回の摘発・逮捕は「IT長者ホリエモン想定外事件」とでも呼ばれるかも知れない。

その意味では、つまり事件の核心にいた人物が流行語を生み出したという意味では、そして強奪した金で一流のデパートでブランドのオーダーメイドの服を作らせまるで「ボニーとクラウド」日本版のような粋なファッションに身を固めて逮捕時に「オー、ミステーク!」と言っ放て流行語になった「日大ギャング事件」(1950年)というもうひとつのアプレ犯罪にも似た面があるとボクは思う。

東京タワーを見下ろす六本木ヒルズの一画の、月何百万の家賃の部屋に住み、セレブを気取り芸能界のタレントとつき合い、グルメ日記をブログに書き綴り、自らもタレントを気取るかのようにTV番組に露出する。自民党の刺客に抜てきされ、スワ政界進出かと「時のひと」になりかかったが、ミステークだったのか落選する。
アプレ犯罪とバブルのアプレゲールに登場したホリエモン。この正月、自家用機でタレントの吉川ひなのとパラオに行ったと言うその姿は、終戦から4~5年のちに旧世代への反抗と反発と、否定から生れたアプレ犯罪の担い手たちの姿ともの凄く近似していると、ボクはそう思う。

(写真は昭和25年「オー、ミステーク事件」の山際啓之の逮捕直後。当時19歳のこの元日大の運転手見習いは強奪した金でオーダーメイドした一流のブランド品で身を固め、日大文学部の教授の娘と一緒にボニー&クラウドよろしく駆け落ちした。今で言えばジャニーズ系もしくはホスト系の容姿をしていた。ここはホリエモンと違うところだが……(笑))



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